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2013年秋季A&C静岡ルポ:後編(10月13日)

*2013年秋季A&C静岡ルポ:前編は「こちら」clicks!!よりどうぞ*



2013年秋季ARTS&CRAFT静岡ルポ:後編(10月13日)


開催2日目の朝6時半、OHNO CAMERA WORKSの大野さんが会場へやって来た。

なんでも大野さんのご厚意で、スタッフの集合写真を撮影してくれるというのだ。


前回開催のシミュレーションの時だった。スタッフの鈴木くんが設計・制作した小屋が組み上がった時も、大野さんは「小屋の中で写真を撮りましょう」と言ってくださった。

が、しかしARTS&CRAFT静岡のスタッフでない僕は、大野さんに撮られるみんなを小屋の外から一人眺めているだけだった。

僕は大野さんの写真が好きだ。人の芯をとらえ、なおかつ、あたたかい微笑みを引き出すあのポートレイトたちが特に。

普段、写真を撮られることはあまり好きではないけれど、大野さんになら撮られたい。と、胸の奥に秘めた想いがあった。

そして、今回のスタッフ撮影。わらわらとカメラの前に集まり出すスタッフとは反比例して、その場を去ろうとした僕に、名倉くんからお声が掛かったのだった。

「うえおかさんもだよ」と。

これはめちゃめちゃ嬉しかった。


そして僕は、ARTS&CRAFT静岡のスタッフに紛れ、最前列の一番すみで中腰になり、いかにもカメラ慣れしていない硬い笑顔を浮かべたのだった。



そんな高揚感を持って始まった2日目の朝。ブースに入り始めた作家さんたちに挨拶をしながら、境内を回る。


そして前回ルポさせて頂いた、琉球ガラスの作家さん琥珀さんと自然と立ち話になる。琥珀さんは、今回も遠く福岡から出展してくださっている。そんな琥珀さんは距離についてこう語った。


「遠くから来るからには、売れる売れないじゃなしに、別の何か理由がある。その理由は、ARTS&CRAFT静岡のスタッフ。彼ら彼女らの一生懸命さや親切さが嬉しくて」


そう語る琥珀さんの言葉が、自分のことのように嬉しかった。少し図々しいけれど。


9時になり、二日目のARTS&CRAFT静岡が始まった。



最初にお話しを伺ったのは陶器の作家さん、細山かおりさん。


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つくることだけで生活をしていますか? の僕の質問に、結婚していること、ご主人が有機野菜の料理を出すお店を営んでいること。そしてその野菜に寄り添う器をつくろうといつも思っています、と語ってくれた。


器をつくるときの完成はどこに見ますか?

料理が盛られた時を完成にするとか、色々とありますが?


「やはり料理を盛った時のイメージ。ご飯が美味しく見える器をつくりたいと思ってます」


それが中心となっているコンセプトですか?


「そうです。例えば黄色い器だと根菜類が似合う器にしたいとか、緑の器だと夏野菜だとか、緑黄色野菜とか、夏だとトマトのお料理だとかをイメージしながらつくるようにしています」


始めにお野菜の料理のイメージがあって、それを器に落とし込む。


「はい。有機のお野菜も契約の農家から新鮮な状態で入って来るので、これをこんな料理で盛りたいなってイメージが沸いてくる。で、出来るだけ季節に合わせた器とお料理のイメージでって考えます」


細山さん自身が何故季節や料理を考えて器をつくられるのだと思いますか?

それは器をつくり始めてからですか?


「いえ、お店を始めてからですね。有機のお野菜をつくっている農家さんのところに行って、お手伝いすることもありますし。やっぱり食って生活とは切っても切り離せないっていうのがありますし。私は何故陶器かというと。陶器は材料が土。そしてお野菜」


つながりますね。


「食と自分のやっている素材と器がつながっているなって思った時に、やっぱり食に寄り添った器をつくりたいなっていう発想ですかね。それまでは、オブジェとかも好きなので、形から入る器づくりだったかもしれませんね」


物をつくる喜びや動機は?


「一番嬉しいなって思うのは、器を持ち帰ってくださって、こんな料理を盛ったよと写真などを見せてくれたり、というのは嬉しい」


細山さんの創作は、それ自体コミュニケーションをすごく意識していますよね?


