RSS1.0 | Atom0.3



第4回アトリエ訪問 【ANDADURA】

第四回アトリエ訪問【ANDADURA】山本さんのアトリエにお邪魔してきました。
そこは東京都と神奈川の境のようで、多摩川があり、都会といえば都会なんですけどとてものんびりしていた環境でした。
いつもの如くかなりの長文ですがご覧頂ければ幸いです。

・・・・
001.JPG

名倉(以下、名):今回はANDADURA山本さんのアトリエ訪問です。で、写真もまず撮らせて貰いました。聞きたい事はたくさんあります。ではまず最初に、家兼アトリエ、ですよね、ここ?
ANDADURA(以下、山)「そうです。住居兼です」
名:それをいつ頃から持つようになりましたか?
山:「期間的に一年前位です。前の仕事に行きながら準備するので、働きながらすぐにできることは上手くやっていこうと。辞めてから全部準備って難しいと思ったので。それで住みながら、きちんと揃えるって意味で、アトリエ兼に。
分けるのは現実的に厳しい所があったんですよ。で、広い所を(都心から)離れた所に探して、会社にも通えるし。きちんと全部整ったのは一年前位ですかね。」
名:ここに住み始める前に、住まいがあって、本格的に動き出そうとしてからこの家に移った。
山:「そうです。まず引っ越しして。物件探しから始めて、鉄筋でちゃんと音も大丈夫な所を探して。」
名:周りに迷惑かけずに仕事がしやすい所を探して。
山:「そうです。尚かつ、きちんと家賃は安くて。結構安いんですよ」
名:いくらですか?
山:「八万五千円」
名:でもーそんなに安くない。
山:「ホントですか? 前の仕事が職場が渋谷で、あんまり離れられない。
で、まぁ、なるべく都心から離れてて、尚かつ、会社にも通えて。で、来た!って思ってすぐ決めたんですけどね」
名:八万五千円だったらロジ(事務局)を貸しますよ。
山:「そうなんですか?」
名:まぁ、あそこは持ち物なんですけどね。ではここの場所を持ったのは一年位前。
山:「そうです、一年前位です」
名:そこから引っ越して、色々もろもろの仕事をしながら準備をはじめて、一年後今に至る。
山:「そうです。そんな感じです」

