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反省会日記side上門


5月12日、晴れ。


6回目のARTS&CRAFT静岡手創り市を終え、反省会の開催される足久保の

木藝舎satoへ向かう道のり。

BBQをしつつ、過日開催の反省と、次回にむけての話し合いを行う。

楽しみと、不安と。

ARTS&CRAFT静岡スタッフと対峙する前は、いつも必ず緊張する。


大人になって、社会に出て、子供の頃よりもいろんな事を感じられなくなって

いるように思う。

感じなくなることで、自分を周りの敵(実際は敵なんてそんなにいないんだけど)

から守ることができるような気がしていた。

幼い頃からの人見知りに加え、大人の殻を身につけてしまった自分にとって、

素直に感じることができる・率直に考えることのできるスタッフたちと対峙する

ことはとても勇気がいる。


漠然とした不安を抱えながらも、sato到着。

そこには、軒先のテーブルをぐるっと囲んで、代表・名倉さん含め、スタッフが

揃って着席していた。

‘日曜日’‘晴れ’‘BBQ’なんていい響き。

だけど目の前には、背景を会議室に変えたら一番しっくりきそうな光景が広がっていた。


反省会のお題目はあらかじめ決まっていた。

その項目にそって、話し合いは進められていく。

ARTS&CRAFT静岡の開催から1ヶ月。

その時に気付いたことはメモしたつもりでも、時が経つと書いた意味が分からなく

なったりする。

熱が冷めないうちにきちんとまとめておくことが必要だったなあと、また反省した

のだった。


「じゃあ、時計回りに」と、名倉さん。

最初の発言者となる端っこに座らなくてよかった・・・なんてホッとしたりして、

授業中の小学生みたいだけど。

そんなことを思う私の隣で、ベテランスタッフ・橋本さんが話し始める。

空気を和ませてくれながらも、スタッフ歴の長い彼女の発言は過去の開催との

比較などもあり、胸にずっしりしっかり響く。

続いて、自分の発言の番。

拙いながらも考えたことを、とつとつと語る。

名倉さん、twitterでおなじみの米澤さんらが、頷きながら聞いてくれる。

米澤さんなんて、目をきらっきらに輝かせながら聞き入ってくれるから、

調子に乗って話してしまう。


自分が、スタッフとして経験したARTS&CRAFT静岡はまだ2回だけ。

ARTS&CRAFT静岡の「当たり前」がまだ分かっていない状態なのかもしれない

けれど。

こうやって自分の視点から発言をすること、他のスタッフの考えを聞くことで、

ARTS&CRAFT静岡のポリシーみたいなものを、自分の中に構築することが

できるように思えた。


スタッフそれぞれが、違う視点からARTS&CRAFT静岡を見て、語る。

様々な方向から見ているけれど、向かう先は同じ。

「どうしたらARTS&CRAFT静岡をより良くしていけるのか」


反省会は、途中BBQ・流しそうめん・お誕生日祝いを行いつつ、

結局6時間以上になった。

長い時間、スタッフの意見に耳を傾けて、考えを巡らせ、話し合っていたから、

終わる頃にはぐったり。

それでも不思議な充実感がある。

反省会に来る前までの不安はどこかへ消えていた。


スタッフ皆の考えに刺激され、今までみたいに自分の殻に篭ってばかりもいられない

ぞと、前向きな自分が言う。

次の開催に向けて、自分はどんな動きができるだろう?


さあ、次の一歩を!



※2013年秋季A&C静岡の開催は10月12・13日。
 お申し込みは7月1日よりスタート!!

上門 聡美





春季開催の反省会。

去る5月12日。

春季開催の反省会。

”くらこと”会場でもある足久保・satoで。


いつも感じることだけれど、

反省会だけでなく、

選考会もシュミレーションも、

なにかしらスタッフで集まるときには必ず、

”おなかいっぱい”になる。

いろんな意味で。


SATOではいつもBBQ。

木藝舎さんで出た端材をくべて、

地元の野菜とお肉を焼く。



BBQの〆は山盛りの焼きそば。

これからのシーズンは竹を割った流し台での

流しそうめんも。



そしてお決まりのケーキ。

スタッフの誕生日や結婚祝い。

ホールのケーキをカットして、みんなで食べる。



もう、苦しいくらいにおなかいっぱい。。。


そして始まる話し合い。


*******


私がスタッフになった頃。


当時は静岡スタッフは5人だけ。

右も左もわからないまま、

雨に打たれて、ただただ必死に会場内を歩き回って、

ぐったりだったあの頃。

反省すべき内容さえもぼんやりしていて、

名倉氏の言うことがすべて正しいかのように感じて、

ただただ「うんうん」と頷いていたあの頃。。。


今となっては、嘘みたい。

ただの”YES,MAN”はもういない。

一人も。


*******


今の問題点、今後の改善点のひとつひとつ。

作家さんに書いてもらったアンケート、

開催中に自分たちが出会った人、起きた事、

それぞれが見て感じて考えたこと。


話しだしたら止まらない。

考え出したらキリがない。


静岡スタッフはキャラが濃い。



だから、同じようで少しずつ違う感覚を、

少しずつすり合わせる。

それがまとまるまで、何時間もかかるけど。


少しずつぶつけて、壊して、くっつけて。

もう一回、カタチを作る。

それをみんなが取り込んで、

飲み込んで、創っていく。


【同じ釜の飯を食う】


*******


あ。そういうことか。


*******


みんなでご飯を食べて、話して、考える。

食べたものはやがて、みんなの身につき、

手足を動かし、心も養う。

そうして手創り市は、

少しずつ少しずつ、変化して、成長していく。人間みたいに。


私たちと手創り市。


実は一緒なんだと

思い返してやっと気がつく五月の夕暮れ。


さて、明日の私のために、

そろそろ夕ご飯でも作ろうか。 


※2013年秋季A&C静岡の開催は10月12・13日。
 お申し込みは7月1日よりスタート!!

橋本愛未




反省会日記


スタッフの米澤です。


12日に、反省会をくらしのこと市の会場の木藝舎SATOで行われた。

春季開催から1ヶ月後の反省会。

「スタッフはこの1ヶ月もの間なにをやっていたのだ!?」と声が聞こえてきそうだけれど、

この間、開催中に気がついたことや感想をメールでやりとりしていた。

スタッフは、西は浜松、東は長泉町まで散らばっているので1ヶ所に全員が集まることはそう簡単なことではない。

(それにしても、護国神社からとても離れているのに、

 よくスタッフになることを決意してくれたと思う)

今回も全員が集まれるわけではなかったけれど、反省会後に話し合われたことや決まったこと

を共有していく。


反省会の数日前、「名倉さんが、反省会に対していつにも増してやる気だ」とスタッフの間でひそひそと話がされていた。そう、なんだかいつにも増してやる気だ。

反省会の1週間前ほどから、名倉さんから話し合われる内容の『お品書き』なるものや、進行についてのメールが送られてきていた。

そのやる気に応えたいので、私なりにもサポートするべく進行などを考えてみた。

静岡スタッフは、現在18名。いくら気の知れたスタッフの中とは言え、この人数の話し合いの場では、自分の意見を言うのってちょっと尻込みしてしまう人もいると思う。

みんなと意見が違ったらどうしようとか、集まる目線に緊張してしまうとか、そういうことは、人数が多ければ多いほどに感じること。『みんなの意見を拾って反映させる』ことをするには、ひとり、ひとりに意見を言ってもらうというところからだ。

私は、スタッフの中では尻込みするタイプではないので、なるべく隅っこの席に座って、発言が少なめなスタッフの声を拾っていこう!と思ったものの、気が付いたら真ん中あたりの席になってしまっていた。(反省会の反省)

自分が話しやすいと感じる事を相手に実践。目を見る・頷く・「(意味が)わかる」と伝える。


反省会の最中、名倉さんは、みんなの発言を引き出すことに徹底していたと思う。

最初は、全員が開催についての感想を順番に言い、次から搬入出や開催中の改善点や次回の企画のアイデアをまんべんなくスタッフに意見を求めながら進めた。

いきなり話を振られ、少し考えながらもみんな思っていることを言ってくれたし、答えられない人がいなかった。むしろ、「ここまで考えてくれているんだ」と普段積極的に発言しない人の意見が聞けたことがとてもよかった。