「意識してます。あまり伝えることが上手でないので、器から何かがお客様に伝わってそれが返ってくるのが嬉しいです」



次にお話しを伺ったのは、少し変わった建築関係の仕事をしているという男性のお客さんだ。

少し変わった、というのは、ただの建築ではなく、アートと建築の中間のような建造物をデザインする仕事をしているとのこと。


「ARTS&CRAFT静岡手創り市は初めて来ました。護国神社は来たことがあったのですけど。好きな部分は木が多いところ、自然と溶け込んだ感じがいいなと思いました」


ブースを見て回って気付いたことがあれば?


「恐らく計画があると思うのですけど、決め過ぎてない感じがいいなと。各々テントを持って来ていたり、なかったり、全く同じでない感じが。色んな木があるとか、色んな場所性がある中で、馴染んでいるなって感じがしました」


そこに多様性や自主性があってってことですよね。場所だけをつくって、様々な人が参加することによって、場所が生きていくというか。手創り市はブースの区画っていう決め事があって、

そこから自由に作家さんが発展させていくというか。


「決め過ぎない。どこまで決め込んでいくか、つくり込んでいくかという線引きが、作家さんの主体性を尊重しているし、完成形が見えてないところを楽しんでいる感じがあるんのしゃないかな? と思いました。と予想するんですけどどうですかね?」


トータルとしての生き物としての市をつくる。そういう部分は多分あると思います。僕は&SCENE手創り市のスタッフをしているのですけど、ブースという区画を各作家さんがつくって、それが全体として市になる、生き物のような有機的な感覚は意識していますね。


気になる作家さんや作品はありましたか?


「京都の木工の作家さんで。そのブースに惹かれた理由は、たまたま通った時に、木と木の間の光が美しかったといのもあります」


それは空間が生み出した絶妙なタイミングですね。

職業柄、空間を意識されると思うのですけど、光と影もやはり意識します?


「はい」


空間をデザインする職業の方だけあって、手創り市という場を空間デザイナーの視点で深く洞察されている感じを受け、刺激的な対話となった。



次にお話しを伺ったのは、自家製酵母パン&コーヒーを営む、breffee storeさん



今回が初めての出展ですが、まずは感想を。


「土日でお客さんの層が違うなって。それが新鮮でした。ゆっくりお客さんともやり取りが出来て、程よく、あまりバタバタすることなく楽しくやらせて頂いてます」


バタバタしなかったのは、お客さんのペースがゆっくりしているからですかね?


「そうですね、お客さんも余裕がある感じがするので。私たちもお店を始めたばっかりで、皆さんご存知ないと思うので、それもあってだと思うんですど。色々知って頂ける機会になったかなって。ホントに色々な方がいらしたので」


今回「まちきれない! おやつセット」の企画にも参加されていますが?


「おやつで出すのは、エスプレッソとはちみつのラスクのセット」


売れ行きはどうでした?


「昨日は、まぁまぁ出たという感じで。お菓子はスコーンも出しているので、最初にそれを買って行かれる方がすごく多くて。2時以降お菓子を買う方があまりいなかったような印象がありました。でも色々と変えていけば、色々な売り方があるのかなと思いました」


そんなbreffeeさんに自身のお店づくりからお客さんとのコミュニケーションについて伺った。


「小さなお店なので、自分たちの色があった方が、やりがいもあるし、自分たちも面白くなるんじゃないかなって」


「自分たちのやりたいようにやるというのはあるのですけど、やり過ぎてもよくない。お客さんと対話して、ヒントを貰いつつやっていくという感じもあります。お客さんは、話してみないとわからないというのもありますし」


次にbreffeeさんにつくることの喜びと動機を伺った。


「自分が楽しいからつくっているだけだけど、お客さんに「美味しかったよ」って言って貰えると、当たり前のことですが、本当にやっていて良かったと思えます」


「自分たちの味が受け入れられたのかなって」


最後にARTS&CTAFT静岡に対する要望を伺った。


「朝、9時スタートじゃないですか? その時間帯ってバタバタしているので、いつ9時になったのか、結構わからない。そこで、チャイムみたいな合図があればと思いました」


「話してみないとわからない」という台詞が耳に残るbreffeeさん。話すということで、可能性の枝葉を広げていこうとするその積極性が印象に残った。



次にお話しを伺ったのは「MY CUP is...」の企画も担当しているスタッフの上門さん。


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初の企画展への参加ですが、どうでした?


