RSS1.0 | Atom0.3



2014年春季A&C静岡開催ルポ・後編『未来会議』


2014年春季A&C静岡開催ルポ・後編『未来会議』



開催二日目の朝、開場前、受付となりのスペースに円を囲み、集まったのはスタッフ6名とハルコヤAD、そしてライターの計8名。

これから展開するのは、ARTS&CRAFT静岡の現状と、少し先の未来をディスカッションする『未来会議』です。司会は私、ライターうえおかでお届けします!



司会・植岡(ライター)→植

名倉(A&C静岡代表)→名 

スタッフ: 高木→高 荒巻→荒 橋本→橋 一生→一 藤本→藤 

清水(ハルコヤAD)→清 



名:「フリートークから?」

植:そうだね。フリートークから……。昨日、やられたの、最初気付かなかったんだよ。何がなんだかわからなかった。しかも名倉くんだけじゃなく、橋本さんもやったんでしょう?

橋:「思いの外、できちゃったから(笑)両手で名倉さんがやるのは、難しいかということで」

名:「失敗したら、もったいないからさ」

植:そういう問題じゃない(笑)

橋:「せっかく万記ちゃん(A&C静岡スタッフ)が用意してくれたのに、(笑)しかも万記ちゃんのちょっとした気遣いもプラスアルファ」

藤:「すごい気遣い(笑)」

橋:「さすが万記ちゃん、わかってる」

名:「仕事出来る子」

清:「仕事出来る」


さて、開催一日目の夜(楽しい月夜の晩)に一体何が行わられたのか?

それは上記の会話をヒントに推測してください。



20140512-2.jpg

(茶色のジャケットが司会進行の植岡さん)


植:では始めさせて頂きます!今回の対談、タイトルは「ARTS&CRAFT静岡手創り市・未来会議」ということで、対談自体が未来の手創り市の企画会議のような感じです。

名:「朝番組だね」

植:よろしくお願いします!

一同:「よろしくお願いします!」


植:では名倉くんから時計回りに自己紹介を。

名:「ARTS&CRAFT静岡代表の名倉です。よろしくお願いします」

植:何か一言。開催一日目を終えての感想を。

名:「二日目だなぁ〜て」

一同:笑。

名:「一日目終わって、二日目の朝って、ちょっとホッとする。と同時に、次を考えてるから少し寂しくも…それが正直なところだよね。ありがとうございました」

清:「終わり?(笑)」

名:「はい」

藤:「今日が終わっちゃうんだ(笑)」


植:では次の方。

高:「新人の高木です」

名:「新人って言われるの嫌じゃないの?」

高:「嫌ですけど、でも今はいいやって思ってます」

植:そっか。ごめん!新人さんって呼んでて。では新しいスタッフで。

一同:笑

植:では一言。

高:「僕が興味あるのは、一日目と二日目のお客さんの違い。それぞれ何を求めて来るのか?ってところが知りたいですね」

植:その違いみたいなところ?

高:「一日目来て、二日目をリピートで来る人がいるのか?とか。昨日はフードエリアが混み合っていたので、今日はどうなるのか?とか」

植:意識が高い。

名:「おお!」

清:「意識が高い!」


植:では、次の方。

荒:「新人の荒巻です。よろしくお願いします」

植:チクリと新人と言われるという。

一同:笑

藤:「チクリ(笑)」

清:「チクリ(笑)」

高:「悪い人だね(笑)」

植:一言どうぞ。

荒:「昨日はあまり会場の様子が観れなかったので、今日はじっくり観て、お客さんの動向を追ってみたいと思います」


植:バッチリ観て、また話し聞かせてください。では次……。

名:「辞める人だけどね」

清:「言わないの(笑)」

植:はい(笑)。司会進行とライターを務めています、今回で辞める植岡です。お世話になりました。ありがとうございました。

一同:「ありがとうございました〜」


植:では次の方。

橋:「橋本です。ハルコヤ担当を今回やってます。夢に見てうなされるくらい、ハルコヤ漬けの半年。特にここ一カ月くらいがどっぷりハルコヤでした」


植:では次の方。

一:「鈴木一生です。植岡さんがいなくなっちゃうのが寂しいなと思いつつ、あ〜いなくなったな〜っていう(笑)」

一同:笑

橋:「解放感?(笑)」

名:「俺には圭吾くん(A&C静岡スタッフ)がいるから大丈夫だよって」

一同:笑

植:ちょっとジェラシーだよ〜(笑)