005.jpg

008.jpg

名:では次の質問です。アトリエで作業しているとき、どんなことをイメージしながら作業をしていますか? で、聞きたいのは、実際に作品を作りながら作業、というのと、自分のANDADURAはブランドでもあるじゃないですか? 制作から企画まで自分でやられてると思うんですけど、作る作業と事務作業と両方あると思うんですよ。その辺の違いを知りたいなと思うんですけど。
山:「あぁ、事務作業と制作作業ですね。」
名:違いというか、違いもそうですし、イメージ、なんていうんですかね?
山:「なんとなくわかります。確かに創ってる時は、違う頭使ってる感も。色々考えたりするのって、事務作業って実際的なことじゃないですか? そういうのはだいだい、起きて、まとめてやるのと、寝る前にやるのと、その間は制作にして。で、色々企画で今後どうしようかなというのは、まぁ常に制作し
ながら考えたりとか、公園でビール飲みながら考えたりとか、散歩したりだとか、そういうのが多いですね。家でやるのは、ホント実際的なことで、いろいろあれやりたいこれやりたいってのはあるんですけど、まだ全然できてないなって感もあって。結構彼女に相談するんですよ、「これやりたい」とか。
すると「早過ぎだよ」とか、言われるんですよ。」
名:彼女に相談?
山:はい。お互い好きなものとか方向性とかは違うんですけど、ニュアンスが伝わるし」
名:ニュアンスって言うのは、言葉にできない部分があるじゃないですか? 
わかんない人にはわかんないし、わかる人には こうとかああとかで伝わっちゃいますよね。
山:「伝わっちゃいます」
名:好き嫌いを共有するのも大事だけど、一緒に何かやるに当たってニュアンスが伝わるって大事ですよね?
山:そしてだいたい「早い」って言われてます。
名:じゃ、こうありたいっていうイメージがかなり先行してるっていうか。
山:「先行してるんで、最近はようやく、ゆっくりやるしかないな、と思って。そんなに焦らず、ちょっとずつやってます。作業は、ホント実際的にこなすって感じですね。事務作業って言いつつもメールとかも事務作業じゃないっていうか、納品するとき手紙書いたりとかもろもろしてるので、完全に事務作業っていうのは発送だけですけど、それ以外は完全に事務的にやるってことはないですね。事務的にって言うより、お店の人と接して、どうなのかなぁ商品動いてるのかなぁとか聞きたいし、ホント事務的
に何回もチェックしてやるのは発送位ですかね。あと検品は、作った時に検品して発送前にもう一度検品するんですよ。一応、流れの中で二回位チェックできるようにはやって、後は淡々とやって」
名:今言ったように、事務作業の中にも完全に事務的にやってる作業っていうのは少ない。それは常に自分でやるからってことですよね?箱詰めから、発送迄すべて。だから事務的な作業と言えども、そこに自分の気持ちがないってことはあり得ないというか。
山:「まぁ、そんな感じで、システム組もうなんて所までは行けてないですからね。一応エクセルとかで管理してやってるんですけど、それでもアナログ感はすごくありますけどね」
名:じゃ、こちらの作業場ではどんなことをイメージしてますか?
山:「新作つくる作業はまたちょっと別だと思うんですよ。結構僕、何もない時じゃないと新作つくれなかったりするんですよ。そういうときはまとめて。今でも何個もあるんですけど、こんなの作ろう、次なに作ろうって。とりあえず普段するのは、実際こう型紙をあてて、革をカットするんですけど、例えば 財布のフタなんかだったら革がこの部位でちゃんとできるかなとか? 実際的ですけどね、そういう所ですね。何も考えない気がします、作る時」
名:あえて、いろいろ物事をイメージしながら作ってるっていうよりも、作品と向き合って、素材と向き合って。
山:「そうですね。本当に淡々と作ってると思います。作ることに関しては。
新作とかだと多分色々作る時は、全然違ってくると思うんですけど。普段の制作はホント淡々と作って…
ホント最近なんですけど、そこで座って作ってるんですけど、そっから空見えるじゃないですか? 休憩時間っていうか、作業が落ち着いたら、空を見て、幸せを感じちゃうんですよ」
名:確かにこの景色だとね!(笑)
山:「なんかこうして制作できてて幸せだなとか思いながら」
名:昼間とかこんないい感じの光とか入って来てね(笑)
山:「仕事してても、あーいいなーとか思いながら作ってます。何も考えてないんですけど、たまに外見て気持ちいいなぁーとか。何日間かは余裕持ってやっているので、ホント追われて作るって感じでもないんですよ。その辺が、焦る訳でもないし、ホント淡々と、あぁいい生活だなと思いながら。あの、こんな感じで大丈夫ですか?」
名:全然大丈夫です。答えに辿り着かなくてもいいんですよ。いろいろ話は広がるものだと思うので、それは全然。
山:「はい」
名:しゃべりながら答えるのって難しいですよね?しゃべりながら考えて答え出すのってはっきりいって無理だろって思う。
山:「うん、まぁ答え見つけて話そうとはできると思うんですけど、やっぱすごい固いのになるって言うか、結局自分の中で言葉にできてないものを強引に言葉にしようとすると、なんかどっかでホントに雑誌の言葉借りて来たりとか、そんなことになると思うんですよね」

