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B&Wのルポ後編(side:WHITE)

 

 

*B&Wのルポ前編*CLICK!!

 

 

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B&Wのルポ後編(side:WHITE)

 

会場には、

出展者がそれぞれに考えられたBLACK&WHITE(以下B&W)が並ぶ。

 

作品の色を白や黒にし、

視覚から伝わるものはもちろん、

白と黒の釉薬を混ぜた緑色の作品、

素材の表面と断面の対比を意識させた作品、

光と影を意識したブースづくり。

また、普段人目に触れない工房を黒、

こうしたハレの舞台を白としてブースを作った方もいた。

出展者の数だけB&Wがあるのだ。

 

 

陶のうつわを制作する石川隆児さんは、

普段から白と黒のうつわを制作している。

B&Wのテーマは、

「あなたは何を出品するのですか?」という

自分への挑戦状のように受け取ったと話す。

『挑戦状』という言葉から、

始まったインタビューは口を挟む隙もないほどに言葉が溢れだした。

 

「僕はひねくれ者ってわけじゃないんですけど、B&Wにグレーを出したいと思って。白と黒という言葉も完全な存在に見えて意外にグレーに助けられている部分があって。白と黒がパキっとしている中でグレーがいるのは、なんか和むかなと思って。B&Wに普段の白と黒を出せばいいのか、そこに内容はあるのかというと、僕には物足りないというか。スタッフの皆さんが、石川さん、面白い準備してきたな、と思われたら、お客さんにも絶対伝わるので。」

 

B&Wのような仕掛けがあると自分は燃えるタイプだと笑う石川さんは、

白と黒を“色”ではなく、“言葉”と表現した。

B&Wを何方向からも考察していることが窺える。

今回の全体を統一するテーマを掲げることは、

賛否があるとも思ったと石川さん。

応募できるはずのクラフトフェアに

普段白と黒の作品を作っていなかったら応募がしづらい

と思うこともあるかもしれない。

けれど、挑戦的にならないと勿体ないと話す。

 

「テーマを設けたことで、間口を狭めたと思っている人もいるかもしれないけど、先を見たら広がるアプローチだし、意外に全国的にテーマを設けてやっているクラフトイベントはあんまりないので、すごく面白いと思いました。そのときの小屋企画なり、その人の自分の状態なり、そのときに出すべきモノを出さないと。そういう流動的な、春と秋の開催が来る。それにどう取り組むか、毎回毎回、与えられるものにわくわくしますね。」

 

 

 

アロマキャンドルを制作しているnicoriさん。

薬瓶を使ったキャンドルには、

香りをイメージさせる小物が入っており、

かわいらしく目にもたのしい。

また、定番のキャンドルの中にはサイズ展開されているものもあり、

特別な日だけでなく、

毎日の暮らしのそばにあるキャンドルの提案をしている。

nicoriさんはB&Wは、

自身にとって身近なテーマだったと話す。

 

「キャンドルは光と影の側面が変わるから、B&Wは割と身近なテーマとも言えますね。それだけにいつも表現して考えているからこそ、どうやって変化をつけていくかがすごく難しいなと考えていました。でも、単純に光と影を抽出してもっと鮮明というか、精製させていくということが、B&Wというものが与えられたことで出来たのですごくよかったなと。」

 

B&Wに寄せた作品の1つは、

インクを水に垂らしてゆらめきながら混ざっていくように見えるキャンドル、

INKシリーズの『墨キャンドル』。

他のかわいらしいキャンドルとは一線を画すような、

シンプルな見た目のキャンドルだ。

 

「墨色の顔料を使って表現しました。香りは、パチュリという墨の香り付けに使われるものから枝葉を広げて考えました。今まで華やかな香りが多かったので、シンプルに絞っていって、大人の香りを表現しました。『墨キャンドル』はこのテーマがないと絶対ここまでの形にはならなかったなと思うのでよかったです。このための素材を研究するのも楽しくって。」