話を振っていく中でとてもいいアイデアも出て、次回の開催で実践することになった。


反省会は、お昼休憩を挟みながら6時間程掛かった。

お昼は、いつものようにバーベキューをしたり、流しそうめんをしたり、誕生日と結婚のお祝いのケーキを食べたり、話し合いの合間のリフレッシュになった。


反省会後は、くらしのこと市の打ち合わせのため、くらことチームは場所を変えてクロンボへ。

さすがに話し疲れたので、店についてからみんなしばしぼーっとしていた。

そうはいっても、時間が押しているので、「巻いて巻いて!それ、えいやっ!」と話をまとめて終わった。(あくまでイメージです。ちゃんと話し合いはしました。)

毎度のことながら、たっぷりおいしいバーベキューのお蔭で、夕飯と次の日の朝ごはんも食べずに済んだ。

木藝舎SATOのスタッフの皆様、長時間の滞在をお許しくださりありがとうございました。


*****

これから、ARTS&CRAFT静岡の開催の改善と企画や『むすぶ』のシフトチェンジ、そしてくらしのこと市…と盛りだくさんで動いていく。

与えられた役割や企画を前に、私は反省会が1週間経った今も、あれやこれやで混乱気味。

スタッフのみんなはどうだろう?

それぞれに与えられたことや反省会を通して「次はこうしたい」と言ってくれたことが実現できたとき、自分のことも、みんなのことも、ARTS&CRAFT静岡のことも、今までと違うなにかが見えてくる。そう信じて、私は頑張ろうと思うよ。

(新しい企画のプレッシャーに少し弱気になっていた、自分へのエールでした)



※2013年秋季A&C静岡の開催は10月12・13日。
 お申し込みは7月1日よりスタート!!

米澤あす香





むすぶを改めてゆきます

芍薬の花。つぼみから見ていますから尚更咲くのが楽しみ。

静岡スタッフとの反省会も終え、今後の改善点など、その第1弾をお知らせしました現在。
これまで静岡県内の情報をお届けする事を目指してきた「むすぶ」を大きくシフトチェンジすることを決めました。

今後、むすぶの中心となるモノ・コトは鷹匠エリアのこと。

鷹匠エリアは今も昔も静岡市にあって魅力ある個人店が多く集まるエリアです。
私たちARTS&CRAFT静岡がお世話になっているお店も多数あり、会場である護国神社と鷹匠エリアは、静岡鉄道によって交通の便などでも密接なつながりをもっています。

そんな繋がりのある街を、県内外にご紹介してゆく事で、結果的に街の活性化となり、これからの鷹匠エリアのスタンダードの一端となるような「むすぶ」の形づくりを目指してゆきます。

早速6月よりスタッフと共に動いてゆきます。
今後のむすぶの変化にご期待下さい!!


※2013年秋季A&C静岡の開催は10月12・13日。
 お申し込みは7月1日よりスタート!!


名倉哲




次回開催にむけての改善点とお知らせ


2013年春季ARTS&CRAFT静岡開催後に頂いた声を元にして次回開催へ繋げてゆきます。


↓次回開催にむけての改善点とお知らせ↓



【搬入・搬出】


・開催初日、エリア3・4搬入。

 会場内への車の乗り入れはこれまで行ってきませんでしたが、

 秋季開催より車の乗り入れが出来るようになります。

 (搬入時間の制限有り)


・二日目の搬出。

 これまで同様、17:30より自身の車を使用しての搬出(荷物の搬送)が可能。


【ワークショップ】


今回、クラフト出展の方の自主的なワークショップ開催が多く、今後はARTS&CRAFT静岡

の呼びかけにより、一般参加をしながら、ワークショップをしていただけるような出展エリア

を設けて参ります。


【小屋】

次回の小屋の企画展は会場出展者もご参加いただける内容を検討しております。

詳細が決定次第、ご案内致します。


*今回の小屋の企画については「こちら」clicks!!までどうぞ*


【おやつ関連】

2時からはじまる「まちきれない!おやつセット」

3時からはじまる「おやつブレンド」は今後も続けて参ります。

「まちきれない!おやつセット」については、今回は食品出展者のみとなりましたが、

次回より飲食出展者(現場調理可の出展形態)もご参加頂けるようご案内致します。


*おやつセット・おやつブレンドについては「こちら」clicks!!までどうぞ*


【パンフレット】

開催前のルポではパンフレットの作成について言及しておりましたが、制作経費の都合上、

紙もの媒体でのパンフレット制作は現在の運営状況では断念致しました。

ただし、「出展者の紹介と出展場所のマップ」が併記されたマップをPDF化し、HPよりダウンロードできるものを作ります。また、開催前には会場内マップの記載されたDMを作成し、会場の全体像がわかる案内と致します。


【むすぶ】

これまで静岡県内の情報を網羅することを行ってきましたが、ARTS&CRAFT静岡会場である

護国神社とより繋がりのある鷹匠エリアを中心とした、「むすぶ」へシフトしてゆきます。

WEB「鷹匠むすぶ(仮)」は、鷹匠エリアを中心とした、新旧さまざまなお店や人を紹介し、

鷹匠エリアの新たなスタンダードとなってゆくことを目指します。


*現在のむすぶは「こちら」clicks!!までどうぞ*



今後もARTS&CRAFT静岡は開催ごとに新たな試み、また足元を整え、継続する事と

変化してゆく事を同時に目標に掲げスタッフ一同歩んで参ります。

これからもARTS&CRAFT静岡を宜しくお願い致します!!



*次回の開催は2013年秋、10月12日・13日となります。

 お申し込みは7月1日よりスタート!!


*ご意見・ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ*






春季A&C静岡開催ルポ:後編

2013年春季ARTS&CRAFT静岡ルポ:後編(4月14日) 

*前編は「こちら」clicks!! までどうぞ*
 

 


二日目も晴天に恵まれた第六回・ARTS&CRAFT静岡。9時スタートの段階で、昨日よりもお客さんの数が多い様に思われる。

 

今回のルポは、まず始めに、鉄を用いて様々な生活用品などをつくりあげる作家、colummaさん(カルンマ)のインタビューから。



屋号の由来を教えてください。


 「calummaは、カメレオンの種類の名前です。私の作品のテーマがお客さんの生活に合わせて、溶け込んでいく物づくりなので、そう名付けました」


お客さんの生活の中で擬態するって事ですね?

 

「はい」

 

それはお客さんとのコミュニケーションって意味もありますよね?

 

「もともと、これじゃないとって感じではつくってないので、人が喜んでくれるのが嬉しくて。技術をずっと勉強したくって。私がつくったもので完成ではなくて、プラス何かをして欲しいという気持ちがあるんですけど」

 

添えるって事ですかね?

 

「そう。お客さんのもとにいって完成して欲しいっていう」

 

手創り市に出るのは二回目ですよね?

 

「そうです。去年独立して、クラフトフェアに出ようと思ってネットで検索していたら、この護国神社の写真がドーンと載っていて。すごくいいなと思って。それが決め手でした」

 

去年独立されたという事ですが、今は創作活動一本で食べている?

 

「今まではフリーの職人で、請負で仕事をしていたんですけど、今は請負と自分のつくりたいものを形にしながらやっています」

 

物をつくる喜びや動機はどこから来ますか?

 

「物心ついた時から時からつくっていました。集中する感じとかが、単純に楽しくて」

 

つくっていて辛い時ってあります?

 

「ないですね」

 

スランプとか。

 

「あ! 前回出たときに看板を頼まれたんですね。全部お任せで。デザインの技術がないので何回も製作中に止まりました。どうしようって」

 

前向きなスランプですよね? それはすごくいいと思います。

 

「そうですね。そのくらいしかないですね」

 

ARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、calummaさんは先程も言っていたようにこれ一本で食べているんですよね?

 

「はい」

 

独立は大変でしたか?

