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アトリエ訪問【月日工藝】interview

 「第6回アトリエ訪問【月日工藝】interview

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話す人:月日工藝→月
聞く人:名倉→名  ライター:植岡→植  サントラ制作:ユキ→ユ

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名:ではこれから、アトリエ訪問のインタビューを始めます。今回は「月日工藝」さんです。
早速ですけど、「月日工藝」という名前の由来を。
月:「はい。色々意味は含めてるんですけど、一般的に、すぐ人に伝えてるのは、私の下の
名前がですね、清い香と書いて、清香(さやか)という漢字なんですけど、「月」と「日」がその中に入ってるんですよ」
植:「清」に「月」ですよね?
月:「はい」
名:清香で「香(かおる)」に「日」。
「そうそうそうそう。その中に、「月」と「日」が入ってる。そこから「月日」って取ったんですけど」
名・植:おおー!!
植:予想と違った!
名:うん。全然違った。ここ取ったんですね。さんずいとかじゃなくて。
月:「そうそうそうそう。そこから取ったんです(笑)。
でもやってることが、最初は、工房ありきで物づくりをスタートした形だったんで、その、最初にやりたいと思った、オーダーメイドとリフォームと、あと、陶器の直しと、それに関連付けた名前で何かいいのはないかなってずっと思っていて。それで、時間軸による月日という意味合いもこの名前だったらあるし、そのつくった物、直した物をまた、長く使って貰えるような意味合いっていう、その手伝いをしているような意味合いもちょっと込めたかったので、こういう名前に辿り着いたという感じです。あとは、ツグミさんのアトリエ訪問でも同じだなと思ったんですけど、私も金属に限らず、漆の直しとかもあったんで、金工舎とかそういう名前は違うなっていうのがあって。それで、「月日」だけでもよかったんですけど、この工房の雰囲気からして、四文字位の方が合ってるんじゃないかって思って、「工藝」って名付けたんですけど。もともと「工」っていう字が、アンビルとかそういう、金属とか鉄の固まりってありますよね? ああいう物を指す「道具」って意味で、「藝」は「技」って意味だから、何か道具を使って、技を持って何かを創るっていうのが、丁度いい名前かなって思って、こういう名前になりました」
名:自分の道具、自分の使ってる道具でつくったり直したり、器を継いだり、というのと、真鍮の作品とか、それだけじゃないって意味で「工藝」っていう広い意味で。
月:
そうです。広い意味ですね。道具を使って何かをつくる、何かを直すんであったり。あと、ゆくゆくどういう風に広がっていくのかってわからないから、あんまり名前に捉われてやれることを制限するのはやだなっていうのがあって。自分がこうやって生きて行く中で、どういう風に人生が転んでゆくかわからないから、末永く使える名前だったらいいなぁっていうので(笑)。広い意味を持って名前を付けられると、自分も気が楽かなと思ったんですよね。なんかに押し込める名前だと、そこから発展出来なくなっちゃうから。ま、そんな感じで、一見何をしているんだかわからないような名前になってしまったんですけど(笑)」
名:でも、ホント、そのトータルで自分のつくりたいものをつくるというか、やりたいことをやるというか。このアトリエに来ると、色んな興味ある物が置いてあって、自分の作品だけじゃなくて色んな人の作品であったり、時間をまとったものであったり、そういうのがあったら、ホントにそれはその通りだなって思いますよね?
月:「そうですね。多分こうやってアトリエに来て頂くと、お客様の方もすんなりとわかるみたいで。そのお客様自身、オーダーを頼みに来たり、リフォームを頼みに来たり、器を直しに来たり、色んな人が来るんですけど、そういう方が来た時に、「あ、なんか、ここで頼んだら面白そう」とか、そういうのがちょっとでもわかって貰えるような場をつくりたいなと思って、ここをやってるみたいな感じですね」

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名:では次の質問。ここアトリエ、工房ですよね。ここはいつから始まりましたか?経緯とか含めて。
月:「工房をここ自体借りたのは、二年前ですね。こないだ丁度更新したので。それまでは、勤めてたりとか。三年前に小田原に帰って来たので、それから一年位ずっと探してたんですけど、探してる間は、物つくる場所とかあんまりなかったので、祖母の家のひと屋を間借りしたりとか、知り合いの作家さんで大きいお家持ってる人の部屋を間借りしたりしてたことがあったんですけど、間借りって私の中であんまり……集中出来なくて……。誰かの中に属するっていうその感覚が、作品を創る上や仕事をこなす上で宙ぶらりんな感じがして、間借りで何かをつくるのは無理だなって私は思ったんですね。だから、こういう独立して、自分で全部好きなようにコーディネートして、物をつくれる環境っていうのは、一年位かけて探して。やっとここは不動産の情報見て見付けたんですけど。ここを見た時に、一軒家だったんで、ゆくゆくは住む事も可能だし、元々はもっと酷い状態だったんですけど、手直しも自分でしていいって事だったんで、好きなように直して、自分のつくりやすいスペースを手に入れたっていう感じですね」
名:今言った様に、間借りをするっていうのは、自分自身の制作とか、お客さんに対するつき合い方の中で、月日さんには合わない、そうじゃない…
月:「なんか、ケジメを見せないとダメだって自分自身も思っていて。仕事を貰うって事はお金を頂くって事だから、自分も何かに対してリスクを負ってるっていう……。ここを借りるんだったらここを借りるためのお金が必要で。大したリスクではないんだけど、でも、そういう場所がある、ないっていうのは、お客様に対しては受け取り方が全然違うと思うので、こういう独立して何かをやっているっていう、そういう意志っていうか、ケジメみたいなものを見せたかったから、そういう場所はどうしても欲しかったっていうような感じです」
植:その自立した所からっていう感じと、ケジメという言葉が響きますよね。
月:「特に自分自身が、住まいは実家なので、実家で一部屋どうにかして仕事をするとなる と、オリジナルのものをつくるとかそういうことであれば出来るかもしれないんですけど、私の性格上それは無理だし。その、仕事をしてる訳なのに親と一緒に住んでるって、いつまで経っても親と子、であって、たぶん周りのお客さんから見ても、ああ、趣味でやってるのかな? って捉え方はあると思うんですよ。私がお客さんだったら、趣味の延長なんだって捉え方をしちゃうと思うんです。でもそれが、独立してやってるってことで、ああこの人は職業としてそれに対して取り組んでるんだな、というのがはっきり目で見てわかるような形を取るのが大事だったかなぁと思うんです」
名:アトリエを持つって事と、アトリエを持ってから、色々内装とか手直し入れながら、それでも制作も一緒にやってたと思うんですよね?で、実際にアトリエをつくる前と、つくってる最中、つくってから、その間にも月日工藝って名前は…あった?
月:「ないです」
名:で、自分の中の意識っていうのは、どういう様な? もちろん今言ったような考えがあって、アトリエつくったっていうのもあると思うんですけど、その中でも多分、つくってく内に変化ってあると思うんですよね?