 

nicoriさんのブースには、

カレーやジンライムの香りなどアロマキャンドルとしては意外性のある作品も並ぶ。

「普段から色んな香りを嗅ぐのが好きなんです!」

と楽しそうに話すnicoriさんは、

これからもキャンドルの可能性を広げていくのだろう。

 

 

今回の会場で大きく変わったことは、

B&Wに参加するフード部門の出展者が一般部門のエリアに出展していることだ。

 

 

その一組である静岡市清水区で洋菓子屋を営むanchorさん。

普段、育児や仕事で頑張っている大人のためのご褒美や、

ちょっと贅沢をしたいなというときに、寄り添えるお菓子を目指している。

anchorさんのお菓子は、素材そのものの味や香りを感じることができる。

大人のためのお菓子は、一度にたくさん食べるものではなく、

じっくりと味わえるものが嬉しいと思う。

anchorさんは、B&Wのテーマを聞いて、すぐにお菓子の発想が浮かんだと話す。

 

「うちの人気商品のレーズンサンドは、小さいダックワーズにバタークリームとラムレーズンが挟まれたもので、見た目が白なんです。その対照的な黒のお菓子として、竹炭を使ってダックワーズを真っ黒いものにし、チョコレートのバタークリームとオレンジピールを挟みました。」

 

その他、お菓子の色からの連想だけではなく、

素材から考えられたお菓子もある。

例えば、

白いちじくや黒いちじく、上白糖や黒糖、

白味噌や黒胡麻などを使用したお菓子も並び、

初めて使う素材にも挑戦した。

 

「製菓材料屋さんに、ブラックカカオは色がけっこう黒く出ますよ、と教えてもらって。竹炭で黒を出すことも考えましたが、チョコレートのタルトなので、せっかくだったら使う素材はカカオで統一したかったんです。使ってみたら想像以上に色が出ましたね。笑」

 

お菓子でB&Wの世界観を作れたことは楽しく、

挑戦したことでお菓子作りの幅も広がったように思うとanchorさんは話す。

今回一般部門のエリアにフード出展があったことは、

エリア作りに違和感がなく、

新たな発見であったとスタッフから声があった。

それは、こうしてB&Wに向き合った方々がいたからこその景色であったのだろう。

 

 

 

1年ぶりに出展申込をした、

布花やアンティークビーズなどでアクセサリーの制作をするハナザラさん。

第1回目の開催から出展をし、

諸用で1度申込を見送った以外はこれまで出展し続けていた。

しかし、自身の出展の形について思うところがあり、

手を休めて考える期間を設けるためここ1年は制作をお休みしていたという。

そんなとき、作家仲間からB&Wの話を聞いた。

 

ARTS&CRAFT静岡のブログを確認したら、名倉さんが、単に白と黒じゃ面白くないよね、というような内容を書いていて、B&Wをテーマに掲げていて、それを言っちゃうんだと思って。それが衝撃的で、B&Wに出るか出ないかは別として、自分ならこうやるなとメモ書きを残しました。」

 

そのメモは、

「BLACK&WHITEと言われ、私が思う事は両極端。0か100か。そしてそれは静か動か。静かなデザインと動くデザイン。余分なものを捨ててシンプルなものだけど惹きつけるデザインを提案したい。」と書かれた。

 

「半年の休みの予定が、答えが出なくて1年休んで。そんなときにテーマがポンと出てきて、火が付いたというか。そこを私ならこうする!って提案するのが好きなんだと思う。自分なりの挑戦。A&C静岡の第1回目の一番に来てくれたお客さんは、私が出展していると今でも必ず来てくれる。お客さんをがっかりさせたくないという挑戦でもある。」

 

A&C静岡は、

出展者の発表の際に同時に出展エリアも発表される。

そのときからハナザラさんの挑戦が始まっており、

両隣の出展者、出展場所の光の入り具合などを考えて出展に臨むそうだ。

そんなハナザラさんは、

インタビュー中はレコーダーを前にしても緊張する様子もなく、

名古屋弁で軽快に話をされ、とても楽しそうであった。

お客さんは、ハナザラさんの作品はもちろんだが、

お喋りできることを楽しみに来る人も多くいるのだろうと感じた。

 