「何から考えていいのがわからないとうのもあり、戸惑いは大きかったのですけど、実際開催に当たり作家さんとやり取りをするようになって、やっぱり面白いなと思いました。一歩踏み込んだことが出来て良かったなというのはあります」


「一歩踏み込む」って言うのはキーワードですかね? そこで気付いたことや変われたことは?


「アホな答え言ってもいいですか? … 作家さんの名前が覚えられた」


ああーそれは忙しかったってことですかね?


「いや。良いなって思っても、なかなか覚える機会ってないじゃないですか? 私、人見知りもしちゃうからブース回っててもあまり話せない。でも、それを企画を通して絶対に連絡を取らなければいけないとか、物を受け取る時には会って挨拶もしなけばいけないって中で、覚えますよね? 小屋の中で、「このカップはどの作家さんのですか?」と言われて「はい」って答えられる。それが自分の中では良かったなと思って。じゃ、次に多分、その作家さんに会う時や、応募してくれた時に、こういう方だったなって思い出せるじゃないですか? 」


それは、ちっちゃなきっかけであり、大きな次につながる一歩ですよね?


「はい」


作家さんとの対話もありましたか?


「まだそこまでは……。性格が人見知りもあって、壁は厚いなと思っています」


ゆっくり馴染んでいけばいいですね。


「小屋の中で、カップを見ていて、それぞれに違いがあるじゃないですか? その違いについて聞いてみたいと思った時に、話し掛ければいいんだって思ったんですけど、まだ行けないですね。でも、そういう気付きがあって良かったですね」


「MY CUP is...」は企画としてどうですか?


「良かったと思います。最初私の中で不安だったのは、カップってガラスも木もありますけど、主に陶器の方で、そうやって絞っちゃうことでお客さんが限られてくることがあるんじゃないかって思って。意外に、マグカップってみんな使う物なので、みんな窓から手を伸ばして、カップを触ってくれて、小屋の中にも老若男女入ってくれていて。買わなかったとしても、眼を付けたカップの作家さんのところへ行ってくれているんですよ。それが小屋の役割。作家さんとお客さんをつなぐという」


それが、この会場の入り口にあるのもいいですよね?


「ここで、カップを見て、作家さんのブースの場所を紹介してっていう」


反省点は?


「もうちょっと準備をしっかりすれば良かったかな? と。事前の告知だったり、ツイッターとの企画の連動だったり。もっと出来たのではないかなって」


質問は変わりますが、上門さんから見て、周りのスタッフをどんな風に感じていますか?


「今までは、みんなの素性を知らなかったのですけど、デザインやっているスタッフがいたり、それぞれ色々とやっているので、みんながそれぞれ出来ることを出し合えば、色々なことが出来るんじゃないかな? って。ただローテーションの中でやるのであれば、それは単なる作業になってしまうので、せっかく色んな人がいるのであればもっと企画展も面白くなるし」


スタッフの出来ることを持ち寄って出来る、今後の企画展。実に次のステップが楽しみだ。



次にお話しを伺ったのは、テキスタイル作品を出展しているmegRu(メグル)さん。


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古着のリメイク・再生、つまりめぐりめぐっていく作品をコンセプトにやっていらっしゃいますが、そうなった経緯を教えてください。


「工芸、織をやっていて、ひたすらつくり続ける作業。それはそれですごく意味のあることのように思えたのだけど、結婚して出産して、今ある時間で人と関わる事って考えた時に、キーワードとしても身近にある素材から何かつくれないか?みたいなことで始めしっくり来たというか」


結婚と出産という変化も大きかったのですかね?


「大きかったですね。それまでは、自分がつくる、手を動かせればいいというところがあったのですけど。自分に与えられた時間がかなり少なかったというのと、個人として人と関わる機会が減ったというのもあって、うまく人と関わる、プラス、子供の気持ち、お母さんの気持ちとかもわかって来たので、私の立場で人と関われる方法を考えていった結果かもしれない」


それがつくることの喜びや動機につながりますか?