名:「新しいおもちゃがあるからって」

一同:笑

植:僕は古いおもちゃだから。

名:「だいぶ古い。江戸末期」


植:では次の方。

藤:「はい。藤本です。2年目です。今大学に通っていて制作を続けています。ホントはWEBデザインとか、グラフィックデザインとかやっているんですけど、紙製品や木工の作家もやっています。去年は『むすぶ』や『くらこと』のスタッフもやっていました。今年も頑張ります」


植:では次の方。

清:「清水美紅です。絵を描いています。今回はハルコヤのADとして絵を描いたり、DMをつくったり、視覚的な物を担当させて頂きました。よろしくお願いします」


20140512-4.jpg

(今回新たにスタッフに加わった高木くんと荒巻さん)


植:ではお題に入りたいと思います。

名:「第一問?」

藤:「早押し?」

橋:「この赤いボタン!」(iPhoneのボイスメモ、録音ボタンを指差す)


植:止まっちゃうよ!(笑)では、お題に入ります。まず、スタッフとして、初めての開催当日に考えていたこと。初心ですね。そして今、どんな風に変化したか?や、自分に課していることなどあれば。まず、名倉くんからどうぞ。

名:「第一回目は東京スタッフが殆どで、静岡スタッフは高山と川手さんの二人だけ。最初は東京スタッフだけで開催したようなもので、毎月顔をあわせるメンバーは雰囲気でなんとなくこなせてきてしまって、それをそのまま静岡会場やってしまったら、大変なことになった。それは単純に僕の準備不足でさ。普段仕事で走ってるところを人に見られたくないのに、走り回ってた。だから会場は殆ど観てないんだよね…」

清:「走り回ってた!」

名:「そう。二回目からはシミュレーションとかやらないとダメだなって。約束事や役割をまずはがちがちに決めること。基本的よりもっと強めの、原則をつくってゆくことを決めたね。で、五回目くらいから「まぁ、現場は大丈夫だな」ってなって、それから静岡スタッフが企画をやるようになっていった。で、6回目かな、鈴木くんが小屋をつくってくれて。よりスタッフが主体性を持っていこうって変わっていった」


植:スタッフが企画をやるようになって、スタッフの意識ももどんどん変わっていっている。それを名倉くんはどう見ていますか?

名:「今回、ハルコヤ担当が3人で、担当の当事者以外で共有する余裕が今はないと思うし、とにかく自分たちが思ったことをやること。やってみないとわからないから、それはそれでいい。それよりも、ハルコヤ担当のやってることを周りのスタッフが意識的に見ているかってことの方が大事。それはこれからだよね」


植:では、次、高木くん。

高:「とにかく作家さんと話して考えてることを取り込めたらなと。搬入時に関わる40人くらいの作家さんにはだいたい挨拶して、空いた時間使って話してはいたんですけど。それを今日もしたいな、と。で、作家さんの見てるもの、お客さんの見てるもの、僕らの見てるものを確認したい」

植:で、一日目に気付いたことがあれば?

高:「お客さんの入ってるところと、入っていないところ、様々だけど、入り過ぎててもなんですね、という作家さんの声も聞けたので、その辺を今日深く掘りたい。求めてるものが違っているところがあるのかな?って」

名:「作家さんと…」

植:お客さんが。

高:「お客さんの方がより安くという考えがあるのでは?と思っていて。作家さんとしては自分の唯一の物を見て貰いたい。その辺の話しが出来たらなと」

植:高木くんはすごくコミュニケーション能力が高くって、それを彼に言ったら、「ここへは、コミュニケーションを取りに来てますからね」って。それは体現出来てるなと」

名:「僕と逆だね」

一同:笑

名:「自分の欲求を満たすために来てるからね。昨晩は最高潮」

一同:爆笑

清:「満たせたよね(笑)」

名:「満潮だよ」

高:「話したいっていうのは、僕の欲求ですからね」

植:同じ欲ですね。

名:「お!ポジティブ」


植:では次、荒巻さん。

荒:「はい。私は当日、与えられた仕事をこなすのに精一杯でした。今日は作家さんのブースをじっくり見ると思います」

名:「そうだね。見ないともったいない」

植:自分の中でこれだけは決めていたという気持ち的な部分は?

荒:「仕事は仕事でちゃんとこなす。で、欲しい物のあるので、それをちゃんと確保する」


植:欲・欲・欲って来てますね。では次の橋本さん

橋:「え!? 欲しばり?(笑)」

植:しばらなくていいよ。第何回目からになるんだろう?