 

スタッフ、出展者両者が挑戦をしたB&W。

今回の開催について『green』での反省を指摘したスタッフの高山さんはこう話す。

 

「B&Wは、色々と考えて下さった出展者の声やスタッフからも案が出て、ひとつの方向へ向かえたという意味ではテーマを設けることは良いことだなと思いました。ただ、申込数は激減して、テーマを考えすぎて応募できなくなってしまった方がいたかもしれない。一体感が生まれる反面、辞退する方もいて、一概にバンザイとは言えない。今後もこういうことをやるのかは、今一度考えなければならないと思う。」

 

 

主宰の名倉さんは、

今回のフード部門のピンポイントでのB&Wの提案は、

来場者からもわかりやすく購入の動機や、

会話のきっかけともなっていて成功しているように見えたという。

一方で、一般部門の出展者のB&Wの提案の仕方について

どれだけ準備をしたのかが気になったと話す。

 

「B&Wをわかりやすくキュッとまとめて提案している方もいれば、曖昧な方もいるし、人それぞれ違いました。今開催の感想を聞いてすぐに答えが返ってくる作家さんは、それだけの準備をしているなと思いました。特に、いまいちというまではいかないにしても、ちょっと反応が薄かった作家さんは、実際どれだけの準備をしたのかなと疑問に思いました。お客さんは目に見える情報からパッと判断して、引っ掛かりがあればB&Wの話になったり、ならなかったり。何を提案して、それがどんな形であれ、目に留まる状態をどこまで準備してきたか?B&Wのコーナーでいえば、そこで結果は分かれるのかなと思いました。」

 

まだ開催中ではあったものの、

今後も全体統一のテーマを設けるかを尋ねてみた。

 

「統一性のあるテーマを会場全体で設けることはやりたいとは思うけど、来年とか2年後にやりたいとか、実施目標のようなものは考えないかな。きっかけが生まれてから計画を立てる。思いつきでは絶対にやらない、ということです。」

 

 

以上が、開催2日間のインタビューです。

 

今回のルポルタージュは、

前編に黒子に徹しているスタッフのインタビューをBLACKとし、

後編に開催2日間主役となる出展者のインタビューをWHITEとして書きました。

 

ルポに登場されていない出展者にも、

今回の全体統一のテーマを設けたことについて伺いました。

そのうちの一人の方は「どんなテーマでもやるしかないです。作ることで生活しているので。」と答えました。

A&C静岡の参加資格のひとつに『趣味としてではなく、生業として活動されている方。それを目指す方。』とあります。

1年間の準備を積み重ねる必要があったことは、この参加資格を掲げていることもあるのでしょう。

そして、これまでの開催以上に準備が必要であったのは出展者も同じです。

会場で見たハッとした景色や思わず手に取ってしまうような作品に出合えたことは、B&Wに真摯に向き合った方々が大勢いたからだとわかります。

 

後日談ですが、開催後に名倉さんのブログにはこう書かれていました。

 

「またいつかBLACK&WHITEをテーマに開催してみたいと思う。

けれど、今はまだ、私たちスタッフがもっと積み上げてゆかねばならないものがあり、

いつかの為に、これからの開催のひとつひとつを真っ当に向き合ってゆきたい。」

 

またいつかのB&Wの開催にはさらなる”準備”が必要です。

次のB&Wの開催の際にも、ぜひスタッフと出展者にインタビューをしたいと思います。

 

 

(後編おわり)

 

ライター

米澤あす香

https://www.recommonword.com/

 

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 2018年春季ARTS&CRAFT静岡手創り市

 開催日:4月7日(土)8日(日)

 申込期間:1月4日〜1月31日事務局必着

 ※小屋企画は”本”をテーマに開催!

 

 

ARTS&CRAFT静岡

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