「そうなんです。ただ私はつくれればよかった。手を動かしていたかったので、もともと美大で織を勉強して、つくりつづける動機づけとして、ひたすらつくる伝統工芸に入ったのだけど。今度そこから飛び出した時に、なすすべもなく。で、自分でつくってる楽しみでも良かったのだけど、ワークショップをやって人と関わりましたとか、人に届けました、とだんだんこう人と直接コミュニケーションを取ってやっていくというのが、私のつくる動機付けにはなっていますね」


雑司ヶ谷の手創り市に出てらっしゃいますよね? 今回、ARTS&CRAFT静岡に応募しようと思ったきっかけは?


「それは、プロ、もしくはプロを目指す人っていうコンセプトでここはやってるじゃないですか? その覚悟がいいなって思って。私もこれだけでご飯が食べていけている訳ではないですけど、好きだけでやっているというよりはって思っている時に、このARTS&CRAFT静岡のキャッチコピーに出会って。最近つくり続けていく上で色々と考えていた時期だったので、いいタイミングでARTS&CRAFT静岡には出れたなと思います」


例えば今、つくることについて考えていることは? つくり続ける上で。


「外マーケットって価格設定が難しい。様々な条件で、こちらの気持ちもグラグラと揺れ動いていたんですけど、確実に手数は増やしていたいし、手間としてお金を頂かなければいけないというのがあるので、今後はちょっと高いって言われても、手数をどんどん上げて、その分、手間が掛かっていますって言えるようになっていきたいと思っています。そうしないとつくることも続かないのじゃないかなと。自分も変化して進化していきたいから。現状維持に見えても、どんどん細かくとか、どんどん面白く変えていきたい。だから同じ値段でってよりは手間の分、価格設定を上げていかなければならない。今まではそれが辛いなと思っていたのですね」


なるほど。


「この値段でやっていますって、はっきり言えるようにしっかり作っていきたいなと思います」


では最後に、ARTS&CRAFT静岡の感想を。


「お客さんの関心がすごく高くて、コミュニケーションという意味ではより深く話が出来る」


それは雑司ヶ谷との違いですか?


「雑司ヶ谷は流れが早い。ARTS&CRAFT静岡は、足を止めてゆっくりコミュニケーションを取るとか、展示の仕方を工夫するとか、間合いがすごく取りやすい。個人個人をゆっくり見ていかれる方が多い。見せ方も含めてそれぞれの作家さんの個性がわかりやすいので、すごくいいと思いました」


ありがとうございます。


ただ単に値段を上げるのではなく、掛かった手間とその物のつくりを見て、自信を持って値段を上げる。そんな自分になれるよう「覚悟」していく。そんな、meguruさんの姿勢はすごく良いと思えた。



次にお話しを伺ったのは真鍮を中心とした作家、GREGORIO GLEAM(グレゴリオグリーム)さん


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その屋号の意味を教えてください。


「今は真鍮をやっているのですけど、前は柿渋染め、蜜蝋の物もつくってたんですけど、それが太陽にまつわるものってイメージが自分の中にあって。で、太陽にちなんだ名前を付けたいなと思って、太陽暦(グレゴリオ暦)からグレゴリオ、韻を踏みたかったのと、ゴリゴリした名前が好きなので、GREGORIO GLEAM、太陽の煌めき。お客様一人一人にとって、煌めくような物づくりが出来たらいいなという想いを込めて」


ものをつくる動機とか喜びはそこにある?


「お客様のためにって想いはいつもありますね。お客様が喜んでくださることが一番なので」


すごく強いですね、その想いが。


「身にまとって頂ける、手に取って頂けるってことがすごくありがたいっていうか。それしかないです」


身にまとうってことはその人の生活を変えるってことじゃないですか? その方の煌めきになるというか。


「そうあったら嬉しいです」


作品の太陽に対する思い入れはどういうところから来ていたんですかね?


「私は住んでいるところは山の中の田舎で、景色にしろ空を見るにしろ、遮るものが何もないので、太陽があるのが当たり前で」


当たり前だからこそ、そうなっていった?


「そうかも知れませんし。何故そうなったのか? 理由をちゃんと考えたことがないですね」


自然を感じさせるデザインが多いなと僕は感じるのですが、その辺は意識されていますか?


「山に行ったり、森に行ったり、大きな公園でどんぐりを取ったりっていうことをやってイメージに貰ってつくることが多いですね」


違う質問にいきますね。

つくることと生活のバランスを取るためにご自身が気を付けていることやルールはありますか?