 

「一応、生活しないといけないので(笑)」

 

その辺の話し、聞きたいですね。

 

「営業とか、交渉とかも苦手なので、ってこういう話ししていいんですか?(笑)」

 

いいんです。こういう話しこそ聞きたいんです。

 

「どうしても一個一個手づくりで、安くは出来ないんですけど、お客さんによっては「高い」っていう人もいて「すみません」っていう風になるんですけど、その辺のかけひきじゃないですけど、それが大変です」

 

まけるんですか?

 

「まけません。謝っちゃいけないって思って。心の中で謝ってます(笑い)」

 

そこは通すんですね?

 

「通します」

 

今のところは……

 

「すべて通してます。ここは通さないと。仕事であり趣味ではないので」

 

価格を決める基準はどこに置いてますか? 時間? 労力?

 

「時間ですね。だいたいかかる期間と労力は一緒なので」

 

仕事であり、趣味ではないので、と言い切るcalummaさんのスタンスが、それを生業にしている作家としての在り方の、重要なひとつに感じられた。

 

 

次に話しを聞いたのは、布小物の作家さん、coruliさん(コルリ)だ。


   

 

coruliさんの屋号の由来を教えてください。

 

「山奥にいる、観ると珍しいと言われている野鳥なんですね。自分の作品もどちらかというと、お洋服に付ける脇役的な存在でもあるんですけど、付いていると印象に残るっていうのがあって、そこがcoruliと共通点があって、そう名付けました」

 

その野鳥はどこの国の鳥なんですか?

 

「日本の渡り鳥、夏山にいます。遠目で気付かないけど、近くにいるといる、みたいな。その感覚が近いかなと思って」

 

作品のコンセプトを教えてください。

 

「プロダクトの部分と、民藝的な要素も自分の中にすごく取り入れたいという気持ちはあって、プロダクトデザインと民藝の真ん中にあるのがcoruliにしたいと思っているので。温かみもありつつ、繊細さをあるという部分を気を付けています」

 

物をつくる動機や喜びはどこから来ますか?

 

「例えば、「陽だまり」という名のブローチがあるんですけど、震災があった時に知っている人となかなか連絡が取れなかったりとか、普段当たり前につながる事が出来る人と、なかなか出会えなかったりとか、そういう事があったので……。私は鳥が好きなんですけど、鳥が花束をくわえて、大事に思っている人にそれを運んでくれたらなという思いがあって。それで鳥の真ん中に花の刺繍があるんですけど、それは花を運んでいる鳥って事なんですね」

 

すごい良い話ですね。

 

「はい(笑)なので、鳥のブローチにはそういうテーマがあります。coruliのホームページの言葉に「言葉では伝えられない想いがある」ってあるんですけど、基本私は言葉で伝えるというのがちょっと苦手な所があるので、言葉に出来ない想いを作品にして閉じ込めていくっていう。それが買ってくださった方にそっと寄り添うような感じで伝わればというのがありますね」

 

coruliさんは言葉ではなく、想いを伝える方法として刺繍などを持っている。それは素晴らしい事ですよね。

 

「昔は服をつくってたんですけど、服という大きなものより、ブローチの様な小さな物に想いを込めるという事が私にはぴったりだなと思ったんです」

 

ARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、coruliさんはこれ一本で食べているんですか?

 

「食べてないです。段々とその割合が移行していけばと思っています」

 

何年後とか、イメージはありますか?

 

「五年くらいですかね?」

 

何故五年?

 

「一つ一つの作業が手の込んだ物なので、時間が掛かるかなと」

 

 

ARTS&CRAFT静岡に要望があれば?

 

「この自然の中に、音楽が流れていればより素敵だと思います。あと、ARTS&CRAFTなので、紙モノの作家さんがもっといてもいいのかなかって。イラストとか、ZINEとか」

 

言葉にならない想いを、言葉とは違う手法・作品でそれを伝える。前述したが、そういった表現方法をものづくりにの核に置いているcoruliさん。そういった手法を持っているだけでも、それは幸せな事なのかもしれあいとつくづく感じた。

 

 

次にお話しを聞いたのは、琉球ガラスの作家、琥珀さんだ。


 

福岡からわざわざ来て頂いた理由は?

 

「ガラスって夏物ってイメージがあるので、その第一弾がこのARTS&CRAFT静岡だったんですよね」

 

今後は全国展開を考えている?

 

「はい」

 

どうして九州だけでなく全国展開を?

 

「同じ所での展示っていうのが大分繰り返されて来たっていうのがあって、ま、お客さんに対してのアピールにしても、マスコミや展示に頼ってしまうっていうのがって、どうしてもお客さんがかぶってしまうというか。まだまだ興味を抱いてくださるお客さんもいると思うんですけど……。で、地元の事もしっかりやりながら、新しい場所も開拓していきながら、琥珀のガラスを知って貰うという流れになりました」

 

数多くのクラフトフェアがある中から、どうしてARTS&CRAFT静岡を選ばれたのですか?

 

「過去のブログ記事、作品紹介などを見せて頂いて、自分の作風と合うのではないのかな? と思い今回は応募させて頂きました」

 

実際出てみていかがですか?

 

「木漏れ日が作品に当たる感じなども良く、お客さんの対応も良いので、満足しています」

 

琥珀さんの作品のコンセプトを。琉球ガラスですよね?

 

「自分のやってるものは再生ガラスといって、一度使われた瓶ですよね。コーラ瓶だったり、ビール瓶だったりとか、そういうものを溶かしてつくるっていうやり方なんですけど。これは自分が修業した琉球ガラスのやり方なんですね。琉球ガラス自体は、戦後、焼野原にアメリカ軍が入って来て、コーラを飲んでその瓶を捨てていった。で、材料がないので、その瓶を拾い集めて溶かしてつくり始めたというのが琉球ガラスの始まりなんですけど。その時は、材料がないから、要は仕方なくっていう。今のリサイクルって考えから始まったものではなく、何か物をつくるために、じゃこれを材料にしてつくろう、という知恵とまではいかないまでも、努力から生まれた物で、昔はゴミから物をつくったっていう差別的な扱いを受けたっていう歴史をがありながら琉球ガラスという地位が出来ていった。で、自分の師匠がそれを第一人者としてやってきた人だったんですよね。その考え方に惹かれたので。もちろんリサイクルとか環境にも興味はあるんですけど、そうではなく物から、ゴミから、工芸品に生まれ変わらせる、それは機械ではなく、人の手や知恵である、そこに魅力を感じています。素材は廃瓶というコンセプトは崩すことなく、バリエーションを増やしていけたらなと思っています」

 

ARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、琥珀さんはこれ一本で食べているんですか?

 

「物をつくりたいって人達は、つくりたいからって所から発進してると思うので、その時にこれで食べていけるか? とか儲かるか? とか考えてないんですよね。自分も修業にいって、好きだからって言って飛び込んで、自分で始めるとすぐに生活ってものがひっついて来るんですよね。なのでその時にそうしようって思って。でもつくっている時、お客さんに喜んで貰った時の充実感っていうのは、やはり何物にも代えがたい。そこで生活ってものがある程度苦しくなっても、じゃあ、お金だけを考えて別の儲かる仕事をしようって言ったらその選択肢は自分の中には絶対にないんですよね。例えどんなに生活が苦しくても、じゃあ、お客さんの要望に応えられるだけの物をつくればいいじゃない、自分の腕を磨けばいいじゃないか。そこにくっついて来るのは常にガラスの事なんですよね。そこで生活を変えていけばいい。自分や、自分の持っている技術が変われば生活はもっと豊かになるんじゃないかって思うんで」

 

いや!すごい良いですね!

 

「理想かもしれないんですけど(笑)手づくりの物っていうのは、用途だけを考えたら。もっと安く使える物。でも、その何倍もする自分の商品を買って頂けるのか? やっぱりそこに豊かさや幸せがないと買っても頂けないし、自分もつくれないと思うんですよね。なので、お客さんにどれだけ付加価値を付けて提供出来るか? だと思っています」

 

ARTS&CRAFT静岡に要望があれば?