010.jpg

007.jpg

ライター植岡(以下、植):次は僕から質問です。ブログを読んでいて山本さんの人間的な部分、すごく気になった部分というか、引っかかった部分で、例えば「迷子」。夜わざと自分から迷子になるの、すごく幻想的でいいというフレーズだったりとか、それがどう作ることに繋がってくるか?
山:「そうですね。迷子、迷子はなかなかいいですよ」
植:しょっちゅう迷子モードに入るんですか?
山:「いやもう迷子になろうと思ってやってます。夜とかでも、なんて言うんですかね、こういろいろ肩の力抜かないと自分の中で淀んで煮詰まってくるじゃないですか? そういう時に、知らない街に行って、まぁまぁ全然こうふわっーとして。前は、迷子の前は、いつも土日とかにスーパ−に買いに行くのに、行った事のない街に行って、買って戻ってくるとかで全然満たされてたんですよ。知らない街をちょっと歩くとか。最近知らない街までって言っても、ここから駅まで遠いですしね。ホントにより近所でふわっーとした感じになるのは、ホント迷子がいいと思います。迷子とかなりますか?」
植:僕はあんまり迷子にはならないんですけど、一時期、働いてた先の昼休み中にずつと散歩してて。その街を探索してる時に、僕も迷子が好きで、めちゃくちゃに歩くんですよ。
山:「ホントですか!」
植:めちゃめちゃに歩いて、方向感覚がなくなるじゃないですか? ある瞬間。
山:「なくなります」
植:あれがすっごい楽しいんですよね!
山:「そうなんですよね。自分がどこにいるのか、わかんなくて。普段ってなんとなく自分がどこにいるか、マッピングしながら生活してるじゃないですか? その辺がなくなった時の気持ちよさですよね。迷子は。毎日、できるといいんですけどね」
植:ははは(笑)
名:毎日毎日迷子!帰って来れなくなっちゃうよね。自分が迷子になっちゃう。自分の存在自体が…(笑)
山:「その位までいくと生活が旅みたいになって面白いですよね。あと、迷子になると女の人もエキゾチックに見えたりとか、いつもより違う景色になったりして」
植:世界がこう、日常から非日常って言ったら言い過ぎですけど、ちょっと変わりますよね。
山:「そうなんです。どの人からもいい香りがしたような感じがあったりとか。やっぱ楽しいですね。この辺も地形がややこしいのか、駅まで同じ方向で行く道なんですけど、行くたび違う場所に出るとことか、結構迷子になりやすい場所なんですよ。だから結構いいですね。と言っても、こっち来て迷子になったのは、まだ三回位なんですけどね(笑)なろうってこう気合い入れて、何も考えずにふわっーとしてやんないと。やっぱ意識的に歩いてると、自分の位置確認しちゃいますからね。」
植:そうですよね。迷子ってことも「歩く」ってことですよね?
山:「歩いて迷子、自転車もありますけど」
植:あ、そっかそっか。
山:「そういうのに乗って動きながら移動しながら、迷子になったって気付いた瞬間が良くって、「あーわかんなくなった!」って急に我に返ってぽっーとして。それがもの作りに生きてるかというと全くわからないですけどね。まぁ、でも多分表面的じゃない所で、繋がってるとは思うんですけど。ものを作る時とかにあんまりこう、なんて言うんですかね、他に。
変な話、なんか、参考にするのは、本当に理想なんですけど、言葉の在り方とかはすごい考えるんですよ。最近なんですけど、ブログにも書いたんですけど、作家とブランドみたいなもので、どっちの言い方も嫌だと思うし、商品と作品というのも、なんかメールとか打つ時に言葉選ばなきゃいけないじゃないですか? どっちも違うしなぁとか思いながら。その辺で、製品って言ったり、ものって言ったり、その辺はごまかしごまかしやってるんですけど。でもなんか、なんて言うんでうかね? そんな感じで言葉ってドンピシャじゃないじゃないですか? かといってそんだけで、あーもう!ってなるかって言うと、だからこそ人と話そう、話そうって思うじゃないですか? きちんと100%伝えられないから、そこら辺の言葉に含まれてるバランス感が長く続いてただけあって、捉えようがないじゃないですか? こっちはこうだけど、でも、こっちはこうっていうか。まぁビシッとはまらないけど、なんかこう話したくなるというか。そういう捉えどころがなくて、なんとも言えないものとか作りたいなって思います。