「規則正しい生活は送ってます。あと、つくれない時は一切つくらないようにしています。納期がある時はつくりますが、納期がない時は、つくりたくなる迄つくらないようにしています」




次にお話しを伺ったのは、家具や道具をつくる木工の作家、iwakagu(イワカグ)さん


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一回目から出て頂いていて、その中で感じている今回までのARTS&CRAFT静岡の変化した部分などあればお聞かせください。


「変わっていないと思います。その中で出展者や周りの人が集まって、良く、というか人が集まるものになっていっていると思うので。僕は一回目から主催者の方やスタッフさんをすごいなと思っていて、そこに対して人が集まってつくっているって感じなので、何か変わったかと言うと、周りの人が寄って来ている、賛同しているというイメージです」


要望はありますか?


「一人で出展しているものですから、お昼とかフードブースに食べに行けないので。メニューが仮にあって、届けるかどうかはわからないんですけど、そういうのがあれば、自分も市に参加しているなぁーっていうか。いつも店番で終わっていて、周りの方に食事も美味しいって聞くので。まぁ、図々しい話ですけど。売るだけじゃなくて僕もお金使って参加出来るんで」


自分のつくることに対するコンセプトや情熱を語ってください。


「僕はつくることに対して意志はあまりないんですど、相手に対して、相手が欲しい物を形にするのが仕事だと思う。こういうのがあったらいいなっていうのを形にするのが僕の仕事なので、それを確実に今後もこなしていきたいです」


その為に集中力を使う?


「コミュニケーションですね。形にするまでのこうして欲しいとか……」


対話ですか?


「対話じゃなくても、雰囲気、着てる物、話し方から察してそれがつくれればと思います」



iwakaguさんのコミュニケーションを対話という言葉だけで捉えない感覚、相手の雰囲気や着ている物、話し方という言葉以外の情報から相手を察し、その方の欲しい物に近付けていくという手法はその時新鮮に聞こえた。けれど、今に思うのは、それはコミュニケーションを取ることに置いて当たり前のことなのだろうと、当たり前に思う(その当たり前が見えにくくなっている現状が場面として多々あるとも思う)。それをiwakaguさんは、シンプルに体現しているのだ。



次にお話しを伺ったのは、清水美紅さんのライブペインティングを長時間見ているとおっしゃる若い男女のお客さん。


「地元の者です。毎年春秋、ARTS&CRAFT静岡のフライヤーが出た瞬間に手に取って、来ています。開催する日がいつも晴れる。木漏れ日が気持ちいい」


「普通のお店だとかしこまっちゃうのだけど、ARTS&CRAFT静岡ではフランクに作家さんと話せる。それはこの会場が自然の中だからかなぁーと思います」


ライブペインティングをずっと見ていたようですが、清水さんとは面識があるのですか?


「前にギャラリーとりこさんで「ゆらぎ」の展示をやって、ここでもインスタレーションをやっていて。展示を見てから知り合いになって毎年来ているので、そこからの知り合いです」


絵に見入っている時、どんなことが心に浮かびましたか?


「ARTS&CRAFT静岡二日間で、昼間の内にやるじゃないですか? 太陽が出ている限られている時間で、絵が飾られている訳ですよね。太陽の光が当たって、木の影や葉っぱの影が絵に映っている時間というのがものすごい贅沢に思えて、その中で周りにフードコートとか好きな時に好きな食べ物を食べながら絵を鑑賞出来るというのがとても贅沢で、いい時間でした。風もとても気持ち良かったです」


「同じです。陽の光と影と表情も変わるし、色使いもすんごい好き。とにかく素敵としか言ってない気がする。絵だけじゃなくて、美紅ちゃんの描いている表情もきれいで」


そういうものも含めてライブペインティング?


「描いてる時の彼女の姿がきれいだなと。描いている時に、布に当たった光が彼女の眼に当たって、鋭い眼光の中に絵が映っている姿と描いている姿が美しく見えて良かったです」



「完成です」と清水美紅さんが言った。

彼女が二日間描き続けた絵がとうとう完成した。周りにいた人たちからは自然と拍手が湧き上がった。僕は久しぶりにものすごく興奮していた。そして完成後の清水さんにお話しを伺った。


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今回の、この場所で行ったライブペインティングの良さをどこに感じましたか?