月:「そうですね。どんな物でも、手を入れていくと愛着が沸くし、やっぱり私が物をつくるだとか、物に携わるっていう原点が、その物に対して長く使うっていう。捨てられそうな物を長く使うとか、とても大事なんだけど、捨てたくないんだけど、割れたり、デザインが合わなくなったりしたら捨てるっていう頭がありますよね?なんだろう? 上手く言えないな。普通だったら、例えば、おばあちゃんから貰った物は、すごく大事で想いが籠ってるんだけど、上手く使えない物とかあったりするじゃないですか?
そういう物を、何かひとつ手を入れる事で、結構気に入って毎日使えるような物に、変化をしようと思えばできる。ただ、その術を知らない人がいっぱい居るから、こういう方法もあるんだよ、って言うのも提示出来るような仕事をやりたいなと思っていて。だから私は、今やっているのはオリジナルだけじゃなくて、直しもする。そういうのも……。何の話してたんでしたっけ?(笑)わかんなくなっちゃった……」
植:アトリエを持つ事によって意識が変わる。
月:「あ! 意識が変わる! そうですね。直すってことと、この家は、誰も見向きもしなかったような家だったんですけど、むしろ直して行く事によってその気持ちが強くなった」
植:あぁ!
月:「あぁ、やっぱり、手をかければ、こうやってお客さんが来て喜んで貰えるように、そんな場所に生まれ変わるって言うのは、そういうものを大切にするとか、長く使うとか、すごく伝えやすいものではあるなぁーって思ったんですね。直してる最中に。それで、漠然としたものがハッキリしたというか」
名:もともと、月日工藝として、直すこととつくること、両立して、それを目指し始めたけど、アトリエをつくって、直すことによって、より明確になったというか。
月:「そうですね。あ、やっぱりこうやってひと手間かけることで、物って生まれ変わるんだってことに、この大きい箱を通してわかったし、それに共感を得てくれる人っていうのを、ここに来て貰えば得やすいじゃないですか? ここに来て貰って、ここに共感できなければそれはそれでっていう話なので」
名:あれですね? 来てすぐわかるのは、「(アトリエ)見ればわかるでしょ?」ってゆうこと。
月:「そうですね。なんか本当に気に入って貰える人は、だいたい同じような感性のある人で通ずるものがある人。お客さんもそういう人が多いので、どこどこのブランドの何々が欲しいっていうのが断定的になってる人は、ここに来て何も思わないのかもしれないけれど、それはそれで別にいいなっていう」
名:はい。
月:「答えになってますか?」
名:なんとなく答えになってれば(笑)
月:「なんとなくでいいですか?(笑)一生懸命しゃべろうとするんですけど、質問なんだっけ?って(笑)」
名:しゃべってると、自分がどんどんどんどん先行っちゃって、迷う事ってありますよね。
月:「あ、そうだ! そこに繋げたかったんだ。みたいな(笑)」
名:自分でこう、人に道聞かれて……。
月:「そう!」
名:連れて行きますよって言ったのはいいものの、どんどんどんどん違う所連れて行っちゃって、いつの間にか目的が変わってるみたいな(笑)
月:「そうそう! ここも美味しいですよ、みたいな(笑)」
名:それで、いいんじゃないですか?
月:「はい(笑)」

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植:あの、ひとつ気になったんですけど、直すこと、ひとつ手を加えてということに、月日さんが自身が気付いたのは、いつ頃だったりとか、どういう瞬間だったりとかありますか?
月:「うーん、なんだろう?」
植:気付いた頃というか、気付いた背景でもいいですし。小ちゃい頃からそういうものが当たり前のようにあったのかもしれないし。
月:「うーん。小さい頃から当たり前じゃなかったですね。なんだろうなぁ。前やってた仕事を通してそういう気持ちが強くなったのかもしれないし。そうですね、丁度、金属の学校を出た辺りで就活をするとかしないとかそんな時に、普通に金属関係、ジュエリー関係の仕事に就こうと思ったんですけど、私は受けようと思った会社が一社しかなくて、そこ落ちたらどうしよっかなーみたいな感じで(笑)。で、最終面談までいって、そうしたら最後の最後で、こんなにもここに入りたいって結構頑張ったけど、なんかちょっと違うかもって、社長と話してたら思って。案の定向こうもそう思ったんだろうけど、その時に、そこに就職はしない、できないって形になったんですね。で、そこ落ちて、その後私はどうしよっかな? そこに入る事しか考えてなかったと思って、色々考えてた時に、私が通ってた学校は東京だったんですけど、暮らしてた所が渋谷区で、毎日のように目まぐるしく流行が入れ替わって、とても発展していた地域だったんですね。よくバイトとか夜中迄して、帰り道を歩くと、そこら辺のデパートのディスプレイが、毎夜毎夜のようにコロコロコロコロと変わって、きらびやかだなとは思うんだけど、なんかこれでいいのかな? っていうのを学生生活の時に思っていて。生活そのものっていうのか、ずうっと働く事だったり、食べたり飲んだり、暮らしていくそのものの事だったりとか、そう いったものと、生活と仕事をあまりにも切り離していくのってどうなんだろう? っていうのが学生のうちに思った事で、でもこのままジュエリー業界に就職した所で、結局その答えも見つからないまま私は何年も過ごしていくんだろうなぁーって思った時に、漠然とすごい怖くなって。例えばつくる事だったら、それをどうやって生活と同じレベルで考えていけるんだろうって思った時に、そういうことをしている会社を見付け、そこに面接にいったら受かったので、そこから少しずつ、暮らす事だったりとか、つくる事っていうのを分け隔てていないような状況を見せて貰ったし、その仕事を通して、そういう風に生きている人達にとても多く関わったし、それを分けなくても暮らしてはいけるんだっていう実体例をたくさん見た時に、こういうのって絵空事じゃないんだ、雑誌の中や本の中のことだけじゃなくって、そういう風に暮らしていっている人たちが結構いるんだなっていうのを生で見たし、生で話を聞けたから、行く行くここまで辿り着いて来れたっていうのはあるんですね。その時に、仕事を通してそういう人達と話していって、尚更、物を長く使うとか、作家がわかっている訳じゃないですか? 仕事をしていると、こういう人がこういう物をつくってますってわかった時に、大事に使いたいなっていう気持ちが芽生えたりする訳じゃないですか? なんかそういうのを、どういう方法であればサポート出来るんだろうって思ったら、自分が出来ることは金属だったんで、金属関連の仕事と、あと丁度、その仕事をしている間に金継ぎというものを教えて貰う機会があって、それを教わりにいってたんですけど。それで、その教わってた先生というか、同世代位の方だったんですけど、その方が、病気で亡くなってしまって。同世代の方が亡くなるってショックだったんですね。その人が白血病だったんですけど、最後、亡くなる直前とかに教えて貰ったので、その人の意志を継ぐって言ったら大袈裟なんですけど。道具を、お母さんは辛いから全部捨てたいという感じのを譲り受けて、別にそれをすぐ仕事にしようとは思わなかったんですけど、長いスパンで続けていきたいなっていうのがあって、金継ぎは続けようって思うのと、金属でも、オリジナルをつくるってことだけじゃなく、直すってことも踏まえてやっていけたらなって、徐々に形が固まっていったんです。だから、最初からそういうのに興味があった訳じゃないです。ホント巡り巡ってって感じですね」
名:ホント、巡り合わせですね。もともと月日さん自身が、直すことだったりつくることだったりにする背景、考え方があったにしても、結果的にそれを実際にやってく上で、色んな人との出会いとか巡り合わせとかがあって。
月:「そうですね。金属やってるから手先が器用なんだろうみたいな感じで、社長が金継ぎやってる方と私を繋げてくれて。もともとそこで働いていたスタッフの方だったんですけど、病気で亡くなってしまった人は。多分社長とかその周りの人も、その子が活き活きと何か出来ることをさせてあげたいって事で、人に何か教えれば活き活きするんじゃないかって事で、私も派遣されたんですけど、そういう繋がりで金継ぎに出会ったっていうのはありますね」
植:ありがとうございました。
月:「はい(笑)」



名:じゃ次行きますね。普段、このアトリエでどんなこと考えながら作業してますか? 作業って色々あると思うんですよ、つくることだったり、直すこととか、梱包、事務の仕事とか。その中でも、多分、自分のつくった空間の中で、自分一人でやってると思うので、色々想像しながらとか、考えながらやってると思うんですけどどうでしょう?