橋:「二回目。今回何回目?」

名:「八回目」

清:「え?もう八回目!?」

橋:「最初参加した回は、震災のあった年で、まだ余震とかあった時にシミュレーションをした。10時だか12時くらいから始めて、終わる頃には暗くなってた。で、わからないこともあったけど、当日になればなんとかなる、と思ってたら。警報が出てたんじゃないかって位の雨が降って。只々、雨に体力を奪われていく、みたいな。でも雨天決行がARTS&CRAFT静岡なので、作家さんたちはテントの壁も張っちゃって、今みたいなお客さんの賑わいもなく。すごく閑散として暗くなっちゃって。会場回ってても、自分の興味のある作家さんしか見れなくて」

植:今では現場のリーダーと言われてますけど。

橋:「今は企画をやってるから、会場の方は見て回れないけど、ちらちら見てて穏やかにいってるのかなって。お客さんもたくさん来てくれるようになって。まとまってきたのかなと思っています」

名:「安定感があるよね」

橋:「うん」

高:「ご夫婦の作家さんが、「これまでで朝の搬入の対応が一番良かった」って」

橋:「おおー」

名:「二番でいいのにね。次一番になれるから」

一同:笑

橋:「その都度、更新して行けるように」


植:では次に一生くん。

一:「入る前に何回か来ていて、緑がきれいだなって思っていて。実際スタッフになって、最初は作家さんの器とか作品をそこまで求めてなかった、って訳じゃないけど、僕が高飛車に見てたかなって。でも会場で話しを聞いていくと、この人にはこういう良いところがあるんだって体験出来たのが、スタッフになって最初の回に感じたことですね。それを写真に撮ってたから、他の人に伝えることをやっていきたいなと、思えたというか」

植:それはインスタグラムとか、ツイッターで普段も静岡のことを発信しているけど。

橋:「植岡さんの写真集とかもね。スタッフみんなに送りつけるっていう(笑)」

植:あははそうだね。って、真面目にしゃべらせてくださいっ!

一:「良いことを伝えたいってことですね。それを自分なりの言葉だったり写真で。主に写真がまず重要だから。写真があって言葉があってより伝わるレベルがアップしていく」

植:伝導力がってこと?

一:そういうような意識で写真を撮ってます。

植:え?っと思ったのは、高飛車って言ってたけど。

一:「高飛車って言葉は言い方悪かったですね」

名:「最初どっちかって言うと、プロダクトの方が好きだったんだよね?」

一:「そうそう」

名:「作家さんって全部が全部きっちりコントロール出来る訳じゃないじゃん。作品で精一杯で、その周辺が追いつかない、とかさ。」

一:「やっぱり話すとその人が考えてることがわかるし、自分の幅が広がったんでしょうね」

植:なるほど。

名:「人を知ることによってね」

一:「それってコミュニケーションにおいて重要だなって。それが今の『むすぶ』でも…」

植:活かされてる。


名:「藤本さんその辺のところどう見てる?作家さんのつくってるものと、発信の仕方だよね。君も作品をつくりながら、こういうイベントのスタッフでもある訳じゃん」

藤:「もともと、コミュニケーションのためのデザインを学んでいて、つくり手の側からじゃなくて、そのつくっている人をプロモーションするようなことを学んでるんですけど。結局、作家さんは、アーティストであり、つくり手であるという。人のために役だつ物をデザインしてそれをひとつの商品というか作品に仕上げている。その面からみると、最初はあんまり一致しないかなとは思ってたんですど、意外と作家さんの方でもコミュニケーションの要素が重要になっていて、作家さんが自分でつくって押し付けるんじゃなくて、色んなお客さんからの声を貰って作品に反映しているところとかもあるので、コミュニケーションと作家さんの技術は表裏一体なんだなって」

植:相乗効果ってところはありますね。

名:「その辺僕らも一緒だよね。選んではいるけどさ。自分たちの「こうじゃないかな?」って思いと、お客さんの声、作家さんの声がつながった時。やっぱり良いと思ったことじゃないと身体が反応しないよね。でも自分たちで「こうだな」ってのがあって、それに合致するような意見が来るとさ、やっぱり、動いて行こうと思うよね。その辺は一緒だよね。捉え方は違うかもしれないけれど」

藤:「お客さんありきの商売なので、すごい人との関係が密接なんだなって感じました」


20140512-3.jpg

(左端から、橋本・一生・藤本・清水・名倉・高木・荒巻、BROWN JKの植岡)


植:清水さんは第一回目にライブペインティングで参加してくれましたが、どうですか?家で一人で描くことと、人前で描く事の違いなど。

清:「第一回目は、今より人が気になりました。でも今は、人がいるからといって、作品のモチーフや使おうとする色が影響されるってことはありません」

名:「モチベーションだよね?」

清:「そう、感情面かな。第一回目は音楽もあったからパフォーマンス的要素も強いんですけど、それですごくゆるがされてしまっていた。最初はね」

植:そんな中、清水さんの中で、心の課してたものはなんですか?手創り市という場で絵を描くということについての考えがあれば、聞かせてください。

清:「ライブ。動きがある。手創り市が扱うのは「物」じゃないですか?動かない。でも音楽とかって……」

植:瞬間的に変わっていくもの?