だから物見て考えるより、実際参考になるかっていうと、その辺のなんとも言えなさみたいな所とかは、もの作る時とかに、こう、特に考えて取り入れるとかじゃないんですけど。考えて形じゃぁ決める時に、かっこ良さだけ求めてても…、と思うんですよ」
名:それって、参考にして、山本さんの作る作品?
山:「あはは、そうですね。(笑)」
名:結局いくら何かを参考にした所で、山本さんが普段感じてる、すごく好きな線とか、気持ちいい線ってあると思うんですよね。 例えそれを考慮した所で直接伝えることはできないし、直接使うとしたら、それはパクってるってことに近いから、普段何を考えてるとか、どういうものを感じてるとか、そういうものの集合体が、自分のつくる気持ちいい線が、作品に出ると思うんですよね。それはやっぱこう、なんだろう? 迷子になるとか。僕は迷子にはならないけど(笑)歩くとか、それが結果的にこう、雫のようにぽとぽと落ちて来て、作品に繋がってるってことは、ブログを見てても感じますよね。
山:「そうですか。そんな感じで考えてなくてもずっと最近はこういう感じです」
植:最近っていうと、このアトリエで本格的に作り出したときですか?それとももうちょっと前?
山:「話すと長くなるんですけど、一応小学校の時に、おばあちゃんに、自分の着ていたトレーナーで鞄を作ってあげて、そのお返しにミシンを貰って、トレーナー事件ですね。それを機に自分でミシンで作るようになって、そっから大学に入ってデザイン科を出たんですけど、その後設計会社に行って、その後鞄をやるようになったんですけど、なんて言うんですかね? 設計会社の中にいるとすごい頭で考えちゃうんですよ。で、ホント大きいのが、昨日ブログに書いたんですけど、ものを作ろうって決めた場所が益子で、益子参考館って所があって、ホントにそこに行ってなんか、もの作りしようって思ったんですよ」
名:「自分のもの作り」を、ですよね?
山:「自分のもの作りです。就職してすぐ位に、会社と結構合わなくて、設計会社の大手にいたんですけど。最初はもう、みんな人が嫌だなぁとか思ってたんですよ。入ってすぐにそうは思ってないんですけど、ゆくゆくこう時間が経っていくと、人じゃなくて会社のシステムみたいなものが結局そういう風な人の在り方も決めちゃってることもあって。その辺のシステムが嫌だなぁとか思ってて、なんかどうしようかなと思いつつも、特にどうするとかもできなくて。その時にたまたま旅行中に見たフリーペーパーがあって、それが確か、茂木健一郎さんといとうせいこうさんの対談で、そこでなんか、身体っていうのはシステムから唯一自由になれるということが書いてあって、それ読んで、身使おうって決めたんですよ。で、まぁ、設計会社辞めて、じゃ鞄作ろうって決めて、とにかく身体使う仕事しようってなって。で鞄を作る会社に入るんですけど、身体使ったからって、そんな明確に自由になれたのかっていったらそうでもなくて。そんな時に益子に行って、なんて言うんですかね? ホントにこう、すごい気持ちよかったんですよ。益子参考館、名倉さん行かれたことあります?」
名:ないですね。
山:「ないですか。すごいですよ。気持ちよくて。門の位置とかもすごいいいし、家の建ってる所と、山の雰囲気とかもすごい調和してて、完全に作りながら、こう、頭じゃなくて、身体で作って、感じながら作って、こんなものができるんだって思って。その後ずっと、若干さっきの話に通じるんですけど、設
計とかしてると産みの苦しみとかってあるじゃないですか? そういうものって嘘かもなぁとか。みんな作ってて苦しいっていうけど、ホントか? とか思って。今は歩くようなもの作りを目指してるんですけど、産みの苦しみって確かにあるにはあるとは思うんですけど、やっぱりこう、きちんとした身体性
みたいなものがあったら、苦しみなく作れるんじゃないかなぁって思って。だから歩く事(ANDADU
RA)って名前にしました。ホント益子は大きかった気がします。それが丁度、三年前位です」