月:「そうですね。何だろう? 何考えてるかなぁ……。やっぱりつくるものによって、考えることが全然違うんですけど、修理だったら、こうして、こうして、っていう。金継ぎも無に近い感じで、事務的にって言ったらあれですけど」
名:一心不乱?
月:「そうですね。金継ぎしている時は、風も吹かない無風状態でやるし、音も流すと集中できないんで、無風無音の中で取り組むって感じなので、あまり何も考えてないんですけど、ただ段取りだけは頭に入ってるっていうか」
名:なんか時計の技師みたいですよね
月:「そうですね。そう、そうかも。でもそんな大それた事言ったらなんですど、ホコリとか入ると、漆だからあれなので、そんな感じで。あとは、オリジナルをつくるときは、もう既に形が決まっているものであれば。ホントに数をこなしていくというか、時間を決めて、こっからこれはここまでに仕上げたいとか決めてやってる位で、その間はラジオ聴いたりとか、リラックスした感じでつくってく様な。ただそのデザインが決まる迄は、結構ぼーっととしたり」
名:デザインって、考えて考えてひねり出すって感じですか?
月:「あんまりそういうタイプでもないのかな? お客さんと手創り市で話したり、お店の人と話したりして、こういうのあったらいいよね? ってところから発展させていく事が多いです。こういうのが欲しいとか、こういうのがあったら、って言って、それで三角だったら三角の大きさだったり、厚みだったりで印象が変わるので、色々試してみて、なんか自分が一番しっくりくるような大きさで終わらせるとか、それは実験みたいな感じなんですけど。別に、すごく考えたからいいものが出るってものでもないので、今あるアイテムの中でもどうやってこれ、生まれたんだっけっていう位、覚えてないものが多くって」
名:思い付きとかってないんですか?
月:「ありますあります」
名:ふと、全く考えてないのに、いきなりやって来た、こいつは!みたいな。
月:「ありますねー。そういうのはだいたい材料をいじくりながら、こんなのつくったらいいかなぁーとか、思い付きもありますね。でも、オーダーメイドだとそれは全然違うので」
名:それはそうですよね? 思い付きでやれないですよね?
月:「そうそう。お客さんに「こんなのいいだろ?」みたいなことは絶対言えないので(笑)こうやって対面でお客さんの性格とか、今どんなものを身に付けているとか、普段どういう仕事してるとか、そういうのを聞いて、どういうのがいいっていうのをこっちから提案をしていくような形にはなるんですけど、そこに私の我は殆どなく、その人達にあったものを自分の中に落とし込んでいく形なので」
名:会話をすることによって、引き出していく。
月:「はい。その人にあったものを提供する、なりきる感じですね。すごく客観的に見る」
名:なりきるってすごいですね?なりきれます?
月:「この人の指にこういうのはまってたら素敵、とか思いながら話してるので、成り切るって違うか?」
名:面白いですね〜なりきるって発想は。
月:「頭は全然自分はない。その人の事しか考えてない」
植:空(から)の入れ物みたいになっていて、その人が中に入って来る?
月:「(笑)それ何だっけ?恐山?」
植:シャーマニズムですね(笑)
月:「そこまで神々しい感じではないですけど(笑)」
植:ニュアンスとしては?
月:「そうですね。その人が求めてるものを聞き出すって感じですね。だいたい、なんかよくわかんなくてって人が多いので、具体的にこれつくってとかいうよりも、なんかわかんないんだけど、結婚指輪なら、結婚指輪をつくらなきゃいけない、でも私たち普段指輪しないからどういうものがいいのかわからない、とか、そういう方が結構多いので。話すだけ話す、くだらない話とかもしてみて、その中から、この二人にはこういうのがいいんじゃないかな?ていうのを提案してあげる感じで、全然オリジナルつくる時と頭は違います」
名:どうでもいいんですけど、結婚指輪をつくる人で、この場でもめたりしないですか?
月:「(笑)えー! みなさんラブラブな感じで」
ユ:そんなじゃダメだよとか。
名:一見自分はイメージがないっていいつつも、でもそんなことないんじゃないかって僕だったら思うっていうか。
一同:あぁー!
名:実はあるけど、別に、言う迄もない。でも話してる内に、自分がもともとこうだって思ってた事が出て来ちゃって、夫婦というか、夫婦に成る前の二人の意見がぶつかり合うみたいな。
月:「でもなんか……。」
名:チクチク。
月:「チクチク?結構、お二人にもよるけど、どっちかが優勢みたいのがあって、(女)「こんなの付けたいなー」(男)「やだよ!」みたいなことは、時にあったりもするけれど」
ユ:男の人あんまり気にしなさそうですよね?
月:「こだわりの強い人と、そうでもない人の両極端」
ユ:なんか、女の子が決めちゃいそうじゃないですか?
月:「結婚指輪ってペアみたいな感じじゃないですか? 二人でゴテゴテのはなぁーみたいな。だから、女の子に好きなようにしていいよって言ってくれる人がいいんでしょうけど(笑)」

★ここで、月日さんのアトリエの庭を人が通っていく。

名:通りますね〜(笑)
月:「あの方がよく通行料とかいって、よくお菓子とか、飲み物とかくれるんです。ブログに出て来るお裾分けの方です(笑)」
名:普通に通るんだね。
月:「これからカラオケ行って来るとか(笑)」
名:(笑)では、次。子供の時、どんな子供でした?それはつくることとかも含めて、関係なくどちらでも。
月:「子供の時……。子供の時からつくることは好きでしたね」
名:学校の授業でも?