清:「そうですね。そういう役割としてやってみようと思った。最初は「絵」という物が手創り市にあることが、お客さんとの距離を感じる要素になっていたんだけど、それを何とか歩み寄ろうとしていた。で、今回のハルコヤですごく一致した。お客さんとの距離を今は全然感じてない。それにはとても感動しています」



植:次にハルコヤについて聞きたいのですけど。ハルコヤの企画が発生したきっかけから教えてください。

橋:「最初は名倉さんがテンション上がって送って来た一枚の写真があって。それは黒い背景に、貝殻とか石とかがポツポツと並んでるもので。小さい物を集めて何かをやりたいって。それに乗っかって、始まり。私は清水さんと企画をやりたかった。前回の開催の時もそれを考えていたのだけど、「MY CUP is...」の時は、直前になってバタバタ決まっていったから、企画もちゃんと練れてなかったし、結果断念したんだけど。で、春も自分が企画をやっていいことになって、清水さんと絶対やりたいと思っていて。清水さんの絵に小さい物がキラキラある感じ、というのをみんなで話しながら、企画を詰めて行きました。星や星座、紺色の背景や、清水さんの描く絵だから女の子がいてっていう様な所から、清水さんのラフ画が出来上がって、作家さんに声を掛けて、13人集まってくださって。スタッフそれぞれが好きな作家さんを呼んだから、つくるものは多種多様だけど、なんとかするって思った。で、名倉さんはどこかで、今回の企画のアクセサリー=ブローチって思ってたみたいで、でも私たちはブローチだけがアクセサリーじゃない、って思って、その辺りから、名倉さんの意見を聞かないで、女の子だけで、女の子の喜ぶ物をつくっていこうと意見を出していったというか、好き勝手やり始めた」

名:「知ってるよ」

清:「はじめて小屋の中に入った時、キャッキャッしたものね」

橋:「そう。その感じを空間にしたいな、と」

植:橋本さんが清水さんに強く惹かれた理由は?

橋:「色々理由はあるけど、好きだからやりたいと思った」

植:出発点が『好き』なんだよね?

橋:「そうそうそうそう。やりたいこと、ここなら出来るじゃないですか?制限はあるけれど」

清:「私も橋本さんが私と企画をやりたがってるって聞いてて、橋本さんならやろうって思った。信頼してるから。他の人を信頼してないって訳ではないけど、多分、リズムとかフィーリングが合うから。仕事する上でも」

植:僕もここでしかスタッフさんには会わないけど、それでも信頼は生まれるし、その信頼が引き金になって、ルポに変化も生まれたし。それはありますね。

名:「そういうハルコヤの企画を周りから見て、どういう風に見てた?荒巻さん」

荒:「私が入る前から企画は始まってたんですけど、メールの文面だけ追っていてもいまいちわからなかった時に、清水さんのラフ画が送られて来て。うわっ!って。で、展示品もジュエリーやブローチ、女の子の大好きな物だし、これはきっと上手くいくって思って。で、小屋が完成してその中に入った時に、統一された清水さんの絵が、四方にあって、すごく包まれている感があって、幸福感が……」

名:「私を包み込んで」

一同・笑

荒:「それを見て、あぁいいなと思いましたね。同じ世界観の絵に囲まれるってないじゃないですか?美術館行っても絵は面なので」

清:「確かに」

名:「小屋という空間がもたらす効果だね」

高:「作家さんのブースって自分の作品でそのブースの世界観を出すじゃないですか?でもハルコヤは、異質なものが混ざり合って出来てる。その効果が互いを引き上げる。そういう見せ方をした空間があるってことは良いことじゃないかって。そういう目線でずっと見てました。あと、作家さんのブースに行くお客さんって、そのブースにある物で完結させようとする。例えばこのコップが家の棚には合うから欲しい、とか。でも、異素材のものを、家の棚に置いたとしても意外と自然に馴染んだりする。そういう、異素材の物が活かされ合う空間があることで、お客さんに違う感性を与えられるってことは、この小屋ならではで良いなと思いましたね」

一同:おおー!