「ホントにびっくりしたことがあって。これからもこのやり方でやりたいと思える発見があって。それは風についてです。風によって布が揺れてて、自由が効かない、固定がされない、思ったところに筆がいかないっていう状況は、私が大好きな「偶然」」というものに結び付くと思いました。私は日常生活で偶然が大好きなのね。絵においても偶然っていうのが昔から好きで、このやり方だと偶然がたくさん生まれる」


生まれ続ける。


「そう、生まれ続ける。というのが、自然のものによってっていうのが、すごいびっくりしたし、感動したしこれからもこれをやりたいと思いました」


風というものもあるけど、光はどうですか?


「光は強いと、多分風と同じように自分が意図しない色になっている。それを私は許している。風と同じというか」


その連鎖を認めていって、その先にあるものを紡いでいくってことですよね?


「そうですね」


清水さんの中心に「偶然」というキーワードがありますが、それを好きな理由を教えて下さい。


「うーん。考えてみようか……。私は偶然により気付いていたい。興奮したいし、特別なものに感じていたいんだよね。自分が色んなことをコントロールしてるって思っちゃうじゃないですか? こうやってるからこうって。それもあるんだけど、ホントはもっとゆだねていい。ゆだねるともっと楽しいことが起きたりするのかな」


今のゆだねるという言葉。それはライブペインティングのテーマ、それを清水さんは前日準備の日に「外」って言っていたじゃない? そことつながるというか?


「そうだね。自分の中だけじゃないってことかな?」


自然との中で生まれる偶然。


「自分も自然の一部、なんだよね。自分が分けへだてていたものが、フッと混ざるのかな? 相手にゆだねることによって混ざる。それがピタッと来る瞬間が偶然ってことなのかな。私の中で。これは、変わるかもしれませんが。それが今思ったこと」


清水さんの絵を毎回見る度、成長し続けている感覚と成長に甘んじない感覚を受けるのだけど。


「満足していないからかな? 自分の作品に。すっごい大事だけど、大好きでそれに酔ってる訳ではないし。まだやれる、いつももっとって思ってるからかな? 今特に変わっている時かもしれない」


今? そう感じるのは?


「色の話しになっちゃうんだよね。色については私の中で色々な考え方があって。私はそんなに色を大事にしてない。単純に言うと、青を長い間使ってる時期があって、それを私は、もっと色々な色が使いたいと思っていました。で、今、それが出来つつある。その状況が、変化」


今回すごく驚いたの色数の多さだった。色が流れを生んでるポイント、テンションを生んでいるポイントがある気がするんだよね。


「そうですね」


それが色の影響もあるだろうし、ここで描いたことによる影響もあるだろうし。


「そうだといいな。物をつくってる人が色にこだわるなんて当たり前なんですよ」


うん。


「で、今私が色を使えるようになって、絵が成長しているんであれば、ホントは違う。色以外のところも成長が出来てればいいなって思ってるので、それがより、実現出来るように頑張ります。ふふふふ。色以外のものでも滲み出るもの、より私自身。得も言われぬパワーを感じて欲しいというか、絵に込められるか、それが出来るようになるといいな」


ありがとうございます。他に、何か言い足りないことがあれば。


「私はずっと絵を見ていたから、絵を見てくれた人が、どれだけいたかわかないけど、見てくれたことに感謝してます。ふと、何かの時に、絵を見てくれている人の表情を見れる瞬間があって、みんなすごいきれいな顔してた。あっ! って。それでね、きれいな顔をしているということが、リラックスしているとかポジティブなことだったらいなと思っていて、一瞬、色々辛いことのあるこの人生で、ポジティブな気持ちになれる手伝いが出来て嬉しい。だから私も見て貰えて嬉しかったです」



次にお話しを伺ったのは、ARTS&CRAFT静岡代表の一人、高山さんだ。


「今回は疲れました(笑)「MY CUP is...」という企画もあれば、エリア3と4に車を入れるという二つの新しい試みがあって。「MY CUP is...」では、橋本さん上門さんが中心になってやってくれていて、その二人を抜かしたローテーションになり、結果、各個人の比重が上がったというのがある。それは仕方ないのだけど。その結果大変だったというのもあります」


名倉くんの話しでは、今回高山さんが陰で色々と動いてくれていたようで。


「今回からARTS&CRAFT静岡のWEBの更新が、東京のスタッフ秋田さんから高山の方に移りました。でも、それによって負荷が掛かるということはそんなになかったと思いますよ」


今回から「MY CUP is...」のような企画が始まりました。それはARTS&CRAFT静岡にとって大きなことではないでしょうか?