月:「学校の授業は図工が一番好きでしたし。うーん、なんだろう? 子供の時……。幼稚園の時は、裁縫に目覚めて、チクチク縫って、今考えると迷惑な話かもしれないですけど、手縫いのバックとかを幼稚園の先生にプレゼントしたりとか。小学校、中学校は絵描いたりしてたので、描いたりつくったりすることが生活の一部ではあったけれど、そういう仕事に就くとは全然想像してなかったかなぁ」
名:いつぐらいから意識し始めたとかありますか?ターニングポンイトまではいかないけど、なんかぼんやりと。
月:今後美術やる!とか?高校の時ですかね?進級、進学を考える時に。その時美術を担当してくれていた先生がすごく変わった先生で、私が通ってた学校が普通の進学校だったんで、美術とか音楽とか書道とかはおまけだ、みたいな扱いで」
名:趣味?
月:「そう趣味みたいな感じで、その専任の先生もいなかったんですよね。非常勤の先生を適当に入れるみたいな感じで、普段は美術だったら、美術の予備校とかあるじゃないですか? そこで先生やってる人が、ひょろっと来て、高校の授業教えて帰るみたいな感じで、なんかその先生がすごくひょうひょうとした先生で、普通学校の授業って課題がきちきちしてて、こういうものを創らなきゃいけない! とか、こういう絵の技法!とか結構面白くないのが多かったんですけど。その先生は、美術を専攻する生徒もそんなに居ないからか、好きなようにやらしてくれて、好きなようにつくればいいよって感じだったんですね。で、ある時、その先生が肩から掛けてたバッグがかっこ良かったんで、「先生それどうしたの?」って言ったら、「これつくったんだよ」っていうのを聞いて、バックつくれるんだすごい!って思って、授業中に革買って来て、バックのつくり方教えて貰ったりとか。あと、デスマスクっていうか、ベートーベンみたな、顔に石膏流し込むやつやろう!みたいな感じで。ホント今考えたら死ぬんじゃないかっていう、口にストローを二本立てて、鼻に綿みたいなのを詰めて、そこに寝ろ!とか言われて、石膏流されるんですけど。10分くらい笑っちゃいけない、空気このストローのみ、そこを塞がれたら死んじゃうみたいな感じで、そういうのをやらしてくれたりとか。その間は面白い事まわりで言いあってるんですけど、でも笑っちゃうと型がとれなくなっちゃうから。そういう変わった事をさしてくれる先生で、そういうのを色々つくっていくうちに、このまま進学っていうより、つくることってすごい楽しいぞ! って思って。勉強だと、夜耐えられなくて、寝ちゃうけど、物つくっているときって、別に寝なくても全然いける、っていう。そういう所から、こういう事をずっとできるのっていいなっていうのを漠然と思って。今迄、高校生に上がる迄、絵を描いたりとかそういうものは好きだったから、性格だったりうんぬん、性格を認めて貰うとか、コミュニケーションツールのひとつであるなぁっていうのは感じたんですよ。だから、自分が物つくらなくなったら、自分自身が欠陥しているみたいな、そういう意識があったから、そこを強くできるような、見詰め直すような勉強が出来たらなと思って、それで美術系の学校に行ったんですけど」
名:今言ったコミュニケーションって、月日さんにとっての面白いコミュニケーションをするためには、やっぱり自分がつくるっていうこと。
月:「そうですね」
名:で、つくることを介すると、自分が楽しいな、面白いなっていうコミュニケーションが取れる、ということですよね。
月:「私が大学に行ったのは、アメリカの大学だったんですけど、その時に、普通より英語出来ない訳ですよ。アメリカ人の集団があって、その中に変な日本人がポンと来て、まわりとコミュミケーション取ってく上で、勉強なりなんなり方法があるけれども、一番無条件にわかり合える方法がやっぱり物をつくることだったんで、それが一番すごくコミュニケーションが取りやすくて。向こうも、この人面白いな、この人こういう事考えて生きてるんだ、みないな、言葉でなくとも心でわかり合えるっていうのは肌で感じて。どの国いっても、物つくってコミュニケーション取れるんだっていう事を、すごく色濃く感じましたね」
名:感じ方が違っても、その感じ方の違いが面白い、とか。
月:「そうですね」
名:感じ方が同じだったら、それはそれで共通項として面白いし。
月:「バックグラウンドが違うような人間が集まった時に、人それぞれ捉え方も違うし、そこで面白い反応がまた起きるし、コミュニケーションのひとつってことはその時期位から感じてますね」
植:コミュニケーションで思ったんですけど、月日さんのウェブサイトあるじゃないですか?あれ、文字の大きさ変えられますよね? 
月:「ああ! 変えられます(笑)」
植:あれが月日さんらしいというか、コミュニケーションの第一歩が始まってる。
月:「老眼でも大丈夫みたいな(笑)」
植:で、つくること。出来上がること。作品で、人柄ではないけれどもそういった所が表せるということと、ウェブサイトも月日さんのつくったものだから、という風に、僕は感じているんですね。
月:「ああー。そんな大それた物じゃないんですけど(笑)。もともとデフォルトで入ってたものでそんなに大それたものじゃないんですけど(笑)。でも、老眼の人もいるだろうし、逆に私は字を小さく見たいときもあるから、勝手に使って貰えばいいかなってあのツールは残したんですけど。でもブログを書いててもそうですけど、あんまり難しい言葉というよりは、自分らしく文章を残すにはわかりやすい言葉で、まぁ、つたないですけど(笑)綴っていければいいなっていうのはあるので、子供でもなんでもわかりやすく。」
植:すごく自然に入って来ますよね。言葉が。
月:「そうですかね?」
植:シンプル。
月:「あまり、まぁ、難しい言葉を知らないってのもあるし、そうすると私自身もよくわからなくなって来ちゃいそうだから。誰でも受け止めやすい言葉では書きたいなとは、常に思ってますね」
名:それは月日さんの作品にも表れているというか? 形に出てるんじゃないかな?って。旗のピンとか、髪留めのゴムとか、形がすごくシンプルじゃないですか? そういう意識ってゆうのは、はっきりと落とされるんじゃないかなって思うんですね、物の形にも。すごく感じますよね?
月:「だといいです(笑)」
植:あと思ったんですけど、ブログにも記述がありますし、僕が個人的に作品を見ていて思った事ですけど、自然の記述、自然を形にしたものが多いなと僕は感じていて。
月:「自然からヒントを得たみたいな?」
植:で、今日、月日さんの自然観というか、自然と作品との関係性みたいなところを語って貰いたいなと思って。
月:「ええっー(笑)そんな言う程、自然の中に暮らしてないんだけど(笑)どうなんだろう?」
植:生活の中に、自然と自然がありますよね? 普通に。
名:その自然っていうのは、無理がないって意味?