(ADの清水さんは開催二日間でライブペインティングをしていました)


植:清水さんは今回アートディレクター(以下、AD)を務めています。で、ADとはどういった役割かを考えながらそれに臨んだと思うのですけど、そのあたりのことについて聞かせてください。

清:「学生の頃から馴染みのある言葉ではあったのですけど、それが正確にどういう役割を意味するのかは知らなかった。絵描きでもグラフィックデザイナーでもない。で、今回調べました。ある一つの物を宣伝する時の視覚的な監督。それがAD。なるほどって思ったんですね。でも、監督ってそんな、上から……。それは私には当てはまらない。で、視覚的なものでイメージをつなぐ役目をしようって思ったんですね。絵があって、作家さんが13人いる。見た目的に統一感はなくていいと思う。色んな星がある方が私は楽しいと思うから。それを、色んな物があって楽しいよね?で終わらせるんじゃ意味がないから、絵で作品と作品をつないでつないで、表現するってことを意識してました。とはいえ、全部私からのイメージじゃないから、スタッフさんからのオーダーもあるので、背景は紺色とか、そういった部分は取り込んで自分なりに消化する、それはいつもの絵描きの仕事と変わりませんでした」


植:清水さん自身が、今、この形で完成したハルコヤをどう感じているかを聞かせてください。

清:「すごく良いと思います。最高!(笑)一番良いと思ったのは、さっき作家さんが小屋の中に入ってめちゃめちゃ笑ってたの」

植:どっかんどっかんいってたね。

清:「それが幸せだった。すごいと思った」

名:「あの瞬間がディレクターの着地点だもんね」

清:「?? どうしてそう思う?」

名:「モノと絵、さらに人もつながってこその、仕事だから」

植:良かったですね。あのセッション。

清:「橋本さんがね」

橋:「三日前に思い付き、寝る直前にメールで呟いたら、半分寝かけたところに名倉さんから電話がかかって来て…」

植:電話がかかってきたんだ!

橋:「何言ってんの?無茶だよ、って笑いながら電話して来て。知ってるって、わかってるって。メールに無茶だって書いたじゃんって。でも、やりたいからやった。やりたいことを伝えたらそもそもわかってくれた作家さんだから。物理的に来れなかった人もいるけど。ちゃんと見て欲しかったし、どう思ってるのか聞きたかった。開催始まっちゃったら、作家さんたちは見れないし。一同に集まることってまずないじゃん。ここは昨日、今日の二日限定だし。やりたいことが出来るかもしれないんだったら、やってみようって。で、今、全部叶った」

清:「すごいよね。頭の中で想像したことって目の前に起こすのってすごく時間が掛かる。すっごく大変だけど、それが出来たことってすごいことですよね」

橋:「清水さんがいたから出来たかな」

清;「橋本さんがいたから」

一同:笑


(ハルコヤセッション。またの名をハルコヤ女子会。二日目の早朝のこと…)


植:一生くんは今度のアキコヤを経て、来年のハルコヤを企画すると聞いているのですけど、今回の対談や、完成したハルコヤを見て、気付いたことや感じていることがあれば。

一:「春は『グリーン』というキーワードから始まって、小屋からはみ出して、わーっと盛り上がっていくことをやりたい。今回のハルコヤは、小屋だけの空間で終わっちゃうのがどうかなと思っていたんですけど、清水さんの絵だったりとか、さっきのハルコヤ・セッション、記念撮影だったりとか、そういう盛り上がったムードがずっと続いていくような企画をやりたいです。今、清水さんから色々意見も貰えたので、より共有出来たというか」


植:一週間、木藝舎の「Sato」に泊まり込みで絵を描いていたということですが、どんな気持ちで絵に向き合ってましたか?またどんなことを考えましたか?

清:「うん。率直にいうと、すごく大変だった。でも、作家さんも大変。スタッフさんも大変。自分だけじゃないって考えてた。だから頑張れた。また、一人きりを楽しみにしていたんですよ。一人きりを覚悟していた。でも、スタッフさんも来てくれて、ご飯食べたりして。一人きりを覚悟してたんだけど、人と会うってことが多くて。それも制作に含まれるなと思った。人がすごい好きなった」

植:それは清水さんにとって変化?