025.jpg

013.jpg

名:じゃ、質問の内容を変えますね。ANDADURA一人でやってるじゃないですか? 一人で作業と事務作業をやってて、自分自身こう、楽だなぁとか、いいなぁと思う事って?
山:「ノンストレスです、毎日。全部いいですよ」
名:ウラを返せば、一から十まで自分で決めなきゃなんないから、そこに迷いがあるとか、ストレスがあるとは思うんですけど。
山:「迷いなら、毎日ちょっとずつ迷ってて、特に今大きな迷いはないんですよ。毎日こうちょっとずつ迷って、ちょっとずつ、考えておくぐらいで、すごい楽ちんです。家でずっとやってればいいし、一番やるようになって嬉しいのは、ようやく自分の頭で物事考えられるなぁって思う事が多くて、今までなん
か自分の頭の中で考えて決断したように見えても、多分なんか自分の頭で考えてないんすよね」
名:いや、ホントにそう、そう思う。それ、もっと言ってください。
山:「ははは(笑)」
名:いや、それはね、仕方ないんですよね…仕方なくないけど。
山:「仕方ないんですけど、今でも後々考えると自分で考えてられてなかったなってこともあるんですけど、それでも前よりは、きちんと自分の頭で考えて、できてるのが、それが一番すごいです。あーなんか、まともにっていうか、きちんと考えれてるなぁって自分自身をそう思うんじゃないですけど、そ
ういう風に思えるってことがありがたいですよ」
名:システムの中で、あれ決めたり、これ決めたりって言われたり、悩むんじゃなくて、問題点を自分で作り出して、改善点も作り出して良い事悪い事含めて、自分で考えるってことが、現状気持ちいい?
山:「気持ちいいですね。ここ最近、ここ二ヶ月位に感じました。みんな一人でやればいいのにって思うんですけどね。会社にいてノウハウ覚えるって多分、極端ですけど、そんなに意味ないかなって。価値観やサイズが違えばやり方も違うし、始めてみないとなんとも言えないかな。最初は結構迷ってた所もあって、どんな感じで作るのかとか、新作をあげたりしてても、使う側が必要としてるか、核心もないし、その辺が若干ちょっと迷いはありましたね。だって、売り方にしてもネットで売るのか、お店で売るのかとか、やり方もまだ決まってないし、今はある程度方法が定まってきたから、また新しい課題とか色々出てくるんですけど、今の所は幸せを感じる日々です」

031.jpg

名:では次の質問です。今、営業もされてると思うんですよ。営業するにあって、パートナーとなるお店ってどういう視点で選んだりしますか?
山:「行った事あるお店でいいなと思った所ですね。お店の人と話していいなと思った所です。山口ストアーさんっていう所がアパレルであるんですけど、アパレルに置くのは結構抵抗を感じていて、敬遠してたんですけど、そこのお店の人とかと話して、いいなと思って。やっぱり人が大きいかなと思いました。あと、お店選ぶ基準は、色んなジャンルの所に出したいというのがあるので、結構幅広くお店に見てもらってます。古道具屋さんだったり、アパレルもそうだし、生活雑貨もそうだし。でも一人で作って数が出せない分、偏ったお店に出しちゃうと伝わるものも伝わらないし、少ない分ちゃんと、色んなジャンルのお店に置いて、いろんな人に引っかかって貰えたらと思うので、ホントまぁ、色んなお店に。生活雑貨が基本になってくると思うんですけど、アパレルも、かっこいいもの、かっこいいファッショアイテムじゃなくて、きちんと使う道具ってことでやっていきたいなと思ってます。ま、あんま偏り過ぎないようにっていうのは意識してますけどね。後は人と話してみて…。だって、今後ずっとやっていく訳じゃないですか、合わないとその辺、いい形にいかないし、無理するのも嫌ですし。ちょっと語弊ありそうなんですけど、完全なビジネスみたいな所はまわらずに」
名:ショップ側が作家さんを応援していきたいっていう、そういう気持ちが見える所、という感じがしたんですが。
山:「うん。でもなんかどこのお店もすごいいいですよ。やっぱり一緒にやっていきたいと思える人がいます」

035.jpg

名:手創り市の作家さんでも、自分の作品があって、ホントにちゃんと考えて人っていうのは、どうやって自分の作品を広めていくか、ということを考えていて。そうなると、色んなお店に営業をすることになると思うんですよね。みなさん、作家さんっていうのは、どうやってやってるのかっていうのは、自
分自身の問題として、作家さんて考えると思うんですよね? 他の人がどういう風にやってるのか知りたいとか、あると思うんですよ。
山:「最初に営業指針でもないんですけど、一応こっちのものを買い取って貰ってるじゃないですか? お金の動きがあるからって、なんかこう、へいこらしてありがとうございますって感じじゃなくて、それをやってたら何事も発展していかないし、結局よくよく考えたら、お店の人もいいものを売りたいし、そこのことを考えると、売る方もお店側も対等だと思うんですよ。一緒に楽しくしてゆきましょうっていうスタンスで回っている、そんな感じですね。
特に営業の経験っていうのは、前の会社でルート営業で何度か行ってただけなので、自分で考えながらなんですけど。とりあえすは人の気持ちを大切にする事、僕が見てもらう所は自分でお店やってる個人の所が多いんですけど、すごい思いがあってお店作ってるし、そういうのがないとお店なんて始めないじゃないですか? 営業方法がいちいちあるっていうより、そういう思いをきちんと大切にする事ぐらいですかね、なんか。あんまりそんなに細かい事考えるよりは、思いを大切にする事を考えて、後の細かい所は、思いを大切にするんだったらこうした方がいいなとか、そうですね、あと、個人でやる人だったら、大きいとこじゃないと信頼がないとか、僕の場合でも個人でやる場合、いつ迄続くの? とか、もしかしたらなくなるんじゃないか? とか、お店の人は絶対それを思うと思うんですよ。そんな、一発屋みたいな人のものを置いても、その時だけなんで、その辺はちゃんとこう、僕の場合だと、具体的にしてないんですけど、細かい所まできちんとしたいと思ってるし、続けようと思ってるし、伝わるとは思いますけどね。基本的にはやりながらですよね、その辺も。メール一通書くのに迷って、会う時は、迷いながらもこんな感じで持ってて、その都度、迷いながらですよ。
あ!一個ありますよ。簡単な方法が。全部、恋愛に置き換えて考えるんですよ。営業どうやっていいかわからないから、じゃ、最初のメール送るのはラブレターみたいに書いて、会うときも、最初のデートで会うとか。じゃ、どうしよう? で、そんな営業って感じよりも」
名:デート。
山:「デートです!(笑)女の子相手に、恋愛感覚で考えていったり、だって好きな子だったら、好きな子にメール送る時って全身全霊じゃないですか? 
その辺の気持ちでやって多分、いいかなと思います。僕はそれでやるのが一番楽だと思います。でないと、営業のやり方で、一般的な営業のやり方から調べないといけないですけど、恋愛参考にしたら自分の恋愛経験で営業できますからね。すごい楽だと思います」
名:自分の恋愛で失敗したことは出さないように。
山:「出さないようにして!(笑)あの恋愛上手くいったな、とか、そういう時の気持ちとかで、この気持ちだなぁーとかで。でも営業だけしゃなく、だいたいの事は恋愛でいけると思うんですけどね。そういう迷いとかは。恋愛は深い、かなと」

023.jpg

名:次の質問行きますね。これからアトリエ、作業場、持とうとか、借りようと思ってる人、それと同じようにもの創りを始めようと思ってる人に、自分なりのメッセージというか、私はこういう事を大事にしています、というものを教えてください。
山:「難しいですね、なんか」
名:これは結構みんなねぇ。
山:「難しいですね。でもものを作ったら、すぐ生活のこと考えるじゃないですか? 生活できるのか? とか。もの作りと生計建てるのはイコールじゃないじゃないですか? 考えたら作ればいいんだし。そういう風に考えるから動きにくくなるんだと思います。 とりあえず作りたいっていう気持ちがあるん
だったら、もうすぐに始めちゃえばいいと思うんですけどね。こういう事いうと、多分、今偉そうに響いてると思います」
名:いやいやいや、その通りですよね。
山:「あと、始めてダメだったらどうしよう、とか考えますよね? 別に移動すればいいし、実家帰ればなんとでもなるし、そこの部分でハードル上げてる人が多くて、その分こう、生きにくくなってるのかなぁと思うんですけど。食えるか食えないかなんて、その時々でどうしていくかは、できることからちょっとずつやって、上手くいくんだったら上手くいくし、上手くいかないんだったら上手くいかないし、すごく最初から原因と結果みたいなものを結び付けて、やっていこうって考えると、たぶんすごいとっかかりにくくなるのかなとは」
名:つまらないものになっちゃいますよね?
山:「そうは言いながらも、僕も今考えなきゃいけないんですけど。それでもあんまり、全部が全部そういう感じで考えちゃうと、ホントにつまらなくなるんで、あんまり考えなくていいことは考えないようにして。真剣に、シビア過ぎてもあれですからね」
名:考えることによって、何かを始めようと思った時に、考えれば考える程やらなくてもいい理由、と言うのを、もしかしてこの人は考えてるんじゃないかなぁって。やり始めて続けて行く上では、考えなきゃいけないこととか、経済的な面でもあると思うんですよね。その中でも、スタートラインにも立ってな
い人間がそんなこと考えてどうすんだ、それよりも、やるために何をするべきか? やりたいって気持ちを発信すればいい。それが最初にあることだと思うんですよ。でもそうじゃなくて、続けてく為の何かを探してるっていうか。その為にも、言ったらお金なんですけど、それが最終的な目的って言うか、コアになってしまう。それにもの凄い違和感というか、それって何だろうって考えるんです。それと似たような問題で、例えばひとつの事を調べて、考える時に、考えてイメージを出す時に、ある意味大人のやり方なのかもしれないけれど、すぐものを調べるじゃないですか? あれって僕、ものすごく嫌なんです。くだらないって思います。なんでかって言うと、もっと考えろ、もっとイメージしろ、答えは間違ってるかも知れないけど、考えたり想像したりすることに、その人自身の力と言うか無限の部分が広がっていくと思うんですよね。でもそうじゃなくて、最初からわからない、じゃあ本でも図書館でもネットでも調べようっていうのは、それは駄目ですね。どうしようもないと思います。それでいいのか? そんな程度でとりあえずの答えに辿り着いていいのか? これと似たような問題ってあると思うんですよね。何かを始める時に。 どうしてもお金のことにいってしまう。その辺はやっぱ本当に、いや、そうじゃないんだよって。まったく考えないでドンブリ勘定でもまずいけど、違うんですよ…
山:「その辺はホントに、やっぱそういう今考えなきゃいけない問題って、続ける為に向こうからやって来る問題で、自分で勝手に問題作って、動けなくなるのはもったいないですよね。なんか、違うと思うんですけどね」
名:そういうやり方って、結局こう、作ることが先にあるんじゃなくて、経済のシステム、資本主義の歯車、それがホントにもうベッタリくっついてて。
山:「グロテスクな感じになってますよね」
名:そういう所に浸かってないはずの人でも、何か始める時にまずそこに辿り着くじゃないですか? そこにもの凄く気味悪さを感じますね。
山:「うん。なんだかんだと考えていくと、そこに行き着きますもんね。それはとりあえず、ひとまず置いといてもいいんじゃないかと。そこに捕われると、始める純粋な気持ちがなんか汚れる感もありますしね。」
名:結局もの作るにしても、ものに対する値段というのがあったら、そこには原価っていうのがあるんですよね。色々な職業でもいわゆるおおよその原価ってあるじゃないですか? ラーメンだったら一割。珈琲だったら一割満たない。とか言われてますけど、それって言うのはあくまで基準、通説があるってだけのことで、絶対じゃない。そんな言葉だけのマニュアルで、ちゃんとしたものを出そうと持ったら相応の値段に行き着くと思うんですよね。でも、話戻っちゃうけど、自分勝手にでもイメージ、想像したりしないこっていうのは、ホントにこう、やだなって。自分で答えを見つけて、その答えはちょっとは合っていてもどうせ壁にぶつかるし、間違っててもいいんだから、最初から上手くいく訳ないですよね。ミステイクを楽しめる。ミステイクって言うのはある意味新しい発見じゃないですか。
山:「ま、そもそもミステイク楽しめたらミステイクじゃないですから。別の発見になりますからね。ホント、今の龍馬伝観てて思いません? 龍馬は安易に決断しないじゃないですか? 勤皇党が出来て、みんながわっーって言ってる時に、安易なことに乗っからないじゃないですか。あれも大切だなと思います。龍馬伝観てます?」
名:観てないです。
植:僕も観てないです。
山:「観てないですか!面白いですよ。第三部から観ても面白いかもしれな
い。蒼井優が出て来ました」
植:大好きです!
山:「観てください。すごい面白いですよ(笑)」