植:そうそうそうそう。
月:「ああ。そうですね……自然観!」
植:そんな大それたものでなくてもいいですよ。
月:「えー、難しいなぁ」
名:難しいね。
植:前にメールでも感想を書かせて頂いたんですけど、コースターは満月に映るススキの野原に思えたりするんですよ。
月:「うんうんうん」
植:あれってやっぱり、月日さんの中に自然があるから出て来るものだと思うんですよね。
月:「でも確かに、自然の形だったりとか、そういうものから、インスピレーションと言ったら大袈裟なんですけど、そういうものからこういう形をつくっててみたいなとか。例えば、物を産み出す時に、過去に見た景色だったりとか、そういったものから、実際に形に落とし込んで、つくったりとかいうのは多いですね。うーん。写真は撮らなくとも、自分の頭の中で強烈な景色とか、すごく感動したものとかって、何年経っても残ってるじゃないですか?子供の時冒険した原っぱとか、そこで変な実を食べたりとか。そういうものが紐解いて紐解いて、材料触ってて、今ふっと思い出したりとか、それをアクセサリーにするんだったら、どこに身に付けたら面白いかなとか、そういうのがフッと出て来たりすることはありますね。答えになってますか?」
植:なってます。その、原風景的なものもあるし、その強烈に記憶に残る、記憶の中核に残るものっていうのはわかりますし、それを形に落とし込もうっていう、そこにも無理がない感じがしていいですよね?
月:「あんまりそこら辺に無理はしてないですね。自然にって言ったらあれだけど。そういうもの、今はないような風景ばっかりじゃないですか? 過去に感動したとか、子供の時遊んだとか、そういうものに対しての敬意を示すって言ったらあれなんですけど(笑)そういう気持ちはいつまでも忘れないでいたいって気持ちはあったりするのかなぁ。ちょっと話が大袈裟かもしれない(笑)でもそういう感じです」
植:ありがとうございました。
名:その今言った記憶って所で、話また被るんですけど。過去に残った記憶って、今言ったように、大抵今はないものが残ってますよね?
月:「そうですね。すごく「ない」ってことに気付いた時にがっかりするじゃないですか?喪失感も混ざっては来ると思うんですけど。ないってわかっても、なくなっちゃったって思うから、それがすごく鮮明に再インプットされるというか。子供の時に遊んだ所とかも、もう殆ど、工場とかになっちゃって、なくなっちゃったんで、そのがっかり感とか、そういうのはすごく感じますね」
植:変な話ですけど、心には時間の概念はないから、永遠じゃないですか?
そういうものも永遠に残せますよね?
月:「そうですね。うーん。うふふふ(笑)かっこいい〜」
名:これ文字になるとね(笑)
植:酷いよね?(笑)
名:文字にすると、植岡さん苦情来るよ(笑)
月:(笑)
植:やっちゃった(笑)じゃ、次行きましょう。あ、名倉君、話し続けなくていいの?
名:今のでいいよ。今以上のこと言えないから(笑)

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名:では次の質問です。今、月日さんはつくり手としてアトリエを持って、何年ですか?
月:「アトリエを持ってですか? 二年ですね。はい」
名:で、これからつくること、そもそもつくることを始める人や、今つくってるけど、住まいとは別にアトリエを持とうかな?とか、ちょっと違う環境でアトリエを持とうかなっていう人に対してのメッセージとか。私はこうだけど、こうした方がいいよ、とか。
月:「こうした方がいいよ?」
名:こうしない方がいいよ、とか(笑)
月:「なんだろう? まぁねえ、つくることは別にそんなハードル高いものでもないから、どんどんやってしまえばいいと思うんですけど。アトリエを構えるかぁ……。アトリエも出来る範囲でやればいいと思うんですよね? そんなにすぐに背伸びしなくても、出来る範囲で少しずつ。私が始めた時も、どっかに間借りするとか、それがすんなり合えば、それを続ければいいことだし。私みたいにやっぱり一人でどうしてもって思ったら、その時感じたストレスとか、欲求とかで、次に繋がっていくと思うので、自分が出来る範囲でとりあえずやってみたらいいと思います。後は、忠告?これは気をつけた方がいいよ?とか?・・・すぐに結果を求めない方がいいと思います」
名:作家活動していくうえで?
月:「うえで。お店屋さんとかもそうですけど、一年もしないのに店閉めたりするとか結構あるじゃないですか? 面白くなるのは一年過ぎてからじゃないのかな? とか。徐々に徐々に、一年よりも二年、二年よりも三年っていう、感じで面白さが増していくと思うんですよ、何事も。だからなるべくそうやって末永く出来るように、すぐに結果を求めず、自分なりの方法で続けられることを考えていったらいいと思う。ただ、すぐ反応がなかったとか、売れなかったとかで、すぐ止めてしまうんではなくて、ホントに細々とでもいいから、自分のできる範囲で続けていくことの方が大事かなと思う。どんなものつくる人でも、同じ感性にひっかかる人って必ずいると思うんですよね? すぐ反応はなくとも。その人に巡り会うために頑張ってください、という感じです。一回そこで繋がると、たぶん、どんどんやる気も出て来ると思うんですよ」
名:最低三年はやらないとね。一年目っていうのは、お客さんと色々知り合う機会がある時だと思うけど、そっから二年目、三年目っていうのは、一旦お客さんと知り合って、時間経って、色んな同業者とかお店とか知り合って、ひとまずこう、整理が付く時間、そこには三年はかかると思うから、だから三年生が一年生。
月:「そう思いますね。一年目じゃ何も語れないというか、面白い事は、もっと先にあると思いますね。だから、つくりました! 発表しました! で、反応なくてやめちゃうのはすごく勿体ないなって思います」
名:まぁそれは、言ったら悪いけど、本当にやらない方がいいですよね。勿体ないというか。
月:「うーん、そうですね。続けていく為にはどうしたら、頭も使って来ると思うので」
名:うーん、そうですよね。
月:「そこで考えることが必要かなと。」

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名:そういえば、先月で手創り市に出始めて、一年。
月:「そうです。一年でございます(笑)」
名:ありがとうございます(笑)。
月:「こちらこそありがとうございます(笑)」
名:この一年で面白い事とか?
月:「ありまくりですよー!(笑)月日工藝が変わりましたね。なかったらどうなってたんでしょうねってくらい。広がった輪というもの大きいし、手創り市がなかったらオリジナルでものつくってないと思うんですよ、私。手創り市に参加しようって決めてから、オリジナルの物をつくり始めたんですよね。とっかかりがあれなんですけど。最初、オーダーとリフォームと金属、器の直しをやってて、一年それで経って。一年経って落ち着くじゃないですか、一段階。ここも落ち着いて、お客さんとのやり取りとかも落ち着いて。さぁこれをどうやって広めていこう? って何となく思っていて、近所のお客さんターゲットだったら、近所のお店にチラシを置かして貰う、その方法以外で他の地域の人と繋がる方法はないかなぁって、宣伝の効果も兼ねて色々方法を探しあぐねていたのですけれども、私自身が雑誌とか読まないし、何が流行ってるのか全然わからないので、手創り市のことも去年の今頃まで知らなくて、申し訳ないんですけど(笑)。それで、たまたま手創り市を知ったきっかけに辿り着くんですけど……。話長くなるかなぁ……」
名:いいですよ!