清:「うん。変化。一人にはなれない…」

植:ということに気付いた。

清:「なんでそう思うのか?絵を描いているとやっぱり孤独を感じる。でもいい孤独なんだけど。というところにちょっと酔ってたんですかね?私一人で頑張ってる、みたいな。あ!それだ!そうじゃなくてもっと人に頼ったりとか、甘えようと。もっといい作品をつくろうって。ハルコヤって良いって思ってて。あんまり自分の絵だって思ってない。自分の絵だけじゃないから。絵を描いた訳じゃなくて、ハルコヤをつくったから」

名:「清水さんが製作期間に感じたことは、スタッフがSatoまで来てくれたからこそ感じた訳じゃん。それが作品にあらわれたというよりも、橋本さんが三日前に無茶を言う、そういうところにつながっていると思うんだよね。想いや、気持ちの部分だから言葉に出来ないこともあるし、絵に描けない部分もあるよ。でも、それが確実に僕には伝わったから、電話苦手なのに夜中に電話かけてさ…伝播していくよね? 伝播しないような人たちとは一緒に出来ないし、やれる訳ないの。結局、そういうのを引き継いでいった方がいいんだろうな。みんなにとって。関わり方は人それぞれでいいと思うんだよ。それは普段の仕事、生活もあるから。でも、伝播してゆくことを感じるって、みんなであって欲しいなって思うよ」


植:では、ハルコヤの話はこのあたりで。ありがとうございました。

清:橋:「ありがとうございました」


20140512-1.jpg

(むすぶ組の一生くんと藤本さん。秋にむけて或るモノを制作中?)


植:次は『むすぶ』の話しを聞かせて頂きたいのですけど。まず、一生くんが『むすぶ』を担当するようになったきっかけを。

一:「僕がよく鷹匠に行っているもんで、名倉さんから声が掛かって。で、普段写真に力を入れているのもあって、写真を活かしながらやっていこうという流れに」

植:一生くんはよく写真を好きで撮ってますよね?

一:「別に好きじゃないんですよ。好きとか嫌いとかってあんまり関係ないんですよ」

名:「コミュニケーションだよね?」

植:手段?

一:「すぐ「好き」とか言われると、僕も「好き」か「嫌い」かなんて、すぐに理由はわからない。「好き」か「嫌い」かに区別するのは僕は嫌いなんですよ。例えば、洋服の「ミナ」好きでしょう?とか言われるんですけど「ミナ」だけじゃないし」

植:トータルでいかにまとめるかってこと?

一:「トータルって言葉に近いですね」

名:「トータルっていうか、プロセスでしょ?過程があって、それが好きだから最終的な着地点も好きになるんだよね」

一:「はい」


(昨年末にリニューアルされた『むすぶ 鷹匠』。是非ともご覧下さい。)


植:では、今後の『むすぶ』の展開について。

一:「鷹匠って街に手創り市がもっと入り込むような、イベントなりを具体的に仕掛けていきたいです。歩いて色々キョロキョロして欲しい」

名:「歩くということが重要なポイントかもね。この会場も歩くでしょ?歩く速度とか、歩く距離とか。車だったらどこにでも行けちゃうし」

一:「ただお店の中に行くんでなく、お店以外の目的というか。草だったり、街並の中に猫がいたりとか。植岡さん猫大好きですよね?」

植:猫大好きですよ!って突然ふられても(笑)。藤本さんは何かありますか?

藤:「地元だったので協力出来るかなって思ったんですけど、私も知らない素敵な所がたくさんあって、鷹匠を再確認するきっかけになりましたね。あと、鷹匠で取材していたら、月に一度だけ開かれる手作り市がたまたまその日やってて、色々な人たちと話して、あれよあれよと言う間に、近所でアトリエ持ってる人が「今度遊びに来てくださいよ」ってことになって、私がつくってる物を置いてもらえることになったんです」

植:歩くことで、そういう突発的な出会いが発生するように『むすぶ』を発展させていけたらいいね。

藤:「前に一生さんに見せて貰った、紙媒体のマップ・小冊子があって、そういう物もつくりたいなって。『鷹匠・お散歩マップ』」

名:「高木くんや荒巻さんから見て、『むすぶ』にこういうことを挟みたいってある?お客さん目線ではなくて」

高:「僕の感覚からするとなんですけど、写真もすごいし、コンテンツもいいんですけど、ちょっと遠い存在な気がする。非常にお洒落で、気高い感じがする」

橋:「身近な街じゃなくて、雑誌の中に載ってる東京の街って感じがする」

高:「あのコンテツンはあのままで良くて、もう一歩手前につなげる何かがあるのかなって」

藤:「あれが常設ページとしてあって、特集ページがもっとあればいいのかなって。もっとサイトに動きがあってもいい気がする」

一:「動きは確かに遅いですね」

藤:「もっと気軽な感じで、『鷹匠に咲いてるお花ベスト』とかあってもいいのかな」

植:散歩って歩くじゃん、動画で撮ってつなげるみたいなことは出来ないの?静止画にこだわりたいの?