「今まで、名倉のトップダウンで基本的には動いていたことがあり、その辺で抜けてないところはあるけれど、今回の「MY CUP is...」を開催までこぎ着けて、販売までやるってことは、今までになかったことだし、各自が自主性を持ってやったというのは、ひとつの成果ではなかろうかと思います。これがどうつながって行くかってところだよね?あと、今までこうした方がいいんじゃないか?ああした方がいいんじゃないか?という意識共有がされて、初めて成果が出たのが今回。エリア6の配置とか。やはり、どちらかというと次だよね?今回一定の成果は出しました。では次どうしましょうということ。改良点や反省点もあると思うんだけど、そこを見つけ出してどう次に活かしていけるか? というのが今回の課題なのかもしれないね」


最後に反省点を。


「当日の各自の動きに関して今まであまり議論を重ねて来なかったせいか、そこが各自バラバラだったりしたのが目に付いた。その場その場で問題があるたび、そこにいるスタッフが口述で伝える。その認識が全体に共有されてないということが今回良くわかった。今回そこが問題だってわかったことが収穫と言えば収穫かな?」


ありがとうございました。



最後にお話しを伺ったのは、OHNO CAMERA WORKSの大野さんだ。


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今回大野さんはフードエリア側の池の前に野外スタジオをつくり、そこで「未来のあなたへ」の撮影をしてくださりました。


二日間お疲れ様でした。今朝はスタッフ一同の写真撮影ありがとうございました! 僕は正確にはスタッフではないのですけど、一緒に撮って頂けてすごく嬉しかったです。


「ありがとうございます」


さて、今回の「未来のあなたへ」どうでしたか? 小屋から屋外へと環境が変わりましたが?


「撮影する分には難しい。光がやっぱり変わるので。最初、ここがいいなと思っていたんですけど、光が変わっていくので、その都度場所を変えて。そういう意味では楽しいし、お客様にとっても楽しい写真が撮れたのではないかと思います」


より活動的というか?


「テーマとしては背景がない方がいいのですが、いつ、どこで、何をしたって言う部分では、ある程度写り込みがあった方が、10年後20年後に色んなお話しが出来るので、そういう意味ではいいんじゃないかな? って」


背景が記憶としてつながっていくってことですよね?


「そうですね。やっぱり記憶って曖昧だから、どんなに楽しかったことも悲しかったことも忘れていっちゃうじゃないですか?  からある程度情報があった方が記憶に残るので、そういった意味では良かったと思います」


今、「記憶」という言葉が出ましたけど、大野さんにとって「記憶」とは? 


「僕は写真は記憶を残すために撮っている気がするんですね。今、自分が撮っていて、ハッと思うものは、昔懐かしんだものをパンって思い出す写真。現時点にいる僕は、過去を思って写真が記憶だと思う。だから今撮っているものが未来に行くと、きっと記憶を辿る何かになるのだろうなとは思うので、写真というのは、記憶という何かにとっては大切なツールじゃないかと思いますけどね」


最後に、今回のARTS&CRAFT静岡の感想を。


「やっぱりいいなって。静岡を代表するイベントだと思うし、県外からもたくさん来てらっしゃるし。常々思うのは、静岡の文化って点在していて、それが一同に集まるっていうのがいいと思うんですよね。だからそういう意味で、常に何かを求めて来るというのもあるし、新しい方が入ってくることで、同じお客様が飽きが来ないというのもありますし、新しいお客様も入って来れる。そこがいいと思います」


大野さん、ありがとうございました。


毎回ですが、これで長い長いルポを終わらせて頂きます。ここまで眼を通して頂き本当にありがとうございました。

ARTS&CRAFT静岡の次回開催は、2014年4月12日、13日です。

皆様、よろしくお願いします。

更に変化を遂げ、お互いの長所を持ち寄ったARTS&CRAFT静岡スタッフならではの企画が、個人的には楽しみです。ではでは。


うえおかゆうじ


ご意見ご感想は下記mailまでお気軽にお寄せ下さい。



ARTS&CRAFT静岡スタッフ一同







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