月:「これからどういう風にして色んな人と関わっていけばいいんだろう? とか。「月日工藝」っていうのがあるんだよって知らせていこうって思った時に、その時、オリジナルの物をつくるとかいう頭がなくて、ちょっと知り合いのお店から頼まれたりすると、ジュエリーをつくって卸すとかはあったんですけど。それ以外で自分が雑貨とか、そういう物をつくりたいなぁっていうのはあったんですけど、まだそこまでお尻に火を付けるきっかけがなかったというか。工房を一段落させるまで大変だったというか」
名:これだけ広さあればね。やる事いっぱいありますよね?
月:「そう。やることがいっぱいあり過ぎて。で、一段落した時に、オリジナルの事だったり、広告の事だったり、どうしたらいいかな? と思った時に、普段ものつくってると時々息抜きしたくなるんですよね。図書館に行きたいとか、カフェ行ってぼーっとしたいとか、時々ばーって運転して何処かに行きたくなるんですけど。その時に、いわもとさんのお店が二宮にあった時に一度行っていて、その直後くらいに工房が見つかって、直しに入っちゃってたんでずっーと行ってなくて、なんかドライブがてらあっちの方行こうかなと思って、定休日を調べようと思ってネットで探したら、ホームページがなくなってて、それで色々探してみたら、閉店していたということを知って、閉店したとなると逆に会いたくなる、見たくなるというか、なんか見付けたい!」
名:あいつはどこいった?
月:「あれリノベーションっていうか、セルフビルドで家建ててますよね?セルフビルドで家建てたのにもう閉めちゃって大丈夫かな? って心配になっちゃって。一回しか行ってないのに(笑)ちょっと心配になったりして、それで探してたら手創り市のホームページに当たったんですよね。ヒットして。何故かそこにいわもとさんの連絡先が乗ってたんですよね?手創り市関連なのか、rojicafe関連のなのか?わからないですけど、連絡先、電話番号が出てたから、電話してみたんですよ」
名:へー。電話番号まで!
月:「そうそう」
名:そりゃまずいね・・・
月:「ワークショップの申し込み……」
植:事務局の電話番号?
月:「ううん。いわもとさんの電話番号」
名:携帯電話?
月:「はい。携帯電話です。なんかヒットして今どうしてるんだろうと思って、ちょっと知りたくなったのがあったので、それでいわもとさんに電話したんですね」
名:電話したんだ!俺だったら絶対電話できないな(笑)
月:「電話してみて、それが丁度手創り市のやる三日前位だったんですね。で、今は家の事情があって茨城にいるんだけど、毎月手創り市というのがあってそれに出てますよ、みたいな感じで言われたので、そういうのがあるんだぁ! って。で、茨城と東京って遠いじゃないですか? そんな離れてでも行きたい場所ってどんな場所だろう?ってすごく気になって(笑)そんな苦労してまでも行きたいものって何?って思って、それで好奇心だけで行ったのが去年の五月だったんですね。で、見てみたら、あ!こういう場があるんだって。お客さんも賑わってるし。リーマンショック以降、どんな知り合いのお店と話したりしても、どこも経営が厳しい、お客さんが来ないっていうムードだったんだけど、なんかそこは、最近見た事がない位の活気の東京があって、ああこんなに人が来るんだ、お客さんは来る所には来るんだなってなんか思って、そこでいわもとさんとお話しをしたんですよ。そうしたら、私は一回しか行った事がないので、そんなに良く話す仲とかそんなんじゃなかったんですけど、そこに居る人たちが楽しそうだったし、いわもとさんが、「見るより出る方が絶対楽しいよ」ってポロッと言ったんですね」
名:おお!いいこというね!
月:「それで、へーそうなんだ!って、私単純なんで、帰ってからすぐに申し込み書送って。で、出る事が決まって、それから、何しよう? ジュエリーなんかあんなとこ持って行ってもしょうがないな、風で飛ばされそうだなと思いながら、その空間にあった物、お客さんも気軽に手に取れるようなもの、後は、自分が、ジュエリーやったり器やったりすると、どうしてもターゲットが女性に偏ったりするとか、年齢層も限られて来るけど、そういうのに捕われずに、男の人でも手軽に手に取れるとか、結構若い子だったりとか、逆におじさんだったりとか、手に取って貰える物をつくりたいなって欲求がばーって出て来て。それで、オリジナルの手軽な雑貨とか、そういったものをつくろうっていって、つくってって感じです」
植:じゃ、あのコースターとかも……。
月:「その時です。その前から、自分でこんなのあったらいいなぁっていうのをちょこちょこつくってたりするんですけど、でも、大まかに今、手創り市に持っていってるラインは、殆どその時に出て来た。つくりながらこういうもの、こういうものって増やしていったもの。だから手創り市に参加しようって思わなかったら、小物とか雑貨とか文具とかこんなに早くはやらなかったと思います。いわもとさん、さまさま(笑)」
名:さまさま(笑)
月:「でも何か結構そういう事ってあるかなって思って。自分自身、こういうことないかな?こういう機会ないかな?と探していて、たまたまいわもとさんに辿り着いて、いわもとさんが言ってくれた一言で、ここに面白い物があるのかもって、気付いたりする事結構あるじゃないですか?だから、自分自身が、手創り市に出店してて、「興味あるけどまだ出せません。どうしたらいいですか?」みたいなお客さんも結構いるんですけど、なんかそういう私が放つ何気ない言葉が、その人の人生だったり、その後を大きく左右するんだったら、なるべくポジティブに勧めていきたいなとは思います。自分もそうやって、誘って貰ったから今があるので」
名:いい例ですね。
月:「いい例ですねー。いわもとさまさまでございます(笑)」



名:何か質問したいことありますか?ユキ君何かある?
ユ:俺は今日はもう、勉強させて貰ってます。
月:「あははは(笑)。眠りそうだー。大丈夫(笑)」
ユ:いえいえ。真剣に聞いてます。
植:じゃ、あの、実際、アトリエを持って月日さんやってるじゃないですか?で、つくる事と、生活する事、そのバランスの取り方っていうのをどういう風にしているか? 気を付けてる点などありますか?
月:「気を付けてる点? つくる事と生活する事?」
植:分けてなければ分けてないでいいですし、こういう所は分けてるとか?
名:ONとOFF。
月:「ONとOFFは、家と、寝たり食べたりする場所と、仕事する場所が違うのでそれは必然的に」
植:空間が変わる事によって。
月:「ここ来たら、カチっと仕事モードになる訳じゃないですけど」
名:まぁ、寝ないようにとか。
月:「そうですね(笑)まぁ、仕事しよう!みたいな感じで」
名:お菓子ばっか食べない様にしよう。
月:「そうそう(笑)そうですね、一本筋が入って来るというか、通るというか、ああここ来たら月日工藝の仕事しようっていうようなスタンスに自然となるので。逆に家と仕事場一緒の人の方が大変なのかなって思うんですけど。私だったら、夜中迄やる日ばっかりになっちゃうのかなぁ。わかんないですけど。ま、そういうのもいいですよね? 家と仕事場繋がってても」
ユ:広ければいいですけど。
月:「広ければ!(笑)そっかー」
ユ:あんまり狭いのもね。
月:「作業して片付けてとか、大変ですよね」
ユ:なんかやっぱり、気持ちの切り替え、僕は場所だったり、時間だったり色々なんですけど、でも曲とかは自分の部屋でつくってるから、繋がってるんですけど。今二階建ての家に住んでて、一階はリビングで、二階は、まぁ自分の部屋っていう所でやってるんですけど、やっぱ切り替わる。
月:「階段で」
ユ:どこに住んでても、ここで切り替えだっていうのを作れば。
月:「聖域みたいなものをつくるんですね」
ユ:ここだったらすぐ寝ちゃいますけどね。
月:「あはは(笑)」
ユ:寝て、起きてからやる。
月:「寝てONにする(笑)」
名:寝てから考えよう。考えてからまた後でやろうみたいな。
月:「そっか、確かに、眠りは誘う」
名:逆に、僕は切り替えないですね。
月:「あーー」
名:切り替えないって決めてるっていうか。
月:「敢えて」
植:ずっとすべてのことが関わって来る。
名:うん。うん。ホントだから、手創り市にしても、昼間の仕事にしても。人に話すとだいたい「え!」って言われるけど。
月:「切り替えないって言うと?」
名:いや、昼間何してるんですか?って言われて。中には、こいつは仕事してねえだろうなって思ってる人もいて(笑)、それなりの立場でやってますけれど、そことここは別個でもあるけれど、そもそも公私分ける理由がない。
月:「多いと思いますよ! みんな手創り市の資金だけで暮らしてるんだろうなって思ってると。そういう人多いんじゃないですかね?」
名:後は、すごいお金持ちのぼんぼんで、世間知らずの人だとか。
月:あははは(笑)なんか面白いそれ! 金持ちの道楽的な感じ」
名:お坊ちゃんで、だからいつもあんな好き勝手言ってるんだろうなって(笑)
月:「でもすごいですよね? 昼間仕事して、それで手創り市に賭ける熱もあって」
名:ホント、繋がってるっていうか。すべていきてますよね?rojicafeやってる時も、一見昼間の仕事も関係ない様に見えて、すごく繋がりがあるし、わけるなんて考えはない。

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名:最後の質問は今後の目標ですね。すぐ目の前のことだったり、中期的だったり、長期的であったり、ま、色々あると思うんですけど、それを教えてください。
月:「まず、身近な所かぁ。目標というかやりたいなと思う事なんですけど、工房に遊びに行きたいっていう人が居たりとか、あと、来てくれたお客さんが話してだいたい帰るってことが多くて、その中から声が多かったのが、ワークショップだったりとか、ちょっと自分でやってみたいとか、そういう声が結構あるんですね。で、教室っていうと、ここで毎週教室っていうと私には重荷になってしまうし、工具も人数分同じ物を揃えるとかだと、後々管理とか大変だなとか思って。ワークショップだったら、アイテム的に決まっている物を一つ、形は好きにつくるっていう風にすれば、結構気軽に出来るんじゃないかなと思って。この場を楽しみながら、くだらない話しをしながら物をつくるっていう。普段金属を扱うことって知識ない人には殆どないと思うので」
名:叩いてみたいですよね?
月:「そうそうそう。叩いたり、好きな文字を刻印したりとか。そういうワークショップをここでやってみたいなというのはありますね」
名:いいと思いますよ。
月:「はい(笑)」
名:そのワークショップはご飯付きますか?
月:「付けなきゃダメですか?ラーメンでいいですか?」
名:ラーメンでもおにぎりでも。
月:「何かケータリング? おにぎり、パン、サンドウィッチ!」
名:サンドウィッチか…(苦笑)
月:「まぁそうですねー。やれたらなーとは思います。長期的なもの?なんだろう?なんか長々やっていく内にまた新たな展開っていうのは見えて来ると思うんですよね?想像できなかったお話しが入ったりとか、そういうのに対して、常に素直で受け入れられるようにはしたい。もちろんダメならNOとはいうんですけど。だから、そういう余力を自分に持たせつつ。最終的にやりたいのは、あんまり、こうして言葉にすると大袈裟過ぎて木っ恥ずかしいですけど」
名:文字にするともっと(笑)
月:「どうしよう。まぁ、言うか。地域というか、自分は今、一人で、家族も自分の両親とかくらいだし、今後家庭を持ちたいとは思いますけど、その時に子供との関わりってあるじゃないですか? 子供の時に感じたもの、感じたことって、感じた景色、そういうのって今の私にも色濃く残っているというか、それがすごく大事なことだったりするものって多いと思うんですけど、あの時にこういう大人が周りに居たら面白かったかもな?という風に後から思った事もあるんですよ。子供に対して、大人っていうのは、自分の両親と親戚、近所の人とか、友達のお父さんお母さんとか、そういう感じだけが殆どじゃないですか?で、そういうものの価値観の中で、育っていって、その子なりに、これは好き、嫌いとか、こういう風に成りたい、成りたくないとか、その中から見出していくと思うんですけど、そういうのとは全然違う、自分の両親とは全然違うような生き方をした大人がポンと入った時に、世界がばーって開けると思うんですよね? 私とか、私以外、物つくって暮らしてる変な人たちがいるぞ! っていうのを、子供たちが子供の時に、そういう人達に出会ってると、何かもっと、決まりきった将来設計じゃなくて、違う方向に考えていけるんじゃないかな? ってふと思うときがあるんですけど。だから、自分の子供だけでなくとも、地域の子供とかに関わる機会とか、なんかそういう為に出来るきっかけとか、そういうのをゆくゆくは探していきたいと思います。なんか、もっと変な、ちゃらんぽらんな大人が周りにいてもいいと思うのだけど(笑)ていうとあれですかね?そんな決まりきった事がすべて正しいとは限らないし、親が言う事が絶対っていうのも限らないというのも、お互い成長していく内にわかっていくじゃないですか? でも、小さい時から、そういうちょっと変な大人が周りにいることで、生き方のモデルっていうものを色々見る事で、その子自身も自分の生き方を見詰められる気がするなと、思える時があったんですね。だから、そういう面白い大人が集まって、地域の子供を巻き込んで、出来たらいいなっていうのはなんとなくあります。どうでしょうね?(笑)思いません?」
名・植:思いますね。
名:それも思うけど、逆に大人が子供をどこでも連れて行くのはやだなって。
月:「色んな場所?」
名:色んな場所に。例えば、具体的過ぎるけど、回転しない寿司屋に連れてって、好きなものを好きなように食べさせてる。ちょっと話の問題は違うけど、あれはすごくやだなって。
月:「それはわかる。言いたい事はわかります」
名:順序が違うっていうか。
月:「子供は子供の時にしか知らない……うーん、何て言うのか?」
名:そう。子供は子供の世界があるし、大人は大人の世界がある。その上で子供が大人の世界を覗きたいのだったら覗けばいい。あえて、子供を大人の所に連れて行くんじゃなくて、その好奇心があればくればいい、きたくなけりゃこなくていい。でも来る以上は、子供なりの責任を持って来なさいよ、と。あとは大人が見守ってあげてればいいんじゃないかな?って僕は思いますよね。一から十までやってあげるんじゃなくて。
月:「手取り足取りじゃなくてね」
ユ:子供たちが一緒に暮らしていく上で、見える物と言うか、すごい狭いというか。テレビとかも、ああいうお笑いの番組とか、J-POPの番組とか、韓国の番組とか、やっぱりすごい変な人ってのはいないですよね? なんだろうっていうような人だとか、そういうのって自分の記憶の中でも変な大人っていうのは、それに影響を受けるかどうかは別にして、覚えてるし、変な人いたなって記憶、ありますもんね。真面目にサラリーマンやってっていうのばっかじゃ、つまんないですよね。色々見て、自分で選べばいいと思います。
月:「親から言われただけのものでなくて、その子なりのやりたい、やりたくないとか、その子なりの持ってる興味だったりとか、そういうのを伸ばしてあげられる大人が、親以外に周りにいてもいいのかなぁってちょっと思うんですよね。どこまで介入出来るかなんてわからないですけど、そういう場が、イベントだったりとか、どういうものか、形には全然なってないですけど、そういうのがつくれたら面白いなぁと思います。それは例えば、一日だけの物をつくる教室、とか、まだ形はわからないけれど、そういうものからまた違う大人とふれあうきっかけをつくれるかもしれないし。漠然と、将来的な夢としてはやってみたいなぁとは思います」
名:まぁでもそれは子供の為でもあり、自分の為でもあり。
月:「そうですね。うん。うん」
植:僕は団地に住んでるんですよ。隣にH家という家族が住んでいて、僕が21の時に373君という男の子が小学一年生だったんですよ。そこから友達になって、今、彼22歳なんですよ。
月:「あはははは!(笑)」
植:というのがあって。僕が多分、月日さんの言ってる、変な大人だと思って。
月:「いいなーいいなー(笑)」
植:もちろん、どう影響を与えられているかは、別の話なんですけど(笑)そういう近所付き合いがあったりとか、あと、甥っ子姪っ子とかにしても、ここ何年もまともに仕事してない僕と、関わっていけてて、すごく仲も良くって。その関係の中に、何かあるかもしれないですよね?良い影響、悪い影響ありますけど。
月:「何かそういう人が、ふらっと周りにいたら楽しいですよね?そう思うんですよね。ま、自分が自分なりに今迄暮らして来て、今は外で遊ぶんであっても、どんな田舎であっても、親が同伴でないと遊べないとか、そういうのが大変なんだって話を聞いたりすると、子供同士で校庭で待ち合わせね!みたいな形で待ち合わせて、ギャーギャー遊んで帰るっていうのが私たちの子供の時は普通だったけど、そういう私たちが普通にしてたことが今の子たちには普通に出来ないんだって思うとガーンとしたりとか。そうすると子供個々の世界は狭くなってくじゃないですか? 親の管理下でしか物事考えてられなくなっちゃうから、なんか出来たらなーってちょっと思ったり。自分自身に子供が出来たらどういう風に発展していくのかはわからないんですけど、漠然とそう思いますね」
ユ:変わったんですかね? 子供の世界は?
月:「どうなんですかねー? どうなんですかー?」
植:でも、大人が変わったとか、大人が変えたってのもあるよね?
月:「うーん」
植:でも、それって、例えば、僕の甥っ子達は、小学校五年生と、二年生なんですけど、朝六時に起きて、近くの河原迄行って朝練やってるんですよ。子供たちだけで、野球の。 
月:「子供たちだけで? へー!」
植:そういうことも許されてるリアルもあるじゃないですか? だから、もちろん月日さんが言った様に、親同伴でなければ集まれないっていうようなリアルもあるんだけど、色んな場所に色んなリアルがある、とは思っていて、確かに大きく変わったとは思うんですけど、捨てたもんじゃない場所もあるんだなとは思ってはいます。
月:「へーいいですね! 捨てたもんじゃない場所があるのか!いいな。さっきも子供は子供の世界とか言ってたけど、子供は子供同士でギャーギャー遊んで、そっから生まれるものって結構大事だと思うし、親以外の人と触れ合うことで、その人に怒られるとか、生き方を見るとかで、すごく影響される部分もあると思うから、家からちょっと出て欲しいなぁとは、すごく思う」
名:子供同士で遊んでると、語弊あるけど、ある意味馬鹿だから、抑えが効かないっていうか。大人がいると、ここ迄いいよ、ここまでなら大丈夫だよってなるけど、抑えが効かないからどこまでも行っちゃって、最後に大人に怒られる。
月:「ははは(笑)それか怪我するみたいな(笑)」
名:それが、学習になるというか、記憶になるというか。そんな記憶や学習があったりすると、次に繋いでいけるっていう。別に大人が教えてやろうと思って繋げるんじゃなくて、怒って繋げる?みたいな。で、その怒った人も怒られたと思うんですよね?だから無理に教えようとしたりしなくても、ほっときゃどうせ怒られるんだから、問題起こすし。それはすごく思うかなって。
ユ:一人で怒られるのはやだけど、みんなで怒られるのはそんなに傷付かない。
月:「ふふ、確かに!(笑)」
ユ:やべって感じで。
月:「一人で怒られると怖いですよね?」
ユ:心の傷ですよ。
月:「ふふふ、何の話でしたっけ?(笑)」
名:締められないね〜?(笑)
植:目標ですよね?(笑)
名:ワークショップはいつ頃?
月:「年内にやりたいですね!」
植:早いですね!
月:「出来ればねー」
名:それは年齢制限ありますか?
月:ないですよー(笑)子供とか、おじいちゃんとか?
名:子供と大人は一緒に出来ないとか?
月:「あ、全然。でも、流血して文句言っても知らないですよ(笑)。痛い思いして覚えることもあると思うから。そういうのをちゃんと受け入れられる人だったら誰でも大丈夫です」
植:すぐ、さっき言っていた大きな目標が叶いそうですね。
月:「そんなことないです(笑)。変な大人に触れられて痛い思いし学習するってい(笑)」
名:じゃ、年内中にワークショップやるってことで。
月:「頑張ります(笑)」
一同:「ありがとうございました!」

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月日工藝 HP http://www.tsukihi.net/

ARTS&CRAFT静岡 名倉
shizuoka@tezukuriichi.com
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