一:「それは見ないんじゃないかな?」

名:「逆に、なんで動画?」

植:たまに街を歩いて、動画でそれをつないで作品にしたりしているのだけれど。結構面白い物が出来るというか。歩くリズムとかで景色が変わっていく感じとか。ま、ジャストアイディアなんだけど。

一:「誰か作成する人を入れて、マップはあってもいいかな。柔らかい要素をプラスする上で」

高:「お店の魅力を伝えるのか?鷹匠の魅力を伝えて、みんなで盛り上げていこうとしているのか?それがより鮮明になれば。お店単体で取り上げてしまうと、お店だけの紹介に個人的にはなってしまうので。こういうお店がある街の紹介でいくのか?こういう雰囲気の街だからとにかく足を運んで、その中でこういうお店があるっていう文化的な感じでいくのか?それが出来たらいいなって」

荒:「『むすぶ』のホームページって見難くないですか? 何がどこにあるのか?パッと見てどうすればいいのかわからない。動線もわかりづらいですね。『むすぶ』自体は好きなんですけど、見難いかなっていうのが第一印象でした。見難いホームページって足を運ばなくなる…」

清:「一秒、ですよ。ホームページって」

荒:「何が更新されたかもわかりづらいので」

藤:「トップページが変わるだけでも動きがあるように見えますよ。そこから特集ページに行けるように出来たらいい」

橋:「パソコンで見るのとスマホで見るのとでは違うじゃん。鷹匠でスマホでも見やすい?」

一:「あぁー、スマホだと見難いですね」

橋:「出来たら、街にいても見やすい、活用しやすくなれば」

一:「それはずっと思っていて。高山さん(A&C静岡スタッフ)に、変更お願い出来れば」

橋:「出来る出来ないはきっとあるんだろうから、案をどんどん挙げていって、諦めなきゃならない部分が出て来たら諦める。植岡さんの動画だってそうだけど、それがそこにハマるかどうかはわからないけど、やってダメだったら切ればいい。出来ることはとりあえずやってみたらどうかな、なんて」

清:「橋本さんが言ったように、とりあえず提案してみることが大事だと思う。それも視覚的なもので。絵を描くのが苦手とか個人差はあるかもしれないけど、自分で描いてのもの。その方が伝わると思うし、それが『むすぶ』本来の目的、伝えるってことだと思うから」


20140512-5.jpg

(キャトルエピスさんよりクレープの差し入れ。ごちそうさまでした。)


植:では、『むすぶ』の話はここで締めて、最後に、秋の手創り市でやりたいことがあれば、聞かせてください。名倉くんから。

名:「春でやったことを引き継ぎつつ、一生くんの来年のハルコヤ企画、植物、GREEN。これは面白いと思う。前に一生くんがみんなの前で企画を発表した時、みな注目していたし、その想いは伝わったと思うから。具体的に会場でどう見せていくかとか。そういうことを一生くんに投げておしまいじゃなくて、考えてく。秋がそのための第一歩というかさ。みんなでそこに行くために。で、春は一生くんの考えてることをより形に出来たらいいなと。あとは『むずぶ』。会場で、紙媒体だけでなく、小屋と違った形の装置を。持ち帰ることはできないけど、見て触れる体験ができるようなものをつくれたらいいなって。あと、植岡さんは今回のルポが最後じゃない?半年に一度の開催だから続けていきたいし、スタッフ内でやれる形を考えていきたいなと。で、少なくとも今のルポよりは良くしたいな、と。それは、簡単だけどね」

一同:笑


植:次は高木くん。

高:「個人的に小さくむすびたいなって思っていて。作家さんだけでなく、この人話し掛けても大丈夫だなってお客さんに話し掛けて、作家さんと三人で話したり」

橋:「ルポ岡さんからルポ木くん(笑)」


植:あはは。では次、荒巻さん。

荒:「私も同じ感じなんですけど、作家さんともっと絡んでいきたいなって。まだ恥ずかしくて、会釈されても会釈で返すのが精一杯で。今日、これから、グイグイ絡んでいきたいです」

名:「その「こんにちは」って時に、一歩前へ出れば作家さんはきっと嬉しいよ。お互いに」

高:「『場所』使えますよ」

植:愛知から来たんですねーとか。

橋:「さすが」

名:「やらしい」

清:「ホント、高木くんコミュニケーション能力高い」

橋:「コミュ木さんだ(笑)」


植:では橋本さん。

橋:「小屋は秋にバトンを渡すので、現場のことに戻るのかなと。でも、私がやらなくても会場は回っていってるし。初めての二人もすごいしっかりしてるって聞いてるし。心配しなくていいのかなって思う二人なので。もっと、エリア6からフードエリアに抜けるようなことをしたい。一生くんたちのやる小屋と会場全体を回ってく何かを考えられたらと思います」

植:橋本さんは、ハルコヤの企画で得た経験を現場に活かす形で、色々出来る気がしました。

橋:「作家さんと話が出来るようになったから、作家さんとも対話を持って、会場全体で何かグルグルグルグル回せるようになればいいですね」


(アキコヤは一輪挿しの展示を進めております。公募も実施予定!!)