022.jpg

名:かなり話が飛んじゃったんですけど、戻します。もの作りとして、作り手として始めました。始めてく以上は当然続けたい。そこから続けて行くには何が必要だと思いますか?
山:「僕も始めて続いてますけど、順調なんですけど、とりあえず、初めのスタート位で。継続するには……。でも、ちょっとの期間で状況がらっと変わったりするんですよ。だからきちんと毎日こう考えることじゃないですかね。僕は今制作をしたりしてて、やっぱりこうもっと制作に向いた環境を探していたりするんですけど、やって行くうちにどんどん新しい課題も出てくるし。でもさっきの、今から創作を始める人にって質問に、いい答えが思い付きました。
絶対に上手くいかないんですよ。僕もあそこに皮いっぱいありますけど、買ってみて違うなって思った革たちだったり、いらない道具も色々ミスって買ってるし、なんでもなんかもう、絶対上手くいかないんですよね。ストレートには。それをいちいち上手くいかないたびに気持ち折れちゃってたら絶対続かな
いと思うんですよ。それを標準にして。根性です。きちんと上手くいかなくてもなんとかなる、そんな自信が持てると強いと思います。
名:辛抱ですか?
山:「辛抱です。今でも特に上手くいかなくてもあんま大したことないな。
だいたい大した事なくなっていくんですけど。だから最初からすぐに結果とか見てはじめると続かないと思う。上手くいかないもんだから、って決めて、なんか、上手くいかなくても明日、明日良くなるかもって、ちょっとずつ進んで行く他ないと思いますね」
名:その目の前の現実と理想のギャップ。一喜一憂するなって言う。
山:「その時だけのことじゃないですか。恋愛と一緒ですよ」
名:恋愛、出て来ますね。
山:「デートしたからって、一夜を共に出来るとは限らないじゃないですか(笑)」
名:ははは(笑)

名:じゃ、最後の質問ですね。今後の目標を。
山:「今後ですか?色々ありますよ」
名:中期的でも長期的でも。
山:「まず、短いスパンでの目標は、今年は、ホームページとかに、鞄とか布とか書いてるんですけど、今年はとりあえずそれは止めて、今の小物のクオリティ上げるのと、小物の新作を何点かあげたいなとは思ってるんですけど、現状のものも、きちんとさらにいいものにしたいし、今年はそれですね、目標は。中期的な目標は、引っ越ししたいですね。ホントに、きちんと生活できて、緑があって、今とか生活と作業を完全に分けずに創る環境があるようにしてるんですけど、より、こう、益子とかですけどね、そういう所に住んで、きちんと自然あって、おいしいもの食べて、よりもの作りしたいなと思いますね。それが多分中期的な目標ですかね。まぁ、来年位にはどっかに引っ越そうと思ってるんですけど。長期的な目標、理想は、最終到達目標は、益子に行って昔の人に対する憧れみたいなものがすごい出て来て、昔の人になりたいとか、昔の人の身体性に辿り着きたいっていうのが、ホントに最終的な目標です。そこにいくんだったら、そういう生活する必要もあるし、昔の人の身体になるのって、もの作りを通してしてしか出来ないかなって思ってるんですよ。
長期的にはそんな感じになれれば、本当に作ってても楽しくて仕方ないと思いますよ。本当に完全な理想ですけど、最終目標は。もの作ってる意味ってその辺だと思いますね。それを目標にしてるのはすごく個人的であれなんで、そんなに言ったりはしないんですけど。陰で自分が目標としてる所はそういう所です。そんな具合でございます。はい」
名:深いですね〜ありがとうございました。
山:「ありがとうございました」

026.jpg

・・・・

今回、特に印象に残った事は、山本さんが自分のやってきたこと、今の考え方を「恋愛」というキーワードで喩えている。それは、山本さんが目の前にいる人とむきあい、考え、伝えることを意識しているからじゃないか?と感じました。
だからこそ作品にもひとつひとつのクオリティを当たり前ですけど大切にしている、よりよくしてゆこうと考えている事とても伝わりました。

今後もアトリエ訪問は継続してゆきます。
静岡の会場で出会った作家さんのアトリエにいつかお邪魔する事を夢見ています。
長々とお付き合いくださり有難う御座いました。

名倉哲
shizuoka@tezukuriichi.com
 






Profile
New Entries
Archives
Category