 

「例えばガラスだったら、木漏れ日に当たると映えるというのがあるので、そういった事まで考慮したブースの配置をして頂けたら更に会場が良くなるはずですよね。木工だったら、日陰にすると作品の劣化防止にもなりますし」

 

つくる事を生業にする。その生活を豊かにする手段として、シンプルに技術向上を目指し、それが後々の生活の豊かにつながると信じる琥珀さんに、僕は共感を覚えた。と、言っても、僕自身はまだ言葉ひとつを生業にして生活が出来ている訳ではないけれど。琥珀さんのそのスタンスは僕の背中を押してくれる力を持ったものだった。

 

 

次にお話しを聞いたのは、今回の開催からスタッフに加わった関さんだ。

 

まず、搬入から一日は始まりますけど、恐怖の搬入はいかがでしたか?

 

「恐怖の搬入って感じでした(笑)」

 

どこの担当だったんですか?

 

「フードを阿井さんと担当したんですけど、出展数が他のエリアよりも少ないので回すのが他のエリアよりもわかりやすく回せたかなと」

 

休憩時間はありましたか?

 

「2回頂きました。1回目にぐるっと観て、目ぼしい物をチェックして。でも結構バタバタしてたかな。お昼、から揚げ1個とかで。友達に貰ったやつ、パクッと食べて」

 

それだけで終わり?

 

「路上駐車の見回りをしてて」

 

大変ですね!

 

「でもなんか楽しいですね。あの、メガホン? 拡声器? でやるの初めてだったので。なんか楽しかったです(笑)楽しいって言ったらいけないですけど」

 

テンションが上がってしまった?

 

「初めての体験なんで」

 

会場見てまわって、気付いた事を聞かせてください。

 

「お客さんとして3回来てるんですど、今回は賑わいがすごいですね」

 

お客さんとして来ていた時と、スタッフとしての意識って全然違いますよね?

 

「違います。あまり変わらないかなとは思ってたっちゃ、思ってましたけど。なんか色んな面が見れるなって」

 

どんな面ですか? ぶっちゃけた方がいいですよ(笑)

 

「ショックだったのは駐車場関連で。車の対応が終日ひっきりなしであったことですね」

 

実際シミュレーションから開催まで、どんな気持ちで迎えられましたか?

 

「開催まで。楽しみでしたね。スタッフ間でも色んな人からメール来たりするのを見て、いつも楽しかったです」

 

今後スタッフとしてやってみたい事、やっていきたい事とかあれば? 関さんWEBが出来るでしょう? やってみたいとは思わない?

 

「それはあるといえばあります。でも力不足なので、勉強しながら」

 

でも、やりたいという気持ちをどんどん発信していった方が。それはWEBでって思いますか?

 

「今、東京の秋田さんにやって貰ってるって聞いてますけど、静岡は静岡でって気持ちはありますけどね。でも、なんかWEBの仕事をしているんですけど、そんなにがっつりやってる訳でもないので、どこまで関われるかわからないですけど。気持ちはあります!」

 

あと、同じ新人スタッフの藤本さんに聞いたんですけど、大学在学中、大学のポスターか何かのロゴをデザインされたとか?

 

「静岡文化芸術大学っていう大学に通ってたんですけど、そこが10周年の時に、広報が使うロゴを担当しました」

 

どんなロゴマークなんですか?

 

「漢字の『十』をモチーフに、そこから未来へつながっていくような」

 

面白いですね。関さん、手創り市にデザインで関わるというのもありですね。グラフィックのセンスとか、WEBのセンスとかを活かせたらいいですね。面白そうじゃないですか?

 

「面白そうだとは思います……」

 

ちょっと気が重い?

 

「どうかな?(笑)今後そういう風になっていけたらと思います。でもアイディアはホイホイは出せないんですよね。思った事を口にするのは苦手な方なので」

 

ゆっくり溜めて、一言ポツリと出す、ような?

 

「どちらかというとそうかもですけど(笑)」

 

他のスタッフはどうですか?

 

「みなさん、色々な場面で声掛けてくれるので。あったかいです」

 

そうなんですよね。見ていて同感です。

 

ARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、関さんはWEBで食べてますよね? どうですか?

 

「毎日が楽しいです」

 

それは、デザインを通して成長したり、勉強したり出来るからかな?

 

「それもありますね。でも、結局デザインが好きなんでしょうね。大変な事もたまにありますけど、毎日が楽しいです」

 

それはいいですね!

 

「なんでこんなに毎日が楽しいか、深い理由はわからないですけど(笑)」

 

スタッフとしての関わり方。これは&SCENEのスタッフもやっている僕にも跳ね返ってくる言葉だった。自分のやりたい事、そしてやれる事をスタッフの仕事につなげられるのは、シンプルに楽しいし、スタッフとしての関わり方がより実のあるもの、充実感のあるものになるはず。

 

 

次にお話しを聞いたのは、同じく、今回の開催からスタッフに加わった藤本さんだ。

 

会場をまわってみて気付いた事があれば?

 

「作家さん達のクオリティが高いのが目に付きました。作家さん自身もこの市はクオリティが高いと言っていたので、それは間違いないのかな?と。それといろいろな興味をもたれているご来場者の方が多いですよね」

 

お客さんに垣根がない感じというか?

 

「そうですね。参加してるスタッフや、作家さんとかも、お隣の作家さんと話したりしているのがいいなと思いました」

 

そういう所にちゃんと目がいってるんだね。

 

「楽しそうだなって思って。同じジャンルのクラフトの人同士じゃなくても仲良くなれてる感じがいいなって」

 

逆に悪い点は?

 

「フードエリアの雑木林でタバコを吸ってる男性が二人いて、注意したんですけど、一人には逃げられました。そういう所も、駐車禁止を取り締まる係りの人が見回れたらなと」

 

藤本さんもつくってる人なんですよね?

 

「はい。今は主に木工にはまってます。あとは布物。クラフトフェアや、学際でイベントにも出たりしています」

 

作家さんとしての視点でもいいし、スタッフの視点も交えつつでもいいのだけど、他のクラフトフェアと比べて、ARTS&CRAFT静岡はどうですか?

 

「ブースをディスプレイする技術が手創り市はけた違いに高い。それはデザインフェスタとかと違って、ブースの幅が大きいのと、まるで一軒のお店の様になっているところですかね」

 

藤本さんの物をつくる喜びや動機は?

 

「イベントがきっかけですね。自分でもやってみたい、私にもやれるんじゃないかなと思って。つくれたら楽しいなって。絵も描けるので、自分らしい物が出来るんじゃないかなって」

 

この間のくらしのこと市の打ち合わせでは、終始絵を描いて、みんなに説明してましたよね? あれは良かったなと思います。

 

「そうですね。どうしてもしゃべってるだけだと、全体像にズレが生じちゃう気がして。いつも描いて「こういう事ですか?」っていうのが癖だったんです。一回図にしてから、物事を考えてるなって、最近、言われて気付きましたね」

 

それが藤本さんの整理法。

 

「そうですね、視覚的に」

 

今後どのようにスタッフとして関わっていきたいですか?

 

「ARTS&CRAFT静岡以外にも、くらしのこと市の様なイベントがありますよね? 更に視点の違うイベントとかあってもいいのかな? って。そうしたらそれに参加していきたいですね」

 

何か言いたい事があれば。

 

「手創り市などのイベントがあるって知らなかった時は、静岡が物づくりの街だって印象が全くなくて。でも歴史をたどれば、静岡は徳川家康の御膝元で、物づくり、工芸がすごく盛んだった。そういう事を大人になって知りました」

 

僕も知りませんでした。ありがとうございます。

 

 

次にお話しを聞いたのは、今回「まちきれない!おやつセット」の企画にも参加してくださっているユーカリカシテンさんだ。


 

「初めて出たクラフトフェアがARTS&CRAFT静岡だったんですけど、もうすごく楽しくて!帰りの車で夫と大興奮で。初めてでわからない事だらけだったんですけど、周りの出展者さん達がすごく優しかったんですよね。初めての人達を温かく受け入れてくれるという雰囲気があって。初めて出た時はサレペペさんの隣で、色々教えてくれて、お子さんもいたので、うちの子と遊んでくれて、すごくあったかかったです」

 

お客さんはどうですか?

 

「富士とか、富士よりも西の方とか、私のお店は行きたかったのだけど遠くて行けないからというお客さんが思ったよりもいらして、それにもビックリして。全然知らない人達の中に行くのかなと思っていたのですが、お店を知っているお客さんもいたりして、温かくて、それで大好きになりました」

 

スタッフの対応はどうですか?

 

「回数を経て思う事ですけど、しっかりしてますよね。上に立つ人が「こうしたい」という思いがしっかりしているから、周りのスタッフさんもしっかりしてるかなって。それは感じます」

 

ARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、ユーカリカシテンさんはこれ一本で食べてらっしゃるんですよね?

 

「そうです」

 

その事について何か語って頂けたら。

 

「難しいですね」

 

つくる事と生活が一緒になっているじゃないですか?

 

「なってますね」

 

そこでの苦労とか楽しみってあると思うんですよ。それを聞かせて頂けませんか?

 

「私の場合は、結婚と同時にユーカリカシテンを始めたんですけど、その時は、早朝から夜遅くまで、ひたすら仕事をしていた感じなんですね。でも子供が出来ると、保育園に行ってても、6時には帰ってきますので、その時間には仕事をピタッと終わりにしなければいけないって事があって。でもそれがストレスではなくて……上手く言えないんですけど。うーん」

 

待ちますよ。インタビュアーの仕事は待つ事ですから。

 

「あー、そうなんですか! 子供がいる事によって色んな事がプラスになっていて。子供がいるとあれも出来ない、これも出来ないって想像していたけれど、実際はそんな事はなくて、切り換えをしなければいけないから、切り換えが良い方に作用する。6時になったらお母さんの顔になる。それによって、仕事と自分がちゃんとバランスが取れるようになった。一日一日がリセットされながら進んでいく。寝る前に子供と絵本を読んでいるんですけど、そのままいつも寝ちゃうんですね。それが儀式みたいになっていて、毎日がリセットされる。労働時間が減る事によって仕事の内容が減ったかというと、そんな事もなくて、お菓子をつくるという、一番大事な事はちゃんと出来ていますので、大丈夫です」

 

ありがとうございます。では次に、「まちきれない!おやつセット」について聞かせてください。すごい行列が出来ていましたよね?

 

「はじめは普段お店でも出していないタルトとかつくろうと思っていたんですけど、お店に来ないと、うちのスコーンが食べれないという事で、スコーンを食べたいって声が多くって。ここに来てもスコーンが食べたいって事はよく言われていたので、せっかくの機会だから、スコーンと船の形のクッキー、チャッピーって呼んでるんですけど、それにしました。今回、おやつセットのアイコンに船が描かれていて、私たちは「これチャッピーだ」って言ってたので(笑)」

 

「まちきれない!おやつセット」の企画を持ち込まれた時、どんな印象を受けました?

 

「面白そうと、厳しいな、の両方ですね。企画自体は面白そうと思ったけど、新たな商品を用意するという面では厳しいなと思いました。普段のこのイベントでも、一人でつくるって事には限度があって、ホントにいっぱいいっぱいでつくってるんですけど、それプラスアルファーかっていうのがあって。どこまで出来るかな? 何が出来るかなって思ったんですけど。手創り市が大好きなので、スタッフの中からあがってきたこの企画に協力したかったというのはあります」

 

どうもありがとうざいます。では質問を変えまして、手創り市に感じる問題点。何かあればお聞かせください。

 

「ここはお客さん用の駐車場がないけど、障害者用の駐車スペースを、数台でいいからつくって頂けたらといつも思っています。妊婦さんも、となると台数が多くなってしまうから、障害者手帳を持っている人に限定するなりして。歩行が困難な方とかが来れるようになれたらいいなって思って。現状だと、障害のある方が来るのは難しいですよね」

 

では最後に、ユーカリさんはどうして手創り市に出続けるのですか?

 

「手創り市にいていつも思うのは、うちは子供が小っちゃい時からここに連れていてるんですけど、ここってプロの方も、それを目指してる方も両方出てると思うんですけど、基本はみんな、好きを仕事にしてる事だと思っていて。その好きを仕事にするって事が当たり前だって事を子供に感じて欲しい。だからいつも連れて来てて。彼はここで遊んでるだけなんだけど、いつか、思春期や大人になって思い返した時に、あそこって好きな事やってる大人がたくさいたよな。あんなに好きな事やってる大人がたくさんって思ってくれたらいいなと思っていて。普通だと、大学出て、どこの会社に就職してとかありますけど、私は好きを仕事にする方が幸せだと思うし、それは夢物語の様に語られてるけど、実はそれをやってる人達はこんなにいて、何かしらの形で生活を成り立たせているから今こうやって暮らしていると思うので、それが出来る。それが当たり前で選択肢のひとつだよって事を肌で感じて欲しい。親が色々言っても反発すると思うから、年頃になったら。でもこれからきっと、こういう場所にいたということが肌に感じて記憶に残るかなって。それがすごく大きな理由ですね」

 

好きを仕事にしている人達の集まる場所。そしてそれを自分の子供に肌で感じて貰いたいというユーカリカシテンさんの親心に、正直、僕は感動した。自らの行動によってそれを示し、言葉で押し付けるのではなく、肌で、記憶で感じて欲しいというその想いに。

 

 

次にお話しを聞いたのは、初めてARTS&CRAFT静岡に足を運んで下さった女性のお客さんだ。

 

「いつも開催が終わってから情報を知ったので、今回は事前に情報を得られたのでやっと来れました。昨日は子供と一緒に来たのですよ。子供が一緒にいても参加できるワークショップとかあったので良かったですし、子供が遊べる自然もあったので、満足ですし、作家さんから作品のつくり方とかが聞けたのでそれが良かったです」

 

作品の背景にある物語ですよね?

 

「そうそうそうそう。物語を聞くと親近感も増すし、愛着も湧く。そういう話しを聞くのが私は大好きなので、出来るだけそういった話しが聞ける様、作家さんに話し掛ける様にしています」

 

 

次にお話しを聞いたお客さんは、二人組の女性だ。

 

「今日で二回目です。来るようになったきっかけは、行き着けの美容師さんに「面白いよ!面白いよ!」と勧められて。ここでこのイベントがやっている気配は感じていたのですけど、なかなかタイミングが合わなかったり、日を間違えたりで。何をする訳でもなく、ここに来る事が良いですよね。楽しいです」

 

手づくりの品物はもともとお好きなんですか?

 

「好きです。ここに来ても何周も回ったりします(笑)」

 

好きな理由は?

 

「温かいからです。心を込めてるのがひとつひとつわかるから。それは大事な事だから」

 

それはどのブースからも感じますか?

 

「感じますね。作家さんみんな、自信を持って作品を持ち寄ってると思うから。作品に関してそれぞれの好き嫌いがあるとは思うのですけど、愛情が籠っているのがわかります」

 

手創り市に要望があれば?

 

「音楽はなくていいですね。この木のさやぐ音がいいと思うから。このゆったり感が静岡の人にはあってると思います」

 

「このたらーっとした感じがいいのかもしれない。とても国道一号線のそばにあるとは思えない静けさですよね。はまっちゃうよね」

 

「空間的にはベストだと思います」

 

「絶対また来たいって思ってしまう」

 

「楽しみになりますよね。この空間に来れるって事が」

 

「私達、姉妹なんですけど、なかなか姉とこうやって出掛ける事も出来ないんですけど、これがすごくいい機会なんです。半年に一回の」

 

半年に一度姉妹でここを訪れるのが楽しみ、というお客さん。その言葉に僕は嬉しかった。

 

 

次にお話しを聞いたのは、スタッフの橋本さんだ。一日目は用事があって、搬入のみ参加した橋本さんに、まず僕は、今日二日目の会場の様子を聞いた。

 

「お客さんが多いなって。昨日、搬入を終えて、すぐ9時にハナザラさんの所でピアスを買ったんです。今つけてるんですけど。さっき、見回りでハナザラさんに会ったら、昨日もすごい混みようで、自分のエリアさえ回れなかったって。私が買ったピアスもすでに売り切れで。何が起きたかわからない感じくらいの事言ってくれて」

 

それは嬉しい悲鳴ですね。

 

「そう、自分の好きな作家さんが「今までにないくらい」って感じてくれた事とか、成果になっているというか。私がいいなと思う物を一緒にいいなって思ってくれる人が増えた事も嬉しいな」

 

他に、好きな作家さんや面白い見せ方をしているブースなど、気になる作家さんはいましたか?

 

「二回休憩があったんですけど、一回目は「くらしのこと市」の打ち合わせで。で、二回目の時に、今までにない位ちゃんと観て回ろうと思って。自分の中に偏りがあるから、好きな物ばかり見る傾向があったけど、「くらしのこと市」に関わり出してから、わからない物もわからないなりに何か感じられる様にならなくちゃいけないなと思って。じっくりブースを観ました。そしたらエリア1と3しか回れなくて。一時間で。時間が足りない。メインの参道の半分も観れてないし。今まで何やってたんだろうって思えた。今まで出てくれてた作家さんとかもいるじゃないですか? それを流すんじゃなくてちゃんと観ていれば良かったなって」

 

その作家さんの変化とかも共に追えるものね。

 

「名倉さんが、この作家さんのこれはいい! って言ってる、その「いい!」がまだわからないけど、自分が触りたいとか手にしたいという気持ちを大事にしていると前に言った気がするんですけど、そういう幅は広がったかな」

 

それは大きいですね。そのきっかけは……

 

「くらしのこと市に関わる様になってからかな。私はARTS&CRAFT静岡の中では『当日の裏番長』みたいな立ち位置にいると思うんですけど、それだけじゃもったいないなと思って。で、今度のくらしのこと市が、強制参加という訳ではなく、やりたい人を募るみたいな感じだったので。私は器の事とかわからないんですけど、出来ますか? って名倉さんに言ったんですよ。「別に器の作家さんだけじゃないからね」って歓迎して入れてくれて。今は、当日の会場だけでじゃなくて、手創り市やってるんだから、作品その物とか作家さんの事とかをもっと理解する努力はしないといけないよねって、思ってます。だから今回、ちゃんと考えながら、作家さんの作品を手に取ってみて。と言っても未熟者なのでまだまだわからないんですけど。いつも素敵だなと感じる物以外にもそれを感じる事が出来て。なーんてね」

 

それは橋本さんが広がったって事だよね? この間、シミュレーションの後に残ったスタッフで企画会議が持ち上がって、「静岡が動き出した」というような意見も聞きましたが、それについて感じている事を?

 

「今まで中心になっていた人ってだいたい決まっていて、今回そこに、新しい人や、今までに何もして来なかった私が加わる事によって、いつもと違う視点がそこに追加されればいのかなって思っています。そういう風に自分もなれればいいと思うから、不得意だからと言ってそれで投げ出しちゃいかんなと思っている所存であります」

 

それは手創り市という母体に、新しい幅をもたらしたいという事でもあるのかな?

 

「そうですね。うーん、今の手創り市も好きだし、この間のくらしのこと市も好きだけど、方向性が同じだと、続ける事が大事だけど、同じ事をやっていてマンネリ化して飽きられるっていうのもあるじゃないですか? 髪の毛一本くらいの影響力しかないかもしれないけど、何かみんな変えなきゃ、良くしなきゃって思っているのに、私が何もしなくても変わるかもしれないけど、私がポンと押して、何かが変わる、そんな人になれたらいいな、なりたいなと思います」

 

では、最後に手創り市の現段階で気付いている問題点などあれば?

 

「フードエリアが、この時間になると少し人通りが寂しい。その起爆剤として、「まちきれない!おやつセット」とかあるけど、本当に待ちきれなくて、みんなすぐに売り切れちゃうとか。でもそういうおやつセットみたいなアイディア、お客さんみんなが最後まで残ってくれるようなアイディアを出せたらいいし、それを形に出来るくらいの質のアイディアが出し合えればと思っています」

 

 

次にお話しを聞いたのは、今回「おやつブレンド」の企画で参加してくださっている珈琲店、IFNi COFFEE STOREさんだ。

 


「珈琲は鮮度が大切なので、地元の人に飲んで貰える様にお店をやってるんですけど、このARTS&CRAFT静岡には、地元の方だけでなく、地方からも色々な人が集まるし、そういったたくさんの方に珈琲を提供出来る場としていいなという想いで、出させて頂いてます」

 

IFNiさんなりの珈琲に対する考え方とARTS&CRAFT静岡がリンクしていた。

 

「そうですね。名倉さん達と何度も合って話したりとか、くらしのこと市にも出させて頂いて、色々と構成していく内に、同じ方向を向いているなと思ったんですよね。結局人の為になるようにっていう目標が一緒だから、そこでうちが出来る事って、良い物を提供しようという姿勢でやらせて頂いてます」

 

出展してみての感想は?

 

「年配の方から若い方まで、いつも会えない様な方に知って貰えるし、ぶっちゃけ、お店の名前ってよりは珈琲に対する興味とか、ホントは珈琲ってこういう物だよねって、伝えやすい。スタイルも大事なんですけど、珈琲が普通でありたいというか、すごい主役になれる物ってよりはこうやってお話してて、話しの邪魔にならない、気にならない味っていうんですかね。それが一番僕は珈琲としては立ち位置がいいなと思って、焙煎をやっている感じですかね」

 

その、気にならない味っていうのに行き着いたのはいつ頃なんですか?

 

「僕、18年位焙煎やってるんですけど」

 

長いですね!

 

「30前位、今年40歳なんですけど、30前で色んなお師匠さんに教わって来て、珈琲が主役でいくっていうよりは、生活に普通に入っていく。しかも入っていくならなるべくいい珈琲、新鮮でいい豆が普通であればいいよなって思って、生活に密着しているような、それが普通の味なんですよね」

 

なるほど。珈琲のお店を構えるっていうと、珈琲を主役に持って来るだろうなってあったんですけど、そうでない所に驚きを覚えたというか。

 

「ホントですか? 結局珈琲として、時間をその人が使っていくじゃないですか? なるべく珈琲屋さんに来てても、どこに行ってても、気持ちが穏やかになるとか、そういう時間の中に珈琲があればいいなってイメージで。人の生きてく中の、休みとかそういった時間の何時間かをそこで過ごして貰う訳だから、時間を提供しているというか、同じ何時間だったら内容が良い方が良いじゃないですか? だもんで、うちは珈琲しか出来ないので、だったら珈琲攻めてみようって。なるべく自分らとしてはいいものを出すけれども、お客さんにとっては普通であればいいなと思ってます」

 

すごい良い話聞けました。ありがとうございます。次の質問です。ARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、IFNiさんは珈琲一本で食べていらっしゃいますよね?

 

「そうですね」

 

それはいつ頃から始まって、どういう経緯でそうなり、どんな覚悟を持っているのか、などその辺のお話しを聞かせてください。

 

「僕は大学が、海外、エジプトなんですけど」

 

何を専攻されてたんですか?

 

「建築学科に行ってて、4年やって、その後、スイスとかに行ったりして、勉強したかったのは、建築やデザインだったんですけど、途中で珈琲に目覚めてしまって。それで普通に学校行ったり、日本に帰っても仕事しなら、焙煎所に朝通って、修業して、職人さんによってやり方があるので、色んなやり方を知りたくて、色んな方について、今がある。お店自体は11年位経ってるんですけど、珈琲一本でやるのって難しくて、初めは食べる物もちゃんと出さないとダメなのかな? とか、色々あったんですけど、結局自分が自信を持って出せる物って珈琲しかなかったりするから、周りと同じこと、飲食店という形でやっても仕方ないので、やっぱりサービス業ってよりは生産加工業、珈琲をちゃんとつくれる技術しかないから、それを主でやっていこうって思いましたよね。それがもう10年位前で、独立した後も悩んだ時はあったんですけど、自分がしたい事って言ったら専門的な事になっちゃうので、それで今に至ってますね」

 

先程から、IFNiさんの話しで、「珈琲しか出来ない」って言っているじゃないですか?それがすごくいいなって思って。「それしか出来ない」って事を見つける事によって、それに深く入り、出来る事が増えていくというか。その言い回しがすごく良いですね。

 

「ありがとうございます。それは前から思ってた事なんで」

 

ARTS&CRAFT静岡に要望は?

 

「お客さんにとっては電源があると助かるのかなぁーとか思ったりもします。あと、みんなが気軽に参加出来る形のクロージングパーティーとかあったらいいですね。その時にスタッフさんが色々な方に話しを聞いて、要望とかを引き出すのはいいかなーと」

 

最後に「まちきれない!おやつブレンド」について聞かせてください。

 

「おやつブレンドは、まず、おやつに合う珈琲っていうのがすぐに出てくると思うんですけど。珈琲っていうのは、果肉、珈琲チェリーから出来ているから、やっぱり果実味ってあるんですよね。で、チョコレートと珈琲だと、珈琲に酸味があるとチョコレートそのものの味がちゃんと味わえなかったりするから、酸味がなるべく少ないものってのを焙煎して、ある程度丸みが取れた味、重い味とか苦い味じゃなくてコクがすごいあるけどざっぱりしてる。そらがおやつ食べながら珈琲が脇役になるスタンスかなーって思って。今回はやってます」

 

売れ行きはどうですか?

 

「お陰様で。喜んで頂いてますんで。やってる側が楽しいんで」

 

3時から始まるじゃないですか? それによってお客さんの流れとか変わっているってありますか?

 

「すごく変わってはいないけど、「なんだろうな?」みたいな反応はありますよね。それはやってなかったらなかったと思うので、定着すればいいなとは思います」

 

ありがとうございました。

 

これしか出来ないという事を絞る事による、深みと広がり。そのスタンスと言葉を自然と持つIFNiさんにお話しが聞けた事は、とても良い刺激になった。

 

 

次にお話しを聞いたお客さんは、女性二人組だ。

 

「一回目から来ています」

 

初回来た時はどう感じました?

 

「静岡の中でやってるクラフトフェアでは一番クオリティが高いと思いました」

 

どの辺がそう感じました?

 

「出ている作家さんが違う。本気なのか? 趣味の延長上でやっているのか? その線引きが」

 

「一回目から全体通して、観やすいというのがありますね。導線もいいし。緑もいい。作家さんのクオリティも上がっている気がします」

 

これからの手創り市に望む事は?

 

「今のクオリティをキープして欲しいのと、今回はいつもよりも人手が多い気がするので、混み合うのはいい事だけど、見にくくなったり、貴重なものをぶつかって壊しちゃったりしたら切ないので、何か導線に一工夫出来たらと思いますけど。でも今のままでも満足してはいます」

 

 

次にお話しを聞いたのは、スタッフの鈴木くんが中心になってつくった小屋で、写真スタジオを構え、ポートレイトを撮影する、OHNO CAMERA WORKS・大野さんだ。


 

お疲れ様でした。どうでした? 会場で2日間写真を撮られて?

 

「僕自身が楽しかったです。僕は写真を撮る事を生業にしているんですけど、その自分のやるべき事というか、やらなくちゃいけない事がすごく浮き彫りになって来たという気がして、そういう意味でもすごく良かったなと思います」

 

それは何なんですか?

 

「僕の仕事って考える所があるんですよね。かっこいい写真を撮ろうとか、素敵な写真を撮ろうとか、目先の事に囚われてたんですけど、原点ってきっとこういう写真なんだなって。こういう写真を撮る事が僕の仕事なんだなって。もう一度再認識しました」

 

こういう写真というのは、「未来のあなたへ」というコンセプトの?

 

「そうですね、なんだろう? かっこいい写真ではないですよね? こういう写真って。ちゃんとカメラの前に立って頂いて写真を撮るんだけど、そこは、別に笑顔じゃなくてもいいし、ズバ抜けてかっこいい事して頂かなくてもいいし。自分がカメラの前に向かうという事に対して、どう思って頂くかがすごく重要なんだなって思いました。だから僕ではなく、撮らせて頂く方がどういう風に思って頂くかっていうのが重要なんだなって感じました」

 

写真を撮る前に「未来のあなたへ」のコンセプトは説明されるんですか?

 

「そうですね。基本的にはお話をします。それで、その想いを持ってカメラに向かって頂くってやっています」

 

皆さん、どういう反応をなさりますか?

 

「感じてくれる方がほとんどで、いいですねって言ってくれる方がたくさんいます。そのお話しをする事で、表情が緩むというか、自然な笑顔になるので、僕自身が撮りやすいです」

 

初日は27人でしたよね? 二日目は何人位撮りましたか?

 

「初日と同じ位です」

 

写真を撮られる方はどんな方が多いですか?

 

「色々な方がいらっしゃいますが、家族で撮られる方が多いですね」

 

ものをつなぐ、というコンセプトもありましたが。

 

「それは最後の一組だけでしたね。あとは、人」

 

人をつなぐ。

 

「そういう感じですかね」

 

困った事はありませんでしたか?

 

「ないです。受付で順番が前後しちゃう事があっただけで、それは僕の方で改善出来ますし。本当に楽しくお仕事させて頂きました」

 

ありがとうございました。

 

 

最後にお話しを聞いたのは、このルポの前編で一番最初にインタビューをした作家さん、Co.&Kokoroneさんだ。

 

今回の開催で印象に残ったエピソードを?

 

「去年の秋、納品したお客さんが靴を履いてて、足が当たるからって来てくれて、足の状態を見て、後日また納品するんですけど、静岡はそういうやりとりが出来る場所。靴を買ってくれたお客さんが靴を履いて来てくれるから、売って終わりじゃなくて。お客さんがこのクラフトフェア好きなのって、そうやってお話しが出来る事だと思うので」

 

「納品してからが始まり」

 

良い事言いますね!

 

「オーダーでつくるので、その人の足に靴が合うまでお付き合いさせて頂くので、履いているとその人の歩く癖が靴に反映されて、そういった時に調整が必要な場所があったりとか、お客さんと一緒に靴を完成させていくという感じです」

 

そしてその完成は続いていくという感じですよね?

 

「そうですね」

 

手創り市に何か要望があれば?

 

「フードエリアとクラフトエリアが分かれていて、フードエリアの食べ物にもよるんでしょうけど、フードエリアがクラフトエリアのポイントポイントにあってもいいのかなって。もちろん、フードのジャンルにもよると思うんですけど。今回フードエリアで順番待ちの札を配ってるお店があって、そうしたら、フードエリアに並んでる合間にクラフトエリアも観れるので」

 

最後に二日間終えての感想を。

 

「最後まで天気が良くってよかったです。みなさんそう思ってると思います。あ、最後にうえおかさん、二日間を通してどうでしたか?」

 

(ここでインタビュアーはKokoroneさんに、答える人はうえおか氏)

 

うえおか(以下、う):あー!やられた!(笑)そうですね、ルポの仕事は本当に楽しいんですよね。静岡のルポが好きで。というのは、ブースが大きくて見応えがあるし、一人一人のブースのつくり込み方が違うのが面白いってのもあって、そういう見方が出来るのと。あと、人がいくら混んでも道幅があるから自分のペースでゆっくり観て回れる。作家さんのクオリティが高いのもいいですね。あとARTS&CRAFT静岡のコンセプトが、つくる事を生業にしている人と、それを目指す人とあるのですけど、その質問を作家さんに投げて、返って来る答えにその人なりのリアルを感じられるのも好きです。でも、二日間めちゃめちゃ疲れます(笑)時間がいくらあっても足りませんね。

 

Kokorone(以下、Ko):「出展者さんの質が高いとおっしゃってましたが、どこら辺の基準で質が高いって観てるんですか?」

 

う:僕はですねー、安定した美しさというか。僕の勝手な基準ですけど、作品の安定した美しさがベースとして高いというところを先ず観てますね。あとオリジナリティが半端なところで止まってない。あとはブースのつくり方、見せ方にも作用されますよね。見せ方によって、作品も変わって見えますし。そういうところですかね?

 

Ko「安定しているっていうと、同じ物を同じ精度でつくれるっていうのも一つの安定だと思うんですけど、人によっては一点物しかつくれない人もいるじゃないですか? そういう所で言うと、安定という言葉を使わないで表現しようとすると、何になるんですか?」

 

う:その人の高い基準でのベーシック的な技術が貫かれている、というところですかね? その中で一点一点があるって事じゃないですか? 

 

Ko:「そういう意味での安定かぁ」

 

う:わかります?

 

Ko:「伝わりました。手創り市に出ていると、よくクオリティが高い、安定しているって言葉は聞くのですけど、そのクオリティや安定って言葉が、発した人と受け手ではずれてる感じがして、そこら辺の擦り合わせとかをスタッフの人達はしながら選考しているのだろうとは思うのですけど、簡単に「このイベントに出ている作家さんのクオリティが高い」って言っている人には、あなたのクオリティの基準って何ですかって聞きたい気がする。最終的には人の好みでしょ? って意見もあると思うし、でもある一定の基準もあると思うし、でも確かに好みは好みってあると思うし、そこら辺の擦り合わせというか、どういう風に考えて話しを出来たら面白いなと思っていて」

 

(さらに転換して、元の鞘に戻ることに)

 

う:お客さんに振ってみても、なかなか難しいですよね?

 

Ko:「出展者同士でも難しいです。当たり前に使ってる言葉でも、相手は違う意味合いで使ってたり、少しニュアンスが違うとか、そういうのがあるので」

 

それを対話の中で擦り合わせる。

 

「それが出来ると、自分の中でレベルが高いってどういう事なんだろうってまた考えられるし、また、ものづくりにそれが反映するので」

 

では、それが何なんでしょう?

 

「お!来た!自分の場合は、オーダーで靴をつくるので、まず絶対的な数値は決まっていて、それは狂っちゃいけないというか、という一定のレベルがあって、そこを安定して数値通り再現していくというのがまず第一の条件としてあって。プラス、どんなにお客さんの足の数値に合わせて靴をつくっても、実際歩き始めると、数値はぴったり合ってるんだけど、その人の歩き方で、きつ過ぎるとか、ゆる過ぎるとかあって、そこはお客さんの足とか歩き方を見ながら、また調整していかなかなければいけないというか。数値だけじゃないところがあって。だた元の数値がブレていると調整のしようがないんですけど。まずベーシックに数値を合わせていく事と、あとはお客さんの足に合わせる事、それは経験とか、勘とか、手で触った感じとか大事になって来るんですけど。今は、お客さんに大分靴を渡せる様になったので、お客さんの感想とか、歩き方を見ながら、経験とか、勘とかを磨いていくのが今の自分の課題かなって思いますね」

 

良い締めだと思います。ありがとうございました。

 

これで2013年春季ARTS&CRAFT静岡ルポ・後編(4月14日)を終わります。

つくる事を生業に。またはそれを目指し。

今回の静岡のルポで出会った様々な作家さんの言葉の中には、目標やヒントとなるものがたくさんありました。このルポを読んで、自分も好きな事を仕事にと、思ってくださる方がいたら、それは今回ルポを行った僕にとっても嬉しい事であります。

そして、好きな事を生業にした暁には、ぜひARTS&CRAFT静岡の門を叩いてください。

今回も長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

次回開催は、2013年10月12日(土)・13日(日)。

また一人でも多くの方が、この会場に足を運んでくださるよう、手創り市や、それをつくりあげるスタッフは、工夫を凝らし、そしてその工夫の地となる大元も、変わり続けていくことだと思います。

ARTS&CRAFT静岡の今後の発展をどうぞお見逃しなく!

 

うえおかゆうじ



これにて2013春季A&C静岡開催ルポは終了です。

前編・後編と長々とお読み頂き誠に有り難う御座いました。


最後のライターうえおかさんとKokoroneさんのやり取りについては、一見すると馴れ合いに見えないか?という疑問が起こり、スタッフ内でも相談しあった上で掲載する事を決めました。

何故掲載する事を決めたかと言うと、ふだん聞く側であるうえおかさんの立場が逆転し、インタビューされる側のKokoroneさんがインタビューをしたからこそ見えてきたことがあったから。


聞く側であることは同時に作品を見る側である事を兼ねています。それはそのまま私たちスタッフも同様の立場にあるということ。そして、聞かれる側にまわったうえおかさんは、そのまま私たちスタッフに置き換える事が出来ます。


彼が作品のクオリティについて曖昧な言葉しか持たなかったように、私たちスタッフも、作品のクオリティを言葉で語るに、どこまで具体的にものを言えるだろうか?そこに置きた疑問はそのまま自分たちへの問題提議となり、そうしたことこそ今後私たちがARTS&CRAFT静岡を続ける上で考え続けてゆかねばならないことで、形作ってゆくことであります。


スタッフの役目は物を語る為の具体的な言葉を持つ事ではないかもしれません。しかし、つくり手を選考する立場として、時としてスタッフ各々の言葉が求められる事もあるはずです。求められた時、ものをつくらぬ私たちスタッフが、目の前の対象に言葉を尽くして伝えることができるかどうか?それがスタッフとして自覚しなければならない態度です。


眼前の人、その存在は時に自分をも映し出す鏡。

うえおかさんとKokoroneさんのやり取りは、私たちスタッフにとって鏡であることを思えば、より意識的に継続してゆく為の自戒として掲載しました。


ARTS&CRAFT静岡は静岡の地で始まり丸3年が過ぎました。

これからにご期待下さい。



*次回の開催は2013年秋、10月12日・13日となります。

 お申し込みは7月1日よりスタート!!


*ご意見・ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ*





過去と未来をつなぐ今はギフト

静岡市にありますショップ、Fincaさん
好きなブランドのYAECAや、楽しくてかっこいいオブジェクトがいっぱい。

GWの2日夜から4日の朝まで静岡に滞在し、今は東京へ戻ってきた。
5月6日は雑司ヶ谷・手創り市の開催日、明日はその準備で一日を費やす。

忘れる前に書いておきたいこと。

東京より静岡へ到着した夜のこと。

4月の開催で小屋をつくってくれたスタッフ鈴木くんと会うことに。
彼をねぎらう場として選んだのは鷹匠にあるピザ屋さん。好きな場所。
前回開催のことを少しだけふり返りながら、小屋の制作のことに話がゆく。
彼はスタッフの中でも特にモノを「つくること」への意識が高く、どちらかというと運営スタッフというよりも制作スタッフという位置づけになっているこの頃。まあ、そんなことはどうでもよくて(どうでもよくないが…)、彼と話をしていて改めて気づいたことがある。
スタッフそれぞれのスタンスに違いがあるように、スタッフそれぞれに活きる場所があるということを。
これには色々な側面があるけれども、例えばこんなことがある。
みんなの中で光り活きる人間。
個になった時に光り活きる人間。
人にはもって生まれた?幼い頃から培ってきた?性格というものがあり、余程人に迷惑をかけない限り、それぞれ違う性格をもつ人間として、一見マイナスのように思われることも直して欲しいとは思わない。全てに云える事ではないかもしれないけれど、マイナスに見えることも、角度や視点を変えればプラスに変換される事が往々にしてあるから。むしろ、一見マイナスに見えるだけのものを修正し、消してしまえば、表裏一体となっているプラス面も消しかねない。なんというか、ものごとはうまいことやってほしいけれど(かなりざっくりな表現)、その人の個が消えてしまう位ならうまいことやんなくてもいいや、と同時に思う。
手創り市の代表という立場として、立場でモノを云う反面、この感情を消すことは出来ないのもまた自分の真実。
(もちろんそれは、個が対象に対して、想いやアイデアを込めている場合に限り思えることであるけれど)
大抵こうした考えは、他者をそう扱うように自分もそう扱って欲しいということなんだろな。



あの頃、この場所にひとりで行くことを想像出来なかった。
今でもこの場所に来ると思い出すさまざまなこと。
エバーグリーンというよりセンチメンタル。
あれから月日が経ち、まさか今のような形で静岡を行ったり来たりするなんて…

『過去と未来をつなぐ今はギフト』

どこかの誰かがそんなことを言っていた気がする。


※2013年秋季開催のお申し込みは7月1日よりスタート!!








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