植:では次、一生くん。

一:「一輪挿しってテーマで秋は小屋をやる。それにむかって行きたいですね。あとは『むすぶ』なんですけど、ここで見る体験を得て「あ、鷹匠行ってみよう」となるようなものもつくりたいし、大野さんに撮影して貰って、展示会をやって頂くのもいいし、色んな人を巻き込んでやって行きたいですね」


植:では次、藤本さん。

藤:「鷹匠のお店で雑貨を置いてる作家さんと手創り市の参加作家さんがダブってるっていうか。そういう作家さんを集めた『鷹匠枠』とか」

名:「作家さんを切り口に、鷹匠を紹介していくってことだよね」

藤:「そうです!」


植:では最後に清水さん。

清:「私はアキコヤを。それと昨日、ライブペインティングをしていた時、子供と絵を描いてたんですよ。子供と絵を描くって良いなって思って。私も塗りたい!僕も塗りたい!私も描くし、子供も描く。昨日、初めて絵を描くって体験をした子供もいて」

植:それは良いですね。そういえば、今回は会場に多くの走る子供を見た気がします。子供もアクションを起こしたくて仕方ないのかな?だからそういう衝動を活かせるような何か、清水さんとのでっかい絵であったり。

高:「子供って素直で我慢出来ないんですよ。やりたいとすぐ行っちゃう。だけど大人になると我慢することを覚えるから、ホントは大人も参加したいと思ってるんですよ。でも我慢しちゃう。そういう大人を巻き込めたらいいですね」

一同:ああー!

清:私も初めて子供を意識したんだよね。いつも大人に向かって描いていて。でも子供って思った。なんだろう? 大人もいいね、確かに。

高:「子供は素直だからやりたいって言えるんでしょう?」

清:「大人は『私は絵が下手だから』とか…そんなことはない。下手なんてことはないから」

高:「子供も一緒なら、子供も大人も巻き込んで」

清:「いいね。お母さんが○を描く。そこに子供が色を塗る、とか。お父さんは△とか」

植:僕もやりたいな。

清:「お父さん???」

植:いや、独身代表として□を描く!

一同:笑

清:「独身男性は、□。独身女性は○」

藤:「この○を描いた女性は?!みたいな…」

植:「むすぶ!」

一同:爆笑

植:ということで。

一同:ということで!

植:『未来会議』ありがとうございました!



またしても長文でしたが、お付き合い頂きありがとうございました!

「うえおかのルポは長い!」

「短く編集出来ないのか?」

と言われ続けて、早三年。

出来ることならとっくにやってます。

僕のルポが長いのは、あらゆる物事の魅力は細部に宿ることを熟知し、それを余さず伝えるためです。というのは半分うそで、単純に伝えたいことが多すぎるのです。

その「伝えたいことが多過ぎる」が、ARTS&CRAFT静岡や、すべての会場の手創り市の魅力ではないでしょうか?

なんて、今に思うのですが、いかがでしょうか?


これで、僕の「手創り市ライター」の仕事は終了です。

最初から最後まで、一貫して通したことは「誰の真似もしない」でした。

だから、この三年間は多くの雑誌や本をシャットアウトして来ました。

故に、文章や構成のクオリティに上達は見れなかったかもしれません。

しかし、生身の人間としての言葉、感じ方、コミュニケーション能力、

そしてその対話から得たものの伝え方は、少し手に入れられた気がしています。

それが今は、単純に嬉しいです。


長い期間、僕の駄文にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

そして今まで僕のライター活動に協力してくださった皆様、

深く感謝しております。

これでルポ岡は、ARTS&CRAFT静岡のスタッフに、ルポのバトンを渡します。

これからもARTS&CRAFT静岡手創り市、そして会場ルポは続きますので、

よろしくお願い致します。


ではでは!近いうちにまた!どこかでお会いしましょう!



うえおかゆうじ


追申 


最初のルポの時も「これが最初だ」とは思わなかったし、

最後のこのルポも「最後」のつもりで全然書いていません。

それが僕の性格なんでしょうね。



これで2014春季A&C静岡開催ルポ全編終了です。

…と思いきや、

最後の最後にハルコヤ・セッション(ハルコヤ女子会)の更新が御座います。

更新は5月16日。

是非ともご覧下さい!!



ARTS&CRAFT静岡手創り市







Profile
New Entries
Archives
Category