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野菜食堂さんにいってきました



先日、GWお休みにキャトルエピス富士店内にあります「野菜食堂」さんに行ってきました。

ここまで辿り着くまでの経緯については【ここら】clicks!!をご覧頂くとして、
お店についてを早速ご紹介を致します。




野菜食堂さんは、キャトルエピス富士店の店内にショップ・イン・ショップという形でオープンされたデリを中心としたお店です。
販売されているデリメニューをお持ち帰りすることはもちろん、ランチタイムなどキャトルエピス富士店のカフェスペースでお食事することも出来ます。




この日、わたしたちは4名でお邪魔し、それぞれスープセットを注文しました。スープセットは、お惣菜3種類とごはんに漬け物、それから具沢山のスープがセットとなるメニューでして、ご飯のかわりにパンをお選びいただくことも出来ます。お惣菜の美味しさはもちろんのこと、
根菜類を中心としたお野菜がごろごろしていて、満腹感をさそいます。

それから、野菜食堂の器やカトラリーは作家さんの作品を使っていて、料理だけではなく、
器やカトラリーも一緒に楽しむことができます。
食卓をひとつの景色として感じてもらえると、食事が一層楽しくなるかもしれませんね。


 


お食事後はやっぱり、キャトルエピスさんのスイーツを堪能されている方が多かったように思います。休日のささやかな贅沢として、ランチからのスイーツは最高の流れですね。

ごちそうさまでした。


※野菜食堂さんの器やカトラリーのコーディネートは、
 A&C静岡と夕顔さんとで担当させて頂きました。


※2014年秋季A&C静岡のお申し込みは7月1日よりスタート。
 開催日は10月11日12日となっております。

名倉哲




2014春季A&C静岡最終ルポ:ハルコヤ女子会

2013年11月。

その日の日付けが変わる頃、そのメールは突然送られてきた。

「・・・路地に入ったところの雑居ビル出入口に水たまりがあって、

そこに照らされたネオン(夜ノ街ですから)と月の灯りが交差した姿が

漆黒の水たまりの中で乱反射するように鈍い光を放っていました。

で、思いつきました。・・・(一部抜粋)」



我らがボス・名倉氏の思いつき。

始まりはいつもそうで、でもそれはなかなかハズれない。くやしい。

私のど真ん中を、そのメールが射抜いてきた。絶対やりたい。ボスの思い付きメールに対して、そんな風に思ったことは今までなかったのに。


すごく個人的なことだけど、この春の開催は、スタッフを「一回お休み」するつもりでいた。

そのメールを読むまでは。

読んでしまった。だからうっかりつぶやいた。


「やりたいなぁ、ハルコヤ。お休みするのやめよーかなあ。。。って、ひとりごと。」

我らがボスは、そのひとりごとを「ふたりごと」にした。

ひとりごと、ふたりごと、さんにんごとへ。。。

こうして、4月の小屋企画「ハル 星まとう コヤ」は動き出した。

それから約半年後、2014年4月。

私はもう一度、ひとりつぶやいた。


「無茶だと承知で言ってみる」

そのひとりごとは、12人の創り手と、1人の絵描き、

3人の小屋娘(スタッフ)との大女子会へと発展した。


前代未聞。

おおごとだ。



*****


橋本(小屋娘1):はじめにお声かけした時、「紺と星と女の子」という設定を送り、みなさんそれぞれのイメージで作品を作っていただいたりしたと思うんですけど、それが今、作品があって、どう感じてもらえているのかなというところをお話していただけたらなと思います。



田中友紀

金工作家の田中友紀と申します。金属でアクセサリーと暮らしの道具など普段作っていて、今回のお話頂いたときに、テーマがすごい素敵だなと思ったのが率直な感想で、何が自分で出来るだろうといろんなイメージが膨らんで。イベントでテーマを設定された企画というのはあんまり経験したことも、聞いたこともなかったので、すごく楽しみでしたし楽しかったです。このまま巡回してほしいです(笑)勿体無いくらい素敵な空間で。純粋に楽しかったです。ありがとうございました。



松本美弥子

磁器の制作をしております松本美弥子といいます。私も、田中さんと一緒でテーマがあるのがあんまり経験がなかったので、いつもは自由にブローチを作っているんでけど、なにかに合わせて作るっていうのがちょっと難しかったので、制作がいつもと違うふうでした。(小屋に)来てみたら、自分の作品というよりは清水さんがベースを作って、スタッフの3人の方々の作品だなという気分で入りました。私は道具になったかんじがしました。3人のスタッフと清水さんに「お疲れさま」と言いたいです。ありがとうございました。


ハナザラ

ハナザラの宮林です。布花を中心にアクセサリーを作っています。お話を頂いたときには、中東にいてホームスティをしている最中で、あんまり考えずに「やります!」ってお返事しちゃったんですけど、旅行から帰ったら現実のメールがいっぱい届いたときには「ああヤバいかな…」と思ったんですけど。一番に思ったのは、ライバルは清水さんの絵だなと思って、清水さんの絵に埋もれると作品がお客さんの目に入らないだろうと思って。他の作家さんたちはとっても素敵というのは知っていたので、そこを目指すと自分の作品が作れなくなってしまうのでとにかく清水さんの絵に負けないように、埋もれないように、自分の世界を出せたらいいなと、それだけを目標に頑張りました。本当にいい経験だったと思いますし、巡回してほしいです(笑)ありがとうございました。


*****


ハルコヤのコンセプトは紺と星座と女の子。

謎の思い付きメールからここにたどり着いたのは2013年12月のはじめ。

絵描きの清水美紅さんにアートディレクター(以下AD)をお願いすると決まった時。

それは小屋担当スタッフ3人、橋本・上門・白鳥(通称:小屋娘)が決まった時。



清水さんの描くふんわりとした女の子たちが、キラキラ輝くアクセサリーをまとったら。。。

そう考えるとわくわくした。

私たち小屋娘たちの想像・妄想も、どんどん膨らんで、それを清水さんへぶつけていった。

必死で。

たった二日間だけど、でも二日間しかないから。

それが、創ることを生業にしている作家さんたちへの、最低限の礼儀で、私たちの責任だから。


*****



サトウカヨ

長野から来ました、サトウカヨといいます。ガラスをバーナーで溶かして作っています。ホントにお話頂いたときは、もう…バクバクというか、すごいびっくりして嬉しくて、無理だと思うんだけどやってみたいという思いだけでお話を受けました。時間のある中ですごく考えて、出来た時にはとっても嬉しかったんですね。今日こうやって、初めて拝見して、こんなふうに飾ってもらえてすごく嬉しいです。ご一緒できてすごく嬉しかったです。これから作っていくにも励みになったので頑張りたいなと思います。



山木常江

陶芸をやっています山木常江と申します。今回、こうやって見てみて、まずホントに綺麗だなと。普段は自分で作っているものをどういう風に見せようかをすごく考えるんですけど、シンプルな空間に置くっていうことしかやってこなかったのでこうやって清水さんの作品のなかに、さらにみなさんの作品と一緒に並べて頂けて、こういう見せ方もあるんだなとすごく勉強になりました。ありがとうございました。



中澤京子

東京で活動しています中澤と申します。普段は刺繍と柿渋の布を使ってブローチを作っております。最初に声をかけて頂いたときは、「楽しそう」ってすごく思ったんですけど、でも「出来るかな?」っていうところも正直なところあって。でもやってみたいし、ひとつのテーマに向かっていくっていうのはあんまり経験ないので、ただ作っていくよりも何かひとつステップアップになるかなと思って挑戦したんですけど。私は、実際に清水さんの絵を見ていたので、自分のものが台無しにしないか、絵を邪魔するんじゃないかなってちょっと最初気になっていて。タイトルに入っている「星」にしようと最初から決めていたんですけど、それからどうしようかあれこれ考えていたんですが、控えめにするなら私じゃなくてもいい訳で、自分の色も「ごめん、出しちゃう!」って、いつもどおり元気いっぱいの色を使ってやりました。テーマっていうひとつの制限じゃないですけど、そういうものがあって、さらに自分の色もだしていくということを色々知恵を出し合っていくのはすごく楽しかったです。小屋に入ってみたら、なんの心配もなくって。それこそ台紙の使い方だとかそういった工夫ですよね。こういう見せ方を見て全然大丈夫だったなって、嬉しく思っております。ありがとうございました。


*****


小さなものがきらめく紺色世界。

その世界を一緒に作ってほしい作家さん13組が決まった。

アクセサリーを主としている方もいれば、器などの生活雑貨を主としている方もいる。

好きやこだわりをカタチにしている人たち。


小屋娘は、いつもそことはかけ離れたところにいる、いわゆる会社員。

毎日、目の前にある書類の山をさばく。新しいなにかを作り出すこともあるけれど、今あるものを何とかしていく人たち。


いつもと違うこと。不安はいっぱいあったけど、とにかくやりたいことをカタチにしようとした。

清水さんの描く女の子にアクセサリーをまとわせたい。どうやって壁に飾る?

「ブローチとか、分かりやすいものに絞って納品してもらったほうがいい(by名倉)」

このアドバイスは無視。女の子が好きなアクセサリーはブローチだけじゃない。

じゃあ、どうやってピアスやネックレスを絵と融合させよう?

販売のときのラッピングは、清水さんにそれ専用の台紙をデザインしてほしい。。。


好きをカタチに。それは予算の壁と、時間の壁とぶつかる。

自分たちの仕事もある。でもやりたいことがあふれてくる。

勤務時間中も、気が付くと絵が浮かぶ。山奥の小屋に、一人閉じ込めて絵をかいてくれている清水さん。ハルコヤのために作品を作ってくれた作家さん。

やりたいことと、できることを一つずつ繋いでいく。

それは一人ではできなかったけど、小屋娘は3人だったし、清水さんがいてくれた。なんとかなる。そう思っていた。


*****


白鳥(小屋娘2)

先ずは、今回のハルコヤ企画に携わっていただいた作家さん・清水さん、その他皆様にありがとうございました。ハルコヤがカタチになり、何より「うれしい!」です。よかったです。清水さんの絵と作家さんの作品がどのように融合できるのか。。。カタチとなると、漠然とした不安に駆られた日々が懐かしいほどです。ハルコヤというひとつの企画を通じて多くの作家さんに力を借り、完成させることができました。作家さんにはテーマに沿った作品・急な依頼等々にもおつきあいいただきありがとうございます。そして、素敵な絵をすっごい環境で描いていただいた清水さんに、ありがとうございます。暗い中にぽつんと光る・・あの光景を思い出します・・・・・

ありがとうございました。



上門(小屋娘3)

私には、想像力が足りなくて。ハルコヤを作っていくにあたって、アイデアは清水さんをはじめ、橋本さん、白鳥さんが出してくれる。私は思いつかない分、実務的なこと、作家さんへ色んなことを案内するとか、納品を受け取るとか、手を動かすことを積極的にやろうと思ったんです。仕事をしながら、ハルコヤの企画に濃ゆくかかわるのは、他のスタッフもそうだと思うけどなかなか大変でしたね。

気持ちが大きく盛り上がったタイミングは3回ありました。

まずは、Satoで清水さんが描いた小屋が完成したとき。

ラフでは見てたけど、やっぱり現実になると威力がすごい。護国神社にこの小屋がたって、作品が壁一面にわーっと飾られたら。。。ってイメージしたら、ものすごくわくわくしました。くたくたになった清水さんの力が、この壁面に込められているんだなと思うと、なんだか感慨深かった。ハルコヤ終わったら、この壁面引っぺがえして家に持ち帰りたい!ってスタッフと話してました。

次の盛り上がりは、作家さんから作品を受け取った時。これは、自宅でひっそりテンション上げてました笑。作業的には、納品書と、作品の点数を確認する。。。ってだけなんですけど、誰よりも早く全作品を見れるという特権で、作家さんから届いた箱を開けながら、感嘆の声を上げてました。全部欲しい、って思ったしハルコヤに来てくれたお客さんもきっとそう思うに違いない!って思ってました。楽しかった。。。

そして最後は、開催二日目の朝、作家さんがあの小屋に、一同に会したとき。あの昂揚感と言ったら。。。

世の中にはきっと、一つのテーマで企画展をする機会がたくさんあると思います。でも、参加した作家さんたちが一緒に集まって、あーだこーだ話す機会ってめったにないんじゃないでしょうか?無謀すぎる召集だったのに、こんなにいい反応をしてくれて。。。

売り上げで貢献しなきゃ!ってプレッシャーも感じたし、やる気もさらに上がった瞬間だったと思います。


*****



Soeurs.

愛知県から来た松内です。ワイヤーとかミシン糸とか天然石を使って作品を作るんですけど。すみません、考えろって言われていたんですが、昨夜も2時半まで呑んでいて…(笑)。もともと地元なので同級生とカラオケに行って(笑)。

お話頂いた時は、「いぇい!やります!」と言ってやったんですけど、テーマを聞いて現実味を帯びてから、「やっちゃたな…」と。いよいよヤバくなってきたぞとホントに私ひとりではけっこう煮詰まることが多かったので、3人子どもがいるんですが、一番上の子がちょうど星座を学び始めた時期だったので、「図鑑持って来い!」と開いたりだとか。私も女子ではあるんですが、いろいろ捨て去ってしまったものがいっぱいあるので(笑)まだ幼い娘達がいるので、7歳と5歳の娘たちと一緒に女の子が好きなものとか娘達が目を輝かせて見るものを一緒に同じ目線で楽しみながら、女の子らしいものとか、息子が持ってくる星図の綺麗なところとか、息子の目から見るきれいな星の部分とかそういうものを一緒に拾い上げながら作っていたので、「ここに飾られたらこんな素敵になるんだ」と。子どもとぐっちゃぐちゃになりながら作ったので。志が低くて申し訳ないと思いながら…。すごく楽しいです!ありがとうございました。



ふるやともこ

栃木県から来ました、ふるやともこです。ガラスと金工を最近始めたので、ガラスと金工を使った作品を作っています。最初にお声かけ頂いたときに、去年始めて出させてもらってからまた来たいなと思っていたので、ただただ「来れるな」と(笑)。それが大きなところで、二つ返事で決めました。それから星座と聞いたときから私はキラキラするものが好きでガラスを始めたというところがありまして、だからあんまり意識せずに自分のガラスを出せばあとは背景になると想像がついたので、なんとかお料理してもらおうというところで作品をやっとこさ作って持ってきたんですけど。実際こうやって見てみて、普段お洋服に着けることを想像して私たちは作ると思うんです。またそういうところと違って、ガラッと変わった雰囲気でモノを見せるというところは始めてだったので、こんなふうに、なんでもない食材がお皿とか飾りかたでこんなふうに出来上がるんだっていう変化の面白さをすごく感じて。巡回というか、ここ2日間だけでは勿体無い展示だなと思ってすごく感激しました。参加させていただけて嬉しかったです。ありがとうございました。



FILIGRANO

東京から来ました、FILIGRANOの倉橋と申します。私は細いワイヤーをかぎ針で一個、一個手編みしてアクセサリーを作っています。やはりお話頂いた時には、テーマとあと清水さんのライブペイントも何度か見たことあったので「え!私の作品で大丈夫なの!?」って(笑)。初めは引き受けるか迷ったんですけれども、なにかひとつのテーマに沿って、他の作品の方とコラボレーションしたりすることがあんまりなかったので、挑戦してみようとで引き受けました。

やはり、やってみたらすごく難しくて、初めて星と星座とかをテーマにしたので、でも、大変ながらもわくわくしながら楽しく作れたのがいい挑戦になりました。実際見てみて同じテーマでも皆さんいろんな表現の仕方があって、本当に素敵な展示になっていて勉強になりました。みなさんのおっしゃるように2日間だけでは勿体無い展示だなと思います。どうもありがとうございました。


*****


好きをカタチにすることは楽しい!

でもそれだけじゃない。想像以上に過酷だった。


納品されるアクセサリーは、素材が単一ではない。布、木、ガラス、金属。。。

すべてを一つにするために、展示台紙を統一することにした。半透明で、それ自体を星座や星の粒に見せたくて、全部カタチが違う多角形に切った。一枚一枚。

それにアクセサリーをつけていく。一つ一つ。。。

気の遠くなる作業だった。。。ブローチだけに絞ればよかったと、一瞬だけ頭をよぎった。。。



作業は開催前の2週にわたって、小屋娘以外のスタッフも手伝ってくれた。

嵐のような大雨の日に、山奥まで来てくれた。その雨の中、ただひたすら、小屋の天井を塗ってくれた。一人ではできないこと。みんながいるからできること。

そうして、当日を迎える。


*****



marumi03

marumi03のまの悠と申します。普段は、本やアクセサリーなどを作っています。最初お話頂いたときはテーマを見たときに「私じゃん!」って思って。普段から好きな言葉が並んでいたので、そのまま出そうと思いました。それで小屋になるって聞いて全然想像がつかなくて、どうなるんだろうって思ってて。実際見てみたら、なんだろう、みなさんの言葉とか詩とか感性とか形にならないものが空間になったかんじで、すごい素敵だなって思って。そのなかにいれるのが嬉しいです。いい経験となりました。普段女子会とかしないので、女子会っぽくしたいので(笑)。女子会っぽいトークをしようかなと。なんか、アクセサリーって、宝石とかアクセサリーとかなんだろう輝くために着けるんですけど、一番の宝石はみなさんそれぞれだと思います!自分が作るものは塩胡椒的なものだと思います。以上です。ありがとうございました。



aei

愛知県からきました、屋号はaeiという名前でやっています。桑山明美といいます。ジュエリー作家としてやっていて、普段は手に届きそうで届かないような美しさをモチーフにしたジュエリーを作っています。私はお話頂いたときは、テーマが女の子と星だったということで、今までの制作のモチーフにぴったりで「これはきた!」と思ってすっごく嬉しくて、家族みんなに言いふらして「こんなの来ました!」って浮かれていたんですけど、実は今日本当は違う予定があって、友人がミラノサローネに通って出展できるってことで、そこに手伝いで一緒に行くってはしゃいでいたんですよ。このお話がきて、これはヤバい、日にちがかぶった…となって迷って、次の日その友人に「私は静岡で頑張るから、あなたはイタリアで頑張ってきて」と言って。実際来て、夢に見た作品たちが揃っていて、お話では作品を集めた展示と販売をするということだったんですが、この自然のなかに、この小屋が建てられてみなさんの作品が集まって、ただ販売をする小屋じゃなくって、インスタレーション作品だなってすごく感動しました。ありがとうございます。



クルテ絵ガラス商店

東京から来ました。ガラスに絵を描いています。クルテ絵ガラス商店です。私も、去年出て、今まで出た出展の中で一番楽しいイベントだったんです、ここが。しかも、清水さんの絵の世界観がすごく好きだったので、テーマも違和感ないもので、ただホントに好きなように作らせてもらって。勝手なイメージはプラネタリウムの中みたいな感じだと思っていたんですけど、それもあるけど、なんだろう、昼と夜の融合というか。こう、なんかすごく…対照的なもののドッキングがすごくびっくりました。すごく斬新です。ありがとうございました。


*****


ここにくるまで、ずっと不安だった。

企画の始まりから、1日目の朝に小屋がたつまで。清水さんの壁画や、納品された作家さんたちの作品を見て、それなりに自信はあった。でも不安だった。

私たちの好きを詰め込んだハルコヤ。みんな、どう思っているんだろう?

まだ目の前にはないけど、あの壁画にあれだけの作品が集まったら、絶対感動するに違いない。でも本当に?


だから聞きたかった。

作家さんたちの声を。どうせみんなその場にいるんだもの。

たった二日間だけの企画展。その二日間だけ、私たちの地元に集まる作家さん。

そう思ったら、言わずにいられなかった。

無茶だと承知で言ってみた。



ハルコヤは、清水さんと、13人の作家さん、周りにいてくれていた静岡スタッフと、我儘で突然のお願いをいつも快く受け入れてくれるSatoのみなさんや大野さん。みんながいたから完成できた。


*****



清水:絵描きの清水美紅です。普段は東京に住んでます。すごい、今、胸がいっぱいです。ほんとうに。なんか、絵を描くって自分に向き合うしかない。私、10年になるんですね、絵を描いて。ずっと、自分に向き合ってきた。でも、今回は自分に向き合うだけでは違うんで、みなさんの作品と向き合っていたんですね。やっぱり、「みんなどう思っているのかな。楽しみにしてくれているのかな」って不安もあって。でも、集まってみたらみんな笑顔でこの小屋の中にいて、今この時間を楽しんでくれているから…よかったって、すごい安心しました。ひとりで向き合うだけではなくて…いろんな人と、一緒にじゃないけど…。一緒にじゃないけど、ひとりも頑張りつつ、でもひとりじゃないのはみんなが、他の支えてくれている人がいるから、もっともっと実感してこれから頑張れそうだなって思いました。すごく、宝物の時間になりました。ありがとうございました。


*****


みんなで作ったハルコヤ。

初日11時からのオープン直後、たくさんのお客さんが小屋に入ってきてくれた。

それぞれの星になるアクセサリーに手を伸ばす。

ちいさな女の子も、同世代の大人女子も、大先輩のおばあちゃんも、みんなが笑顔に。

小屋の壁を切り取ったようなラッピング。

それぞれが持ち帰るハルコヤ。



*****


上門(小屋娘3)

まだ余韻は若干残ってます。

余韻と、売り上げのためにもっとできることがあったんじゃないか、という気持ちがある。またこういう企画に参加したいし、今度はもっと自分なりのアイデアを持って取り組みたい!ハルコヤのスタッフとして参加したことは、私にとって大きな財産です。作家さんからも、スタッフ橋本さん・白鳥さんからも、AD清水さんからも、いい刺激を受けました。皆いろんなこと考えてんだなと、いろんな感じ方があるんだなと。

作家さんたちが言ってくれたみたいに巡回展したい気持ちは山々だったけど!アキコヤとして生まれ変わるのも楽しみです。


*****



13人目の創り手、OTA MOKKOさんは男性。

当日は小田原から来られるため、朝のこの場には来られなかったけど、

「女の人はすごいね」とつぶやいていたとかいないとか。。。



紺色世界にキラキラ輝くアクセサリーの星とみんなの笑顔。

“ひとりごと”を“おおごと”に。

ハルコヤは終わった。

清水さん、作家さん、小屋娘へとつないだバトンを渡す。

ハルからアキへ。





これにて2014年春季開催ルポのすべてが終了しました。

ながいながい記事をご覧下さった皆様へ、

これからも私たちスタッフは、
起きた出来事、感じたモノ・コトを、
言葉の力を借りて、届けてゆきます。
秋の現場でお会い出来ることを楽しみにしております。

それではまた。

※ご意見・ご感想は下記メールまでお気軽にどうぞ。

ARTS&CRAFT静岡手創り市

スタッフ一同





2014年春季A&C静岡開催ルポ・後編『未来会議』


2014年春季A&C静岡開催ルポ・後編『未来会議』



開催二日目の朝、開場前、受付となりのスペースに円を囲み、集まったのはスタッフ6名とハルコヤAD、そしてライターの計8名。

これから展開するのは、ARTS&CRAFT静岡の現状と、少し先の未来をディスカッションする『未来会議』です。司会は私、ライターうえおかでお届けします!



司会・植岡(ライター)→植

名倉(A&C静岡代表)→名 

スタッフ: 高木→高 荒巻→荒 橋本→橋 一生→一 藤本→藤 

清水(ハルコヤAD)→清 



名:「フリートークから?」

植:そうだね。フリートークから……。昨日、やられたの、最初気付かなかったんだよ。何がなんだかわからなかった。しかも名倉くんだけじゃなく、橋本さんもやったんでしょう?

橋:「思いの外、できちゃったから(笑)両手で名倉さんがやるのは、難しいかということで」

名:「失敗したら、もったいないからさ」

植:そういう問題じゃない(笑)

橋:「せっかく万記ちゃん(A&C静岡スタッフ)が用意してくれたのに、(笑)しかも万記ちゃんのちょっとした気遣いもプラスアルファ」

藤:「すごい気遣い(笑)」

橋:「さすが万記ちゃん、わかってる」

名:「仕事出来る子」

清:「仕事出来る」


さて、開催一日目の夜(楽しい月夜の晩)に一体何が行わられたのか?

それは上記の会話をヒントに推測してください。



20140512-2.jpg

(茶色のジャケットが司会進行の植岡さん)


植:では始めさせて頂きます!今回の対談、タイトルは「ARTS&CRAFT静岡手創り市・未来会議」ということで、対談自体が未来の手創り市の企画会議のような感じです。

名:「朝番組だね」

植:よろしくお願いします!

一同:「よろしくお願いします!」


植:では名倉くんから時計回りに自己紹介を。

名:「ARTS&CRAFT静岡代表の名倉です。よろしくお願いします」

植:何か一言。開催一日目を終えての感想を。

名:「二日目だなぁ〜て」

一同:笑。

名:「一日目終わって、二日目の朝って、ちょっとホッとする。と同時に、次を考えてるから少し寂しくも…それが正直なところだよね。ありがとうございました」

清:「終わり?(笑)」

名:「はい」

藤:「今日が終わっちゃうんだ(笑)」


植:では次の方。

高:「新人の高木です」

名:「新人って言われるの嫌じゃないの?」

高:「嫌ですけど、でも今はいいやって思ってます」

植:そっか。ごめん!新人さんって呼んでて。では新しいスタッフで。

一同:笑

植:では一言。

高:「僕が興味あるのは、一日目と二日目のお客さんの違い。それぞれ何を求めて来るのか?ってところが知りたいですね」

植:その違いみたいなところ?

高:「一日目来て、二日目をリピートで来る人がいるのか?とか。昨日はフードエリアが混み合っていたので、今日はどうなるのか?とか」

植:意識が高い。

名:「おお!」

清:「意識が高い!」


植:では、次の方。

荒:「新人の荒巻です。よろしくお願いします」

植:チクリと新人と言われるという。

一同:笑

藤:「チクリ(笑)」

清:「チクリ(笑)」

高:「悪い人だね(笑)」

植:一言どうぞ。

荒:「昨日はあまり会場の様子が観れなかったので、今日はじっくり観て、お客さんの動向を追ってみたいと思います」


植:バッチリ観て、また話し聞かせてください。では次……。

名:「辞める人だけどね」

清:「言わないの(笑)」

植:はい(笑)。司会進行とライターを務めています、今回で辞める植岡です。お世話になりました。ありがとうございました。

一同:「ありがとうございました〜」


植:では次の方。

橋:「橋本です。ハルコヤ担当を今回やってます。夢に見てうなされるくらい、ハルコヤ漬けの半年。特にここ一カ月くらいがどっぷりハルコヤでした」


植:では次の方。

一:「鈴木一生です。植岡さんがいなくなっちゃうのが寂しいなと思いつつ、あ〜いなくなったな〜っていう(笑)」

一同:笑

橋:「解放感?(笑)」

名:「俺には圭吾くん(A&C静岡スタッフ)がいるから大丈夫だよって」

一同:笑

植:ちょっとジェラシーだよ〜(笑)

名:「新しいおもちゃがあるからって」

一同:笑

植:僕は古いおもちゃだから。

名:「だいぶ古い。江戸末期」


植:では次の方。

藤:「はい。藤本です。2年目です。今大学に通っていて制作を続けています。ホントはWEBデザインとか、グラフィックデザインとかやっているんですけど、紙製品や木工の作家もやっています。去年は『むすぶ』や『くらこと』のスタッフもやっていました。今年も頑張ります」


植:では次の方。

清:「清水美紅です。絵を描いています。今回はハルコヤのADとして絵を描いたり、DMをつくったり、視覚的な物を担当させて頂きました。よろしくお願いします」


20140512-4.jpg

(今回新たにスタッフに加わった高木くんと荒巻さん)


植:ではお題に入りたいと思います。

名:「第一問?」

藤:「早押し?」

橋:「この赤いボタン!」(iPhoneのボイスメモ、録音ボタンを指差す)


植:止まっちゃうよ!(笑)では、お題に入ります。まず、スタッフとして、初めての開催当日に考えていたこと。初心ですね。そして今、どんな風に変化したか?や、自分に課していることなどあれば。まず、名倉くんからどうぞ。

名:「第一回目は東京スタッフが殆どで、静岡スタッフは高山と川手さんの二人だけ。最初は東京スタッフだけで開催したようなもので、毎月顔をあわせるメンバーは雰囲気でなんとなくこなせてきてしまって、それをそのまま静岡会場やってしまったら、大変なことになった。それは単純に僕の準備不足でさ。普段仕事で走ってるところを人に見られたくないのに、走り回ってた。だから会場は殆ど観てないんだよね…」

清:「走り回ってた!」

名:「そう。二回目からはシミュレーションとかやらないとダメだなって。約束事や役割をまずはがちがちに決めること。基本的よりもっと強めの、原則をつくってゆくことを決めたね。で、五回目くらいから「まぁ、現場は大丈夫だな」ってなって、それから静岡スタッフが企画をやるようになっていった。で、6回目かな、鈴木くんが小屋をつくってくれて。よりスタッフが主体性を持っていこうって変わっていった」


植:スタッフが企画をやるようになって、スタッフの意識ももどんどん変わっていっている。それを名倉くんはどう見ていますか?

名:「今回、ハルコヤ担当が3人で、担当の当事者以外で共有する余裕が今はないと思うし、とにかく自分たちが思ったことをやること。やってみないとわからないから、それはそれでいい。それよりも、ハルコヤ担当のやってることを周りのスタッフが意識的に見ているかってことの方が大事。それはこれからだよね」


植:では、次、高木くん。

高:「とにかく作家さんと話して考えてることを取り込めたらなと。搬入時に関わる40人くらいの作家さんにはだいたい挨拶して、空いた時間使って話してはいたんですけど。それを今日もしたいな、と。で、作家さんの見てるもの、お客さんの見てるもの、僕らの見てるものを確認したい」

植:で、一日目に気付いたことがあれば?

高:「お客さんの入ってるところと、入っていないところ、様々だけど、入り過ぎててもなんですね、という作家さんの声も聞けたので、その辺を今日深く掘りたい。求めてるものが違っているところがあるのかな?って」

名:「作家さんと…」

植:お客さんが。

高:「お客さんの方がより安くという考えがあるのでは?と思っていて。作家さんとしては自分の唯一の物を見て貰いたい。その辺の話しが出来たらなと」

植:高木くんはすごくコミュニケーション能力が高くって、それを彼に言ったら、「ここへは、コミュニケーションを取りに来てますからね」って。それは体現出来てるなと」

名:「僕と逆だね」

一同:笑

名:「自分の欲求を満たすために来てるからね。昨晩は最高潮」

一同:爆笑

清:「満たせたよね(笑)」

名:「満潮だよ」

高:「話したいっていうのは、僕の欲求ですからね」

植:同じ欲ですね。

名:「お!ポジティブ」


植:では次、荒巻さん。

荒:「はい。私は当日、与えられた仕事をこなすのに精一杯でした。今日は作家さんのブースをじっくり見ると思います」

名:「そうだね。見ないともったいない」

植:自分の中でこれだけは決めていたという気持ち的な部分は?

荒:「仕事は仕事でちゃんとこなす。で、欲しい物のあるので、それをちゃんと確保する」


植:欲・欲・欲って来てますね。では次の橋本さん

橋:「え!? 欲しばり?(笑)」

植:しばらなくていいよ。第何回目からになるんだろう?

橋:「二回目。今回何回目?」

名:「八回目」

清:「え?もう八回目!?」

橋:「最初参加した回は、震災のあった年で、まだ余震とかあった時にシミュレーションをした。10時だか12時くらいから始めて、終わる頃には暗くなってた。で、わからないこともあったけど、当日になればなんとかなる、と思ってたら。警報が出てたんじゃないかって位の雨が降って。只々、雨に体力を奪われていく、みたいな。でも雨天決行がARTS&CRAFT静岡なので、作家さんたちはテントの壁も張っちゃって、今みたいなお客さんの賑わいもなく。すごく閑散として暗くなっちゃって。会場回ってても、自分の興味のある作家さんしか見れなくて」

植:今では現場のリーダーと言われてますけど。

橋:「今は企画をやってるから、会場の方は見て回れないけど、ちらちら見てて穏やかにいってるのかなって。お客さんもたくさん来てくれるようになって。まとまってきたのかなと思っています」

名:「安定感があるよね」

橋:「うん」

高:「ご夫婦の作家さんが、「これまでで朝の搬入の対応が一番良かった」って」

橋:「おおー」

名:「二番でいいのにね。次一番になれるから」

一同:笑

橋:「その都度、更新して行けるように」


植:では次に一生くん。

一:「入る前に何回か来ていて、緑がきれいだなって思っていて。実際スタッフになって、最初は作家さんの器とか作品をそこまで求めてなかった、って訳じゃないけど、僕が高飛車に見てたかなって。でも会場で話しを聞いていくと、この人にはこういう良いところがあるんだって体験出来たのが、スタッフになって最初の回に感じたことですね。それを写真に撮ってたから、他の人に伝えることをやっていきたいなと、思えたというか」

植:それはインスタグラムとか、ツイッターで普段も静岡のことを発信しているけど。

橋:「植岡さんの写真集とかもね。スタッフみんなに送りつけるっていう(笑)」

植:あははそうだね。って、真面目にしゃべらせてくださいっ!

一:「良いことを伝えたいってことですね。それを自分なりの言葉だったり写真で。主に写真がまず重要だから。写真があって言葉があってより伝わるレベルがアップしていく」

植:伝導力がってこと?

一:そういうような意識で写真を撮ってます。

植:え?っと思ったのは、高飛車って言ってたけど。

一:「高飛車って言葉は言い方悪かったですね」

名:「最初どっちかって言うと、プロダクトの方が好きだったんだよね?」

一:「そうそう」

名:「作家さんって全部が全部きっちりコントロール出来る訳じゃないじゃん。作品で精一杯で、その周辺が追いつかない、とかさ。」

一:「やっぱり話すとその人が考えてることがわかるし、自分の幅が広がったんでしょうね」

植:なるほど。

名:「人を知ることによってね」

一:「それってコミュニケーションにおいて重要だなって。それが今の『むすぶ』でも…」

植:活かされてる。


名:「藤本さんその辺のところどう見てる?作家さんのつくってるものと、発信の仕方だよね。君も作品をつくりながら、こういうイベントのスタッフでもある訳じゃん」

藤:「もともと、コミュニケーションのためのデザインを学んでいて、つくり手の側からじゃなくて、そのつくっている人をプロモーションするようなことを学んでるんですけど。結局、作家さんは、アーティストであり、つくり手であるという。人のために役だつ物をデザインしてそれをひとつの商品というか作品に仕上げている。その面からみると、最初はあんまり一致しないかなとは思ってたんですど、意外と作家さんの方でもコミュニケーションの要素が重要になっていて、作家さんが自分でつくって押し付けるんじゃなくて、色んなお客さんからの声を貰って作品に反映しているところとかもあるので、コミュニケーションと作家さんの技術は表裏一体なんだなって」

植:相乗効果ってところはありますね。

名:「その辺僕らも一緒だよね。選んではいるけどさ。自分たちの「こうじゃないかな?」って思いと、お客さんの声、作家さんの声がつながった時。やっぱり良いと思ったことじゃないと身体が反応しないよね。でも自分たちで「こうだな」ってのがあって、それに合致するような意見が来るとさ、やっぱり、動いて行こうと思うよね。その辺は一緒だよね。捉え方は違うかもしれないけれど」

藤:「お客さんありきの商売なので、すごい人との関係が密接なんだなって感じました」


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(左端から、橋本・一生・藤本・清水・名倉・高木・荒巻、BROWN JKの植岡)


植:清水さんは第一回目にライブペインティングで参加してくれましたが、どうですか?家で一人で描くことと、人前で描く事の違いなど。

清:「第一回目は、今より人が気になりました。でも今は、人がいるからといって、作品のモチーフや使おうとする色が影響されるってことはありません」

名:「モチベーションだよね?」

清:「そう、感情面かな。第一回目は音楽もあったからパフォーマンス的要素も強いんですけど、それですごくゆるがされてしまっていた。最初はね」

植:そんな中、清水さんの中で、心の課してたものはなんですか?手創り市という場で絵を描くということについての考えがあれば、聞かせてください。

清:「ライブ。動きがある。手創り市が扱うのは「物」じゃないですか?動かない。でも音楽とかって……」

植:瞬間的に変わっていくもの?

清:「そうですね。そういう役割としてやってみようと思った。最初は「絵」という物が手創り市にあることが、お客さんとの距離を感じる要素になっていたんだけど、それを何とか歩み寄ろうとしていた。で、今回のハルコヤですごく一致した。お客さんとの距離を今は全然感じてない。それにはとても感動しています」



植:次にハルコヤについて聞きたいのですけど。ハルコヤの企画が発生したきっかけから教えてください。

橋:「最初は名倉さんがテンション上がって送って来た一枚の写真があって。それは黒い背景に、貝殻とか石とかがポツポツと並んでるもので。小さい物を集めて何かをやりたいって。それに乗っかって、始まり。私は清水さんと企画をやりたかった。前回の開催の時もそれを考えていたのだけど、「MY CUP is...」の時は、直前になってバタバタ決まっていったから、企画もちゃんと練れてなかったし、結果断念したんだけど。で、春も自分が企画をやっていいことになって、清水さんと絶対やりたいと思っていて。清水さんの絵に小さい物がキラキラある感じ、というのをみんなで話しながら、企画を詰めて行きました。星や星座、紺色の背景や、清水さんの描く絵だから女の子がいてっていう様な所から、清水さんのラフ画が出来上がって、作家さんに声を掛けて、13人集まってくださって。スタッフそれぞれが好きな作家さんを呼んだから、つくるものは多種多様だけど、なんとかするって思った。で、名倉さんはどこかで、今回の企画のアクセサリー=ブローチって思ってたみたいで、でも私たちはブローチだけがアクセサリーじゃない、って思って、その辺りから、名倉さんの意見を聞かないで、女の子だけで、女の子の喜ぶ物をつくっていこうと意見を出していったというか、好き勝手やり始めた」

名:「知ってるよ」

清:「はじめて小屋の中に入った時、キャッキャッしたものね」

橋:「そう。その感じを空間にしたいな、と」

植:橋本さんが清水さんに強く惹かれた理由は?

橋:「色々理由はあるけど、好きだからやりたいと思った」

植:出発点が『好き』なんだよね?

橋:「そうそうそうそう。やりたいこと、ここなら出来るじゃないですか?制限はあるけれど」

清:「私も橋本さんが私と企画をやりたがってるって聞いてて、橋本さんならやろうって思った。信頼してるから。他の人を信頼してないって訳ではないけど、多分、リズムとかフィーリングが合うから。仕事する上でも」

植:僕もここでしかスタッフさんには会わないけど、それでも信頼は生まれるし、その信頼が引き金になって、ルポに変化も生まれたし。それはありますね。

名:「そういうハルコヤの企画を周りから見て、どういう風に見てた?荒巻さん」

荒:「私が入る前から企画は始まってたんですけど、メールの文面だけ追っていてもいまいちわからなかった時に、清水さんのラフ画が送られて来て。うわっ!って。で、展示品もジュエリーやブローチ、女の子の大好きな物だし、これはきっと上手くいくって思って。で、小屋が完成してその中に入った時に、統一された清水さんの絵が、四方にあって、すごく包まれている感があって、幸福感が……」

名:「私を包み込んで」

一同・笑

荒:「それを見て、あぁいいなと思いましたね。同じ世界観の絵に囲まれるってないじゃないですか?美術館行っても絵は面なので」

清:「確かに」

名:「小屋という空間がもたらす効果だね」

高:「作家さんのブースって自分の作品でそのブースの世界観を出すじゃないですか?でもハルコヤは、異質なものが混ざり合って出来てる。その効果が互いを引き上げる。そういう見せ方をした空間があるってことは良いことじゃないかって。そういう目線でずっと見てました。あと、作家さんのブースに行くお客さんって、そのブースにある物で完結させようとする。例えばこのコップが家の棚には合うから欲しい、とか。でも、異素材のものを、家の棚に置いたとしても意外と自然に馴染んだりする。そういう、異素材の物が活かされ合う空間があることで、お客さんに違う感性を与えられるってことは、この小屋ならではで良いなと思いましたね」

一同:おおー!


(ADの清水さんは開催二日間でライブペインティングをしていました)


植:清水さんは今回アートディレクター(以下、AD)を務めています。で、ADとはどういった役割かを考えながらそれに臨んだと思うのですけど、そのあたりのことについて聞かせてください。

清:「学生の頃から馴染みのある言葉ではあったのですけど、それが正確にどういう役割を意味するのかは知らなかった。絵描きでもグラフィックデザイナーでもない。で、今回調べました。ある一つの物を宣伝する時の視覚的な監督。それがAD。なるほどって思ったんですね。でも、監督ってそんな、上から……。それは私には当てはまらない。で、視覚的なものでイメージをつなぐ役目をしようって思ったんですね。絵があって、作家さんが13人いる。見た目的に統一感はなくていいと思う。色んな星がある方が私は楽しいと思うから。それを、色んな物があって楽しいよね?で終わらせるんじゃ意味がないから、絵で作品と作品をつないでつないで、表現するってことを意識してました。とはいえ、全部私からのイメージじゃないから、スタッフさんからのオーダーもあるので、背景は紺色とか、そういった部分は取り込んで自分なりに消化する、それはいつもの絵描きの仕事と変わりませんでした」


植:清水さん自身が、今、この形で完成したハルコヤをどう感じているかを聞かせてください。

清:「すごく良いと思います。最高!(笑)一番良いと思ったのは、さっき作家さんが小屋の中に入ってめちゃめちゃ笑ってたの」

植:どっかんどっかんいってたね。

清:「それが幸せだった。すごいと思った」

名:「あの瞬間がディレクターの着地点だもんね」

清:「?? どうしてそう思う?」

名:「モノと絵、さらに人もつながってこその、仕事だから」

植:良かったですね。あのセッション。

清:「橋本さんがね」

橋:「三日前に思い付き、寝る直前にメールで呟いたら、半分寝かけたところに名倉さんから電話がかかって来て…」

植:電話がかかってきたんだ!

橋:「何言ってんの?無茶だよ、って笑いながら電話して来て。知ってるって、わかってるって。メールに無茶だって書いたじゃんって。でも、やりたいからやった。やりたいことを伝えたらそもそもわかってくれた作家さんだから。物理的に来れなかった人もいるけど。ちゃんと見て欲しかったし、どう思ってるのか聞きたかった。開催始まっちゃったら、作家さんたちは見れないし。一同に集まることってまずないじゃん。ここは昨日、今日の二日限定だし。やりたいことが出来るかもしれないんだったら、やってみようって。で、今、全部叶った」

清:「すごいよね。頭の中で想像したことって目の前に起こすのってすごく時間が掛かる。すっごく大変だけど、それが出来たことってすごいことですよね」

橋:「清水さんがいたから出来たかな」

清;「橋本さんがいたから」

一同:笑


(ハルコヤセッション。またの名をハルコヤ女子会。二日目の早朝のこと…)


植:一生くんは今度のアキコヤを経て、来年のハルコヤを企画すると聞いているのですけど、今回の対談や、完成したハルコヤを見て、気付いたことや感じていることがあれば。

一:「春は『グリーン』というキーワードから始まって、小屋からはみ出して、わーっと盛り上がっていくことをやりたい。今回のハルコヤは、小屋だけの空間で終わっちゃうのがどうかなと思っていたんですけど、清水さんの絵だったりとか、さっきのハルコヤ・セッション、記念撮影だったりとか、そういう盛り上がったムードがずっと続いていくような企画をやりたいです。今、清水さんから色々意見も貰えたので、より共有出来たというか」


植:一週間、木藝舎の「Sato」に泊まり込みで絵を描いていたということですが、どんな気持ちで絵に向き合ってましたか?またどんなことを考えましたか?

清:「うん。率直にいうと、すごく大変だった。でも、作家さんも大変。スタッフさんも大変。自分だけじゃないって考えてた。だから頑張れた。また、一人きりを楽しみにしていたんですよ。一人きりを覚悟していた。でも、スタッフさんも来てくれて、ご飯食べたりして。一人きりを覚悟してたんだけど、人と会うってことが多くて。それも制作に含まれるなと思った。人がすごい好きなった」

植:それは清水さんにとって変化?

清:「うん。変化。一人にはなれない…」

植:ということに気付いた。

清:「なんでそう思うのか?絵を描いているとやっぱり孤独を感じる。でもいい孤独なんだけど。というところにちょっと酔ってたんですかね?私一人で頑張ってる、みたいな。あ!それだ!そうじゃなくてもっと人に頼ったりとか、甘えようと。もっといい作品をつくろうって。ハルコヤって良いって思ってて。あんまり自分の絵だって思ってない。自分の絵だけじゃないから。絵を描いた訳じゃなくて、ハルコヤをつくったから」

名:「清水さんが製作期間に感じたことは、スタッフがSatoまで来てくれたからこそ感じた訳じゃん。それが作品にあらわれたというよりも、橋本さんが三日前に無茶を言う、そういうところにつながっていると思うんだよね。想いや、気持ちの部分だから言葉に出来ないこともあるし、絵に描けない部分もあるよ。でも、それが確実に僕には伝わったから、電話苦手なのに夜中に電話かけてさ…伝播していくよね? 伝播しないような人たちとは一緒に出来ないし、やれる訳ないの。結局、そういうのを引き継いでいった方がいいんだろうな。みんなにとって。関わり方は人それぞれでいいと思うんだよ。それは普段の仕事、生活もあるから。でも、伝播してゆくことを感じるって、みんなであって欲しいなって思うよ」


植:では、ハルコヤの話はこのあたりで。ありがとうございました。

清:橋:「ありがとうございました」


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(むすぶ組の一生くんと藤本さん。秋にむけて或るモノを制作中?)


植:次は『むすぶ』の話しを聞かせて頂きたいのですけど。まず、一生くんが『むすぶ』を担当するようになったきっかけを。

一:「僕がよく鷹匠に行っているもんで、名倉さんから声が掛かって。で、普段写真に力を入れているのもあって、写真を活かしながらやっていこうという流れに」

植:一生くんはよく写真を好きで撮ってますよね?

一:「別に好きじゃないんですよ。好きとか嫌いとかってあんまり関係ないんですよ」

名:「コミュニケーションだよね?」

植:手段?

一:「すぐ「好き」とか言われると、僕も「好き」か「嫌い」かなんて、すぐに理由はわからない。「好き」か「嫌い」かに区別するのは僕は嫌いなんですよ。例えば、洋服の「ミナ」好きでしょう?とか言われるんですけど「ミナ」だけじゃないし」

植:トータルでいかにまとめるかってこと?

一:「トータルって言葉に近いですね」

名:「トータルっていうか、プロセスでしょ?過程があって、それが好きだから最終的な着地点も好きになるんだよね」

一:「はい」


(昨年末にリニューアルされた『むすぶ 鷹匠』。是非ともご覧下さい。)


植:では、今後の『むすぶ』の展開について。

一:「鷹匠って街に手創り市がもっと入り込むような、イベントなりを具体的に仕掛けていきたいです。歩いて色々キョロキョロして欲しい」

名:「歩くということが重要なポイントかもね。この会場も歩くでしょ?歩く速度とか、歩く距離とか。車だったらどこにでも行けちゃうし」

一:「ただお店の中に行くんでなく、お店以外の目的というか。草だったり、街並の中に猫がいたりとか。植岡さん猫大好きですよね?」

植:猫大好きですよ!って突然ふられても(笑)。藤本さんは何かありますか?

藤:「地元だったので協力出来るかなって思ったんですけど、私も知らない素敵な所がたくさんあって、鷹匠を再確認するきっかけになりましたね。あと、鷹匠で取材していたら、月に一度だけ開かれる手作り市がたまたまその日やってて、色々な人たちと話して、あれよあれよと言う間に、近所でアトリエ持ってる人が「今度遊びに来てくださいよ」ってことになって、私がつくってる物を置いてもらえることになったんです」

植:歩くことで、そういう突発的な出会いが発生するように『むすぶ』を発展させていけたらいいね。

藤:「前に一生さんに見せて貰った、紙媒体のマップ・小冊子があって、そういう物もつくりたいなって。『鷹匠・お散歩マップ』」

名:「高木くんや荒巻さんから見て、『むすぶ』にこういうことを挟みたいってある?お客さん目線ではなくて」

高:「僕の感覚からするとなんですけど、写真もすごいし、コンテンツもいいんですけど、ちょっと遠い存在な気がする。非常にお洒落で、気高い感じがする」

橋:「身近な街じゃなくて、雑誌の中に載ってる東京の街って感じがする」

高:「あのコンテツンはあのままで良くて、もう一歩手前につなげる何かがあるのかなって」

藤:「あれが常設ページとしてあって、特集ページがもっとあればいいのかなって。もっとサイトに動きがあってもいい気がする」

一:「動きは確かに遅いですね」

藤:「もっと気軽な感じで、『鷹匠に咲いてるお花ベスト』とかあってもいいのかな」

植:散歩って歩くじゃん、動画で撮ってつなげるみたいなことは出来ないの?静止画にこだわりたいの?

一:「それは見ないんじゃないかな?」

名:「逆に、なんで動画?」

植:たまに街を歩いて、動画でそれをつないで作品にしたりしているのだけれど。結構面白い物が出来るというか。歩くリズムとかで景色が変わっていく感じとか。ま、ジャストアイディアなんだけど。

一:「誰か作成する人を入れて、マップはあってもいいかな。柔らかい要素をプラスする上で」

高:「お店の魅力を伝えるのか?鷹匠の魅力を伝えて、みんなで盛り上げていこうとしているのか?それがより鮮明になれば。お店単体で取り上げてしまうと、お店だけの紹介に個人的にはなってしまうので。こういうお店がある街の紹介でいくのか?こういう雰囲気の街だからとにかく足を運んで、その中でこういうお店があるっていう文化的な感じでいくのか?それが出来たらいいなって」

荒:「『むすぶ』のホームページって見難くないですか? 何がどこにあるのか?パッと見てどうすればいいのかわからない。動線もわかりづらいですね。『むすぶ』自体は好きなんですけど、見難いかなっていうのが第一印象でした。見難いホームページって足を運ばなくなる…」

清:「一秒、ですよ。ホームページって」

荒:「何が更新されたかもわかりづらいので」

藤:「トップページが変わるだけでも動きがあるように見えますよ。そこから特集ページに行けるように出来たらいい」

橋:「パソコンで見るのとスマホで見るのとでは違うじゃん。鷹匠でスマホでも見やすい?」

一:「あぁー、スマホだと見難いですね」

橋:「出来たら、街にいても見やすい、活用しやすくなれば」

一:「それはずっと思っていて。高山さん(A&C静岡スタッフ)に、変更お願い出来れば」

橋:「出来る出来ないはきっとあるんだろうから、案をどんどん挙げていって、諦めなきゃならない部分が出て来たら諦める。植岡さんの動画だってそうだけど、それがそこにハマるかどうかはわからないけど、やってダメだったら切ればいい。出来ることはとりあえずやってみたらどうかな、なんて」

清:「橋本さんが言ったように、とりあえず提案してみることが大事だと思う。それも視覚的なもので。絵を描くのが苦手とか個人差はあるかもしれないけど、自分で描いてのもの。その方が伝わると思うし、それが『むすぶ』本来の目的、伝えるってことだと思うから」


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(キャトルエピスさんよりクレープの差し入れ。ごちそうさまでした。)


植:では、『むすぶ』の話はここで締めて、最後に、秋の手創り市でやりたいことがあれば、聞かせてください。名倉くんから。

名:「春でやったことを引き継ぎつつ、一生くんの来年のハルコヤ企画、植物、GREEN。これは面白いと思う。前に一生くんがみんなの前で企画を発表した時、みな注目していたし、その想いは伝わったと思うから。具体的に会場でどう見せていくかとか。そういうことを一生くんに投げておしまいじゃなくて、考えてく。秋がそのための第一歩というかさ。みんなでそこに行くために。で、春は一生くんの考えてることをより形に出来たらいいなと。あとは『むずぶ』。会場で、紙媒体だけでなく、小屋と違った形の装置を。持ち帰ることはできないけど、見て触れる体験ができるようなものをつくれたらいいなって。あと、植岡さんは今回のルポが最後じゃない?半年に一度の開催だから続けていきたいし、スタッフ内でやれる形を考えていきたいなと。で、少なくとも今のルポよりは良くしたいな、と。それは、簡単だけどね」

一同:笑


植:次は高木くん。

高:「個人的に小さくむすびたいなって思っていて。作家さんだけでなく、この人話し掛けても大丈夫だなってお客さんに話し掛けて、作家さんと三人で話したり」

橋:「ルポ岡さんからルポ木くん(笑)」


植:あはは。では次、荒巻さん。

荒:「私も同じ感じなんですけど、作家さんともっと絡んでいきたいなって。まだ恥ずかしくて、会釈されても会釈で返すのが精一杯で。今日、これから、グイグイ絡んでいきたいです」

名:「その「こんにちは」って時に、一歩前へ出れば作家さんはきっと嬉しいよ。お互いに」

高:「『場所』使えますよ」

植:愛知から来たんですねーとか。

橋:「さすが」

名:「やらしい」

清:「ホント、高木くんコミュニケーション能力高い」

橋:「コミュ木さんだ(笑)」


植:では橋本さん。

橋:「小屋は秋にバトンを渡すので、現場のことに戻るのかなと。でも、私がやらなくても会場は回っていってるし。初めての二人もすごいしっかりしてるって聞いてるし。心配しなくていいのかなって思う二人なので。もっと、エリア6からフードエリアに抜けるようなことをしたい。一生くんたちのやる小屋と会場全体を回ってく何かを考えられたらと思います」

植:橋本さんは、ハルコヤの企画で得た経験を現場に活かす形で、色々出来る気がしました。

橋:「作家さんと話が出来るようになったから、作家さんとも対話を持って、会場全体で何かグルグルグルグル回せるようになればいいですね」


(アキコヤは一輪挿しの展示を進めております。公募も実施予定!!)


植:では次、一生くん。

一:「一輪挿しってテーマで秋は小屋をやる。それにむかって行きたいですね。あとは『むすぶ』なんですけど、ここで見る体験を得て「あ、鷹匠行ってみよう」となるようなものもつくりたいし、大野さんに撮影して貰って、展示会をやって頂くのもいいし、色んな人を巻き込んでやって行きたいですね」


植:では次、藤本さん。

藤:「鷹匠のお店で雑貨を置いてる作家さんと手創り市の参加作家さんがダブってるっていうか。そういう作家さんを集めた『鷹匠枠』とか」

名:「作家さんを切り口に、鷹匠を紹介していくってことだよね」

藤:「そうです!」


植:では最後に清水さん。

清:「私はアキコヤを。それと昨日、ライブペインティングをしていた時、子供と絵を描いてたんですよ。子供と絵を描くって良いなって思って。私も塗りたい!僕も塗りたい!私も描くし、子供も描く。昨日、初めて絵を描くって体験をした子供もいて」

植:それは良いですね。そういえば、今回は会場に多くの走る子供を見た気がします。子供もアクションを起こしたくて仕方ないのかな?だからそういう衝動を活かせるような何か、清水さんとのでっかい絵であったり。

高:「子供って素直で我慢出来ないんですよ。やりたいとすぐ行っちゃう。だけど大人になると我慢することを覚えるから、ホントは大人も参加したいと思ってるんですよ。でも我慢しちゃう。そういう大人を巻き込めたらいいですね」

一同:ああー!

清:私も初めて子供を意識したんだよね。いつも大人に向かって描いていて。でも子供って思った。なんだろう? 大人もいいね、確かに。

高:「子供は素直だからやりたいって言えるんでしょう?」

清:「大人は『私は絵が下手だから』とか…そんなことはない。下手なんてことはないから」

高:「子供も一緒なら、子供も大人も巻き込んで」

清:「いいね。お母さんが○を描く。そこに子供が色を塗る、とか。お父さんは△とか」

植:僕もやりたいな。

清:「お父さん???」

植:いや、独身代表として□を描く!

一同:笑

清:「独身男性は、□。独身女性は○」

藤:「この○を描いた女性は?!みたいな…」

植:「むすぶ!」

一同:爆笑

植:ということで。

一同:ということで!

植:『未来会議』ありがとうございました!



またしても長文でしたが、お付き合い頂きありがとうございました!

「うえおかのルポは長い!」

「短く編集出来ないのか?」

と言われ続けて、早三年。

出来ることならとっくにやってます。

僕のルポが長いのは、あらゆる物事の魅力は細部に宿ることを熟知し、それを余さず伝えるためです。というのは半分うそで、単純に伝えたいことが多すぎるのです。

その「伝えたいことが多過ぎる」が、ARTS&CRAFT静岡や、すべての会場の手創り市の魅力ではないでしょうか?

なんて、今に思うのですが、いかがでしょうか?


これで、僕の「手創り市ライター」の仕事は終了です。

最初から最後まで、一貫して通したことは「誰の真似もしない」でした。

だから、この三年間は多くの雑誌や本をシャットアウトして来ました。

故に、文章や構成のクオリティに上達は見れなかったかもしれません。

しかし、生身の人間としての言葉、感じ方、コミュニケーション能力、

そしてその対話から得たものの伝え方は、少し手に入れられた気がしています。

それが今は、単純に嬉しいです。


長い期間、僕の駄文にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

そして今まで僕のライター活動に協力してくださった皆様、

深く感謝しております。

これでルポ岡は、ARTS&CRAFT静岡のスタッフに、ルポのバトンを渡します。

これからもARTS&CRAFT静岡手創り市、そして会場ルポは続きますので、

よろしくお願い致します。


ではでは!近いうちにまた!どこかでお会いしましょう!



うえおかゆうじ


追申 


最初のルポの時も「これが最初だ」とは思わなかったし、

最後のこのルポも「最後」のつもりで全然書いていません。

それが僕の性格なんでしょうね。



これで2014春季A&C静岡開催ルポ全編終了です。

…と思いきや、

最後の最後にハルコヤ・セッション(ハルコヤ女子会)の更新が御座います。

更新は5月16日。

是非ともご覧下さい!!



ARTS&CRAFT静岡手創り市





2014年春季A&C静岡開催ルポ:前編・2部

*2014年春季ARTS&CRAFT静岡ルポ:前編・1部*

clicls!! clicks!! clicks!!




2014年春季ARTS&CRAFT静岡ルポ:前編・2部





楽しい月夜の晩を一夜明け、開催二日目。(楽しい月夜の晩についてはまたの機会に)

曇りのち雨が心配されていたのもなんのその、今回も天気は晴れのち曇りで持越しました。


朝六時半。正面鳥居前にスタッフ全員と、清水さん、そして僕が集合。

OHNO CAMERA WORKSの大野さんのご厚意で、今回も集合写真を撮って頂くことに。


(大野さんは今回も「未来のあなたへ」で、会場内の池のほとりにて、

 ポートレイト撮影を行ってくれています)


結果、またしても男性陣は真顔。女性陣は笑顔という、はっきり色がわかれつつも調和の取れた写真を撮影して頂きました。





大野さんはこの後、あるスタッフの突然のアイディアによって実現した対談、「ハルコヤ女子会」(ハルコヤの作家さんたちと、ADの清水さん、ハルコヤスタッフ3人による談話会)の撮影までして頂きました。本当にありがとうございます。


ハルコヤ女子会の最中、小屋の中からは、笑いがどっかんどっかん起こっていたのが印象的だった。その様子から、セッションに参加したみんなが、それぞれに満たされているかのように感じられた。


ハルコヤ女子会が終わると、次は、受付の横に八つ椅子を並べての対談会。

僕が司会を務める、「ARTS&CRAFT静岡・未来会議」だ。

その詳細は、第二部のルポでお伝えします! こうご期待!!


二時間近くを「未来会議」に費やした僕らは、それぞれの思いを胸に解散。持ち場に戻る。



次にお話しを伺ったのは、器やブローチなどをつくる作家、松本美弥子さんだ。



朝、ハルコヤの女子会(対談)がありましたよね?

小屋の中から笑い声がドッカンドッカン響いてましたよね?


「最後の最後なんだけど、自分の中では、あ、こういうメンバーでひとつことをやっていたんだな、とわかって良かったです」


それはより達成感につながりましたか?それとも確認?


「なんか、わからなかったんですよ。メールで文字を追ってるだけで、どういう形になるのかわからない。わからなかったから面白かったというのもあるんですけど。清水さんの絵があって、作家さんたちの作品があって、今朝見てみて、「あ、こういうことか」と。確認かも(笑)」


なるほど。


「ハルコヤはスタッフさんたちの作品でもあるじゃないですか? 朝の対談で、私は『道具になれた』というようなことを言ったんですけど、でもそれは悪いことじゃなくて、最終的に清水さんと彼女たちスタッフが完成させたんだなって」


パズルのピースがはまるみたいに、ですかね?


「そう。道具って言うと聞こえは悪いかもしれないけど、そういう意味じゃなくって、ひとつひとつの作品を展示して貰ったんだけど、作品が主役じゃなく、あの完成した状態、ハルコヤ自体がただひとつの作品だと思ったんです」


ありがとうございます。では次に、屋号「jacinthe」について聞かせてください。


「フランス語のヒヤシンス。ヒヤシンスは球根から咲くけど球根ってすごくないですか?

外からの養分も必要とはするけれど、球根ひとつであんなきれいに咲くってところが。憧れね。ああいう風に、自分の中に持っているものを守って、自分なりに咲けたらいいなって。わかります?」


外の影響も受けるけど、大切なのは、自分の中にあるもののボリュームを上げていくというか、そういうことですかね?


「それは球根が出来る段階で色々な人に影響や栄養も貰って、自分の中でつくり出してるとは思うんだけど。いさ本番で、自分の強さ、力で、ポンって上がって来れる。そういう強さに憧れるというか」


おお〜。


「憧れね。憧れ。自分はそんなに強くはないのだけど」


では次は、弱さについて。何か思うところあれば聞かせてください。僕の最近のテーマは「自分の意志の弱さと向き合う」なんですけど(笑)。人が変わる時って、まず、ありのままの自分を直視出来て、初めて変わり始めるじゃないですか?


「変わるのは難しいし、見詰めるくらいしか出来ないんだよね。時間掛かって見えないスピードで変わっていって、振り返った時に、少し変わった自分に気付く。私のテーマは「苦手なことに挑戦する」だけど、やってみると、色んなことがわかるよね。自分のダメなところとか。だから良かったと思ってる。苦手なインタビューも受けて」


引き受けて頂き、ありがとうございます。


「去年は動きがスムーズ過ぎて、自分が動かなくても周りが持ち上げてくれて、少し怖いな、いい気になってやってたらいけないんじゃないか?って思って。苦手なことをやってみることにしました。自分のダメなところを知りたい訳じゃないんだけど、ダメなところがわかれば変われるかなって。自分が面白がって仕事したいから」


変わり続けること、成長し続けること、自分を更新していくこと。それがあると、自分自身楽しめますよね?楽しみのレベルも変わっていくというか。


「あまり飽きちゃって、楽につくっちゃうと、自分でつまらなくなっちゃうかなーと思って。自分にストッパーを掛けつつ。新鮮な気持ちでつくらないと、ものづくりはダメだなと思うから。手を動かせばつくれちゃうけど、それじゃダメだなって。今は、自分のことを知るために、嫌なことから逃げずにやってます。大した何かがある訳でもないのだけど。理論的にも考えられないし、感覚でやってます」


その感覚は「線」が通って見えますよ。フワフワしてたりとか、色々な感覚があるじゃないですか?刹那的な感覚ではなく、つくりながら直感を感覚に変えている感じを僕は受け取りますけど。それを一本の「線」に感じます。


「ありがとう。良い様に言ってくれて」


いえいえ。では最後に、ARTS&CRAFT静岡の改善点があれば。


「この雰囲気が定着していますよね。だから小屋企画とか動いてるから、スッタフさんたちが新しいことをやろうとしているから、この手創り市が新しいものに変わり得ることもあるじゃないですか? れが楽しみです。やってみないと、後戻りするか、先に進むか、わからないけど、やってみたいって思い続けることがいいことじゃないですか?」




次にお話しを伺ったのは、若い女性のお客さん二人だ。


初めて手創り市に来た時の感想を。


「こんなことが静岡でやっていたのか!って驚きました」


「一周目だと、目星は付けられても決められない。だから2周目は、右から攻めて。次は左からとかやってました(笑)」


手づくりのものはお好きですか?


「好きです」


では、その理由があれば教えてください。


「一個一個違うから楽しい」


「作家さんと会える。つくってることが好きでやっていると思うので、大切に使おうと思います」


その「大切に使おう」っていいですね。きっと手創り市側も、作家さんも、そういう気持ちを持って貰えたら嬉しいと思いますし、そういう気持ちを持って貰えたらと思ってやっている側面もあると思いますよ。


「そうですよね。ありがとうございます」


ありがとうございます。





次に、清水さんのライブペインティングの様子をと思っていたら、小屋のあたりから清水さんに笑いながら手招きされた。

行ってみるとそこには、20代であろう女の子が四人、にこにこと笑みを浮かべ立っていたのだった。彼女たちは清水さんの会社の同僚で、なんでも、清水さんの手掛けたハルコヤを観るために、はるばる東京からやって来たのだという。

ここは僕が司会をするより、清水さんが司会をした方がしゃべりやすいということになり、彼女たち4人と清水さん、僕というメンバーでの、グループインタビューが始まったのだった。





清水さん(以下・清):みんなありがとう。


一同爆笑。


清:みんな私より後に入社してるじゃない?わたしもみんなを教えたことあるし。最初絵描きですとかわざわざ言わないじゃん。でもだんだん話していく内にやっていることとかわかってくるでしょう?で、いざ、今日観に来てくれたね。どうかな?違和感ある?


「ないね」


「しみ(清水さんのあだ名)はいつも真剣だから」


うえおか(以下・う):おおお!! ちなみに、しみって呼ばれてるの?


しみ:私が呼んでって言ったの(笑)


う:おおお!!かっこいい!!


「普段、パソコンとか服を扱ってるの」


「でも、もっと真剣だった」


「活き活きしてる」


「泣きそうだった私」


「なんかね、感じるものが、普段とは違うものがあった」


「実際観たことないから。ホントにきれいよ」


「すごいきれい」


しみ:やったー。


「人の心をゆるがせるものがある」


しみ:あるある(笑)。


「なんかね、しみ、そのものって感じがするんだよね」


「する」


「でも、いつも仕事中もめっちゃやさしいです」


「年齢関係なく、誰とでもしゃべるし」


「空気を明るくする」


「しみがいないと寂しいよ」


「早く帰って来てね」


しみ:帰って来るよ。


「一週間いなかった時、すごい寂しかった」


う:すげー愛されてるじゃん!ちょっと泣きそうなんだけど(笑)


一同爆笑。


「愛されてるよね」


「愛されてる」


う:でも、それはしみも愛してるからでしょう?


しみ:そうだね!愉快な仲間たちに囲まれて、こうして安心して仕事をしている。


う:すごい良い仲間に囲まれてるんだね。


「仕事も絵も両方すごい頑張っててすごいと思う」


「全力投球」


「こういうところでも、普通に話してくれるのが嬉しい。「あ、来たの?(上から)」とかならないし、いつも通りにしてくれているのが」


「自然で」


清:自然で。


途中、以前僕が、たまたま清水さんたちが働く職場に、偶然、面接に行こうとした話しや、その後、また偶然にも、清水さんの職場の隣のビルで働いていた話しなどで盛り上がったが、そこは割愛しました。


何はともあれ、清水さん。すごい良い仲間に囲まれてる。それはやはり清水さんの人柄が引き寄せた縁であり、互いに惹かれあった結果でもあるとつくづく思った。


清水さんの同僚の皆さん。ルポにご協力頂き、ありがとうございました!


こうして、普段画集を眺めるほど好きな絵描きさんの、知らない面が垣間見れたこと、その垣間見れたものが、ものすごくあたたかで純粋だったこと、今でも強く印象に残っています。ホントに彼女たちの会社に転職させて貰おうかと思いたくなるくらい、そこには大きな安心感がありました。





次にお話しを伺ったのは、お客さんとして来てくれた名倉くんのお母さんだ。


「前回は風にゆられて、偶然の出来栄えっていうか、そういうものがあったじゃない?今回は、止まってる壁に描いているから、感じ方が違う」


前回のライブペインティングでは、清水さんが描いているところを三時間観てらしたという。お母さんは更に話しを進めた。


「前回は、描いている過程を一緒に追っていけたのが良かった。でも今回の小屋の絵は、すでに完成しているもの。そこに感じ方の違いがあるのだと思います」


前回は変化する要素があったってことですよね?


「そう。色がだんだん薄くなったり、濃くなったり。この絵(ハルコヤ)は、まだ少ししか観てないからわからないけど、これで終わりなのかなぁーって感じ。どっちが良い悪いの問題ではなくてね。前は、楽しんで観てた。二、三時間。ちょっと目を離した隙にもうあんなに変わっているとか、線ひとつでも変わっていくじゃない。出来上がればこれと一緒なんでしょうね」


ハルコヤには入った感想を。


「中に入ると、外に誰かいるかを忘れる。だからもっと早い時間に来れば良かった。一人で観たかった。例えば、朝六時とかに一人で入ったらすごいと思うんですよね。でも、この間の布の方が良かったのよ。二、三時間観ていても飽きない。どこでどう変わるか、目が離せない。これだと勿体ない。もっと大きく、小屋の倍くらいのサイズだったら、彼女の良さが活かされると思う」


次にお話しを伺ったのは、硝子作家・liirさんのところで『wakuwaku bell work』のワークショップを行ったばかりの、男性のお客さんだ。



「ARTS&CRAFT静岡に来たのは二回目です。最初に来たのは一番最初の開催で、今日は久しぶりの静岡。単純にお客さんも増えてるし、食べるところもいっぱいあったし、すごい楽しい」


ワークショップをやられたみたいですけど。どんな工程があったんですか?


「自分の好きなベルを選んで、ベルを鳴らすおはじきみたいなものを選んで、針金くるくるっと回して、紐をつけて、ベルを鳴らす部分をつけて完成です」


一個一個、違う音が鳴るんですよね?


「一個一個微妙に違います。小さいのは高い音が鳴ったり。大きいのは低い音が鳴ったり」


このサイズだからこの高さって予想しながらつくれるものなのですか?


「単純に小さいのは高い音が鳴ると思うので」


そういう説明はありつつ。


「説明はなかったですね。普通のお客さんは大きいのがお得って思うかもしれないですね(笑)」


お客さんの場合は、高い音が欲しかったから、高い音が鳴るものを見つけてって感じですかね?


「そうです」


出来上がった音はどうですか?


「聴きたいですか?」


聴きたいですねー!


「鳴らしましょうか?」


お願いします。


わざわざ梱包を解き、ベルを出してくれたお客さん。そしてベルを振り、チリチリと鳴らす。硝子が硝子に当たる特有の高い音が響く。


ワークショップをやってみてどうでした?


「お試しだけど、自分の手で何か出来上がるっていうのは嬉しいですよね。ただ買うだけじゃなくて教えて貰ったり、コミュニケーションを取る、楽しいことだと思います」


liirさんのところで、こんなことを話したな、という何かエピソードはありますか?


「僕は音楽をやっていて、ライブとかでも楽器を使うんで、このベルをそこで使わせて貰いますっていう風に言ったら喜んで貰えました。あまり男一人で参加する人はいないから(笑)」



最後にお話しを伺ったのは、染め物作家の仕草さんだ。



ARTS&CRAFT静岡に出てみての感想は?


「手応えはすごくありました。工房を新しく構えた関係で、自分の環境が変化したと同時に、作風とかも若干修正している部分があって。そういう部分でお客さんの反応がどういう風になっていくかって不安もあったので、自分の中で手応えとしてよかったかなと」


作風を修正したというのは?


「今、抽象画っぽい作品が出始めて来ていて、言葉ではなかなか表わせないことを抽象に託すというか」


そのきっかけは?


「子供も生まれて一回りしたっていうか。人の成長過程って面白くて、誰しもがそれを経験するように、プロセスを組んで貰ってるっていうか。巡り合うものが全部、たぶん、その人にとっての最高の教材のような。与えられてるものだと思うんですけど、そういう過程で、わりかし若い頃は欲を満たすために動いている。成功したいとか。自分が好きなものをつくって評価されたいとか。最近は逆に、静かになる方向に進んで行っているというか。そういう感じで、その精神性の部分が作品に反映された感じです」


影響?


「影響されないとおかしいですよね。自然とそういう風になっていってる感じなんですよ。ものづくりしていてもそうなんですけど、ある種、単純作業というか、反復作業の中に没頭していくと、思考が止まって、無風状態というか。精神のバランスの取れたいい状態に入っていけることが多々あるんですけど。作品を観て、それを感じれるものだったらすごくいいなって。音楽にも、ロックのようなエネルギーってものもあれば、心が静かになっていくようなものもあって、そういう物を自分でもつくれたらなぁーって」


個人的な話になるんですけど、二十代の頃、僕はビートの効いたテクノを聴いてたりとかしたんですけど、やがてアンビエントにはまっていく、みたいな感じですよね?


「一緒ですね(笑)もちろん、ビートのあるものを否定する訳ではなく、ただ、静かになっていくってことは間違いないなっていうか。自分の中ではそれが本線という感じがしていて」


染め、注染の世界に入って行ったきっかけを。


「最初、漫画を描いてたんですよ。その頃は自分一人でちまちまやる作業がやりたかった。で、漫画仲間とフリーペーパーをつくり始めて、Tシャツをつくろうという話になり、じゃ、染めてみようと。そこで、草木染で有名な、山崎青樹さんって方の本を手にして、いいなぁと思って。たまたまそのフリーペーパーも「仕草」って名前でやってたんですよ。で、仕草の「草」と「草木染」がシンクロして、で、始めました。初めは、野外の音楽パーティーで売っていて、パーティー行きたさに染める、みたいな」


あはは。なるほど。


「一人で漫画を描いてても現実的ではなくて、Tシャツに出会ったことで、傾いていくんですよ。楽しいし」


Tシャツの方が社会とのつながりが強かった。


「そうですね。そこで初めて自分のやっていることと、社会がリンクし始めて。2000年の頃って、環境問題とかが話題になり始めた頃で、わりかし社会的な運動も含まれたムードの中で、代々木公園のアースガーデン(野外パーティー)とかに出て、毎日物づくりをやっていて。草木染ってものも、環境チックな感じもあったので。エコとかが普通の言葉になる前の時代だったので、マイ箸を持っていたりとか、ナチュラルな石鹸を使っていたりとか(笑)。野外パーティーにはそういう意識を持った人も多くて。だから僕は、クラフトから入っていった訳ではないんですね。カウンターと言えばカウンターなんですけど。ひとつの社会運動に入って行くことで、自分を見出していたというか」


「その後、田舎暮らしをされてる方に会って、WOOOF(ウーフ)っていって、宿を提供して貰う代わりに労働力を提供するっていう制度があって。当時、ホントにそういう生活がしたかったんです。実際に田舎暮らしを目にして実感して帰って来て、ああ、出来るなーと。手に職を付けたいなってことで、草木染をやっていたんで、たまたまハローワークで注染の現場に飛び込んで。で、自分がやってきた草木染と注染の技法が意外とマッチしそうだなって思って。休みの日に工場で設備を借りて、自分の作品をつくりつつ色々試して、三年後に独立に至りました。退職後に長野に移住したという」


「手拭いって生活に密着した道具ですよね。それもあって、思想も、ふれ過ぎないところに落ち着き始めたんです。もう社会なんて!みたいな、自給自足をするんだ、みたいなところに来てたんですけど、クラフトがきっかけになって、子供も出来て、自分と引きで見れるようにな環境になっていった。それが最初の抽象につながるんですけど」


仕草さんは手拭いをつくるにあたって、全ての工程を自分でやっているじゃないですか?


「染料を買っているものもあるんですよ。ただ作業工程は外注ってことはないんですよ。デザインして型を起こしてのりを付けて染める。一通りの工程を全部やってるんですけど、注染自体がすごく職人の世界、分業の世界で。職人さんって反復による熟練なんで、機械になるじゃないですけど、身体も道具の一部になるというか。職人さんのすごさとは違う部分を自分は求めた。たぶん創造性だったり、自主的に何かをやるって部分でその世界にはどっぷり浸かれなかったと思うんですよ。でもある種これって、自分でハンドルを切るじゃないですけど、欲求なんですよね」


「で、成長のプロセスに話が戻っちゃうんですけど、全部自分でやりたいって欲求を追ったんですよね。で、最近はハンドルを切らない方向にシフトし始めています。考えるのを止めるために考えてるみたいな。一見矛盾しそうなんだけど、それを矛盾させずに成立させたらすごいだろうなって。そういう感覚に入って入っている感じなんですよ」


それは図柄としての抽象につながりますよね?


「結局そこなんですよ(笑)あと、わりかしマインドの部分で社会にゆさぶられて、苦しんで生きて来た部分もあるので、それはそれで大変なんですけど、繊細っていうのは逆に色々なことに気付けるなっていう。そういう意味でありがたかったかなと。職人さんをやっていても良かったと思うんですよ。最初からそれでいいと思えたんだったら。でも自分は違ったので。自分で選んだというよりは、選ばされて来た。自分の中にあるものが多分それを求めたので。そこに乗ったら、流れるままに」


流れ、ありますよね?


「そう。流れを見るのが結構好きかもしれないですね。自分でつかみに行こうとするとその流れって見え辛いっていうか……。どうしてもそういう話しになっちゃうな……。で、ある程度自分でつくり上げた土台があるので、その上で精神性のある物をつくり出せたらなとは、今は思っているんですよ」


ありがとうございました。


命の運び、と書いて「運命」。仕草さんが従った流れは、実はそういった深い流れのようなものかもしれない。自分の意識の深い部分の流れを、仕草さんは、「自分でつかみに行こうとすると、見辛くなってしまうから、引きの目線で見極めたい」という。





冒頭で僕は、僕個人の話、書く事の動機から始めた。

そして次に、引きの目線で手創り市を俯瞰し、手創り市は、半歩先を行く新しい社会の縮図ではないか?と問題定義を行った。


何かをつくるということは、正解のないクイズに、自分なりの回答を試みるのに似ている。だから、何かをつくり出す人々は、常にそのクイズにさらされ、世界に問いを投げ掛け続ける。そして世界もまた、新たなる問いを投げ返す。その繰り返し。繰り返し。

(そしてたまに、両者の答えが合致するかのように、シンクロニシティが起きる)

そんなことを想う、今日この頃である。


これで「2014年春季ARTS&CRAFT静岡ルポ:前編1部・2部」を終わります。


ルポ後編はは、ADの清水さん、ライターの僕、残り6人のスタッフ、計8名による「ARTS&CRAFT静岡・未来会議」をお送りします。


今回も長文でしたが、最後までお付き合いありがとうございました。

結びの言葉は後編の結末に譲り、一旦失礼致します。


うえおかゆうじ


*一部写真提供*

A&C静岡スタッフ 鈴木一生 ★☆★



2014年春季開催ルポはこのあとも後編へと続きます。

是非ともご覧下さい!!


ARTS&CRAFT静岡手創り市




2014春季A&C静岡開催ルポ:前編・1部


2014年春季ARTS&CRAFT静岡ルポ:前編・1部


五年前、手創り市にライターとして関わるようになった頃から、言葉を生業にしてつくることと、自分の生活が直結するようになっていった。


つくることの動機は、単純に楽しいから、書く事が一番エキサイティングだから、というシンプルな理由だった。それはごく個人的な理由だ。


そんな折、2013年春季のARTS&CRAFT静岡のルポで、ユーカリカシテンさんに取材をした。

インタビューの最後に、一緒に連れて来ていたお子さんにメッセージを残すかのように、

ユーカリカシテンさんは言った。


「ここってプロの方も、それを目指してる方も両方出てると思うんですけど、基本はみんな、好きを仕事にしてる事だと思っていて。好きを仕事にするって事が当たり前だって事を子供に感じて欲しい。それが当たり前で『選択肢のひとつだよ』って事を肌で感じて欲しい」


ユーカリカシテンさんのその言葉は、それまで自分の中で考えていたあることが、明確になる瞬間でもあった。



さて、ここに一冊の本がある。

たまたま入った本屋で見つけたこの本は、NHKのテレビ番組のテキスト。

社会科学者であり哲学者のエーリヒ・フロムの著書「愛するということ」を訳者・鈴木晶が、この本の軸となる思想に視点を合わせ、わかりやすく説くというテキストだ。


詳しい内容は割愛するが、現在は「愛を勘違いしている」というような内容からこの本は始まる。

メディアを見渡しても、そこには「いかに愛するか」という情報ではなく「いかに愛されるか」というもので蔓延していると。

フロムのいう愛は「能動的」な「技術」であり、「いかに愛するか」を常に問い掛けながら、自分を高めていくこと、相手と高め合うこと、それが愛であると説く。


そして結びに、現在の資本主義社会では、フロムのいう愛は成立し得ないだろうと。

何故なら、現在の社会は「交換の原理」で成り立っており、そこには必ず「見返り」を求める意識が働くこと。そしてこの社会は、愛などいらないとする人間や個人を孤立に向かわせるかのようなシステムが働いていることを指摘する。


その最中にあって、真に愛ある社会が実現するには、この先、どうすればいいのだろうか?

そんな問いかけでこの本は終わる。


さて、何故に恥ずかしげもなく、アイアイアイアイ述べたかというと、先に述べたユーカリカシテンさんの言葉、「好きを仕事にする人たちが集まる場所」。そこに、時代の半歩先をいく社会の縮図があると思っていたからだ。


手創り市という社会の中心にあるもの。そこで交わされるもの。また蓄積されていくもの。そんなことを今回のルポの裏テーマにして、僕はいま、キーボードを叩いている。

最後までお付き合い頂けたら幸いです。



見上げると新緑を広げた木々の葉がそこにあった。しかしその木漏れ日のしたには、まるで秋の様相のように、からし色の枯葉が多く落ちている。

春を迎え、ひと月が経つのにも関わらず、今年は昨年に比べ肌寒い印象をはっきりと受ける。


朝八時過ぎ、名倉くんのお父さんがスタッフのためにつくってくれた大量のサンドイッチを両手に抱えながら、僕はザクザクと砂利を鳴らし境内に入って行く。


作家さんに挨拶をしながら、受付を目指す。

見知った作家さんと目が合うと、挨拶をし、時には短い雑談を交わし、果てにはサンドイッチの具を問われつつといった具合に。


開催前のこの時間が、僕は好きだ。


ブースを見渡すと、屋根や側面の布を取り払ったテントが、昨年よりも更に多いように思った。こんな風に、まず、テントの様子から入ってしまうのは、手創り市ルポライターとしての職業病のようなものだろうか?とふと思う。



受付に着き、サンドイッチを引き渡すと、僕は「ハル 星まとう コヤ(以下・ハルコヤ)」が気になって仕方なかった。

今回の小屋企画は、画家の清水美紅さんがADを務め、その小屋の内側壁面すべてに絵を描いたのだ。


清水さんは自身のブログで、「ハルコヤ」の壁画完成のプロセスを語っていた。

(彼女は、足久保にある木藝舎「Sato」に場所を借り、一週間泊まり込みで絵を描いた)

一人で絵に打ち込むのを楽しみにし、覚悟していたが、思いがけず、そこにはたくさんの人の助けがあり、自分は一人ではないということに気付く、というようなことが語られていた。そして、誕生日を前にして、人生をはじめて美しいと感じられた、とも。


そんな彼女の絵が早く観たかったが、残念ながらその時間には、まだ小屋は完成していなかった。


僕はひとり境内を何週もする。

池の端でアメンボを眺め、それをおじいちゃんに嬉しそうに報告する小さい男の子の声が響く。やけにその場面が印象に残る。


こんな風に何気ない場面を心に留められる時間を豊かに思う。

身体が、時間を「消費モード」から「蓄積モード」に変えているかのようだ。


九時近くになり、受付近くのブースに戻ると、さっきのおじいちゃんと男の子がブースに立っているのが目に付いた。なんだ、作家さんだったんだ。

それは小さな発見だけど、何か得をしたような気分にもなった。


8時50分の段階で、人がちらほら伺えた。

そして9時。お客さんは結構入っているように思えた。

「鷹匠で器を買わせて貰ったのだけど」

と言って、お客さんが朝いちで作家さんのところに訪れる場面も見る。

鷹匠といえば、ARTS&CRAFT静岡のWEB企画「むすぶ」

この「むすぶ」がいかに機能しているかも内心楽しみだった。


10時、人がどっと押し寄せている。

賑わう境内。天候にも恵まれた好調な出だしではないか。


そして11時。「ハル 星まとう コヤ」のオープン。

オープンと同時に人で溢れるハルコヤ。

「あ、もう見てる、わわわ!!」という若い女性客のグループが、走るようにハルコヤに向って行くのを見る。同時に、受付にいたスタッフが嬉しそうに笑うのが見えた。



ハルコヤは、ARTS&CRAFT静岡自作の小屋内で行われる、13組の作家さんによるアクセサリーの展示販売スペース。そしてその壁面には清水さんの絵が描かれている。深い青を全面に起用したその壁画には、作家さんそれぞれの作品が星座を模る星々のようにピン止めされている。


ハルコヤの入口をくぐるお客さんの表情を、僕は外から眺めていた。

みな、入口をくぐる瞬間に、何かチャンネルが切り替わるみたいに、上気した笑顔を浮かべたり、恐る恐るといった伺うような目をしたりと、その表情が変化として表れていた。


ハルコヤという四角い箱には、境内とは違う、別の宇宙が凝縮した形で広がっている。

正面鳥居前にこのハルコヤがある意味、それは、このハルコヤをきっかけに、境内でブースを出す作家さんとお客さんとをつなげるという役目や、境内の中ではどんな会場が広がり、作家さんたちがどんな作品を並べているのか、という期待やイメージを発起させる部分も大きい。そういった意味で、会場入り口にあるハルコヤは、成功だったと思う。


清水さんの絵を数年観て来た僕には、今回のハルコヤの絵は、いい意味で少し異質に映った。ある意味、イラストレーション的な伝導率がそこにあったからだ。しかし、そこはやはり清水さん。水瓶座をイメージした少女の横顔には、今までの清水さんの作品を確かに超える、神秘性・神話の匂いが漂っていた。そんな風に毎回、彼女は新たに表現の幅を切り開いていく。


そして彼女はその時、ハルコヤの外側、正面の壁にライブペインティングを始めていた。

ここに来てまだ描き続ける。そんな彼女に僕は感動する。

そして同時に、このハルコヤをここまでのものに仕上げていった企画スタッフのことを想う。



ハルコヤを後にした僕は、次に、エリア5に今回集中的に集められたブースを観て回った。

ここは、販売と同時に、作家さんとお客さんがワークショップを行うエリアだ。

時間予約制のワークショップもあるが、そのほとんどが、すぐに来て手軽に始められる。そこにこのエリアの魅力がある。



特に、子供たちでごった返すArte de Feltroさんの、羊毛を染色してオリジナルのリンゴをつくる「林檎屋」のワークショップには、親子連れが目立ち、子供たちは水を得た魚のように、ここぞとばかりに、ワークショップに熱中していた。彼らにはそれは遊びなのだ。


今回、親子連れのお客さんが増えたように思ったが、その親と子を同時に楽しませるこのワークショップエリアは、いい意味でアクション性の高い、活気あるエリアだった。



そんな中、木工と漆の器を手掛ける作家、ふたば工房さんにお話しを伺った。



ARTS&CRAFT静岡に出たきっかけ、そして出続けて頂けてる理由を教えてください。


「三回目からずっと出ています。友達に薦められて、応募してみたんです。回を重ねるごとに、会場の雰囲気も段々良くなって来ている。つくっている人に雰囲気があるし、お客さんにも雰囲気がある。僕にとっての発表する場、売る場。仕事場には誰も来ないし、来るのはメールとか、電話くらいなので。普段は人と話すことは少ない。息抜きじゃないけど、人に会うために来てるところもある。手売りをするようになって、自分自身、どんどん変わって来たんじゃないかな」


どのあたりに変化はありましたか?


「まず、見せ方。他の作家さんを真似して。テントは白い方がいいということに行き当たる。色々な人と話しながら見ながら、ブースの形は変化していった」


スタッフをどう感じていますか?


「驚くほど良い!動きが良いのと、良くしゃべってくれるのと。お金を貰って有償でやっているところで、スタッフさんの意識も変わるだろうし。でも、有償はたまたまおまけ。意識のある人が集まっている。業者やボランティアが入らないことによって、きゅっとしてる。目指してるところが、スタッフ間で同じになるのかな?」


ワークショップについて聞かせてください。


「参加費が、もう少し安い方が良かったかな。あと、ワークショップを一生懸命やろうと思えば、販売が疎かになってしまうし、自分の中でバランスが取れたらいいのですけど。でも、ワークショップの道具を持って来ることによって、他の出展者さんの刺激にもなればいいなとは思いますけどね。もしかしたらこれを見て、またどこかとつながる可能性もあると思うので」


ARTS&CRAFTに出展されていて、感じていることは?


「誰かを雇ってつくっている人も大丈夫なクラフト市なんですか? 僕個人は、つくることに関することは、すべて自分でやりたい。お金を儲けるためだったら、外注した方がいい。お金だけのことを考えて生活している訳ではないので。基本は自分がしたいことをしているので。それをずっと継続していこうかなと」


自分のしたいことをする、それを人生の中心に置き始めたのはいつ頃からですか?


「物をつくって生活したいということは、小学生くらいから思っていたことで。部活が忙しくなって、一時はその思いもなくなりましたけど、美大にも行って、漆もやって、頑張ってみたけど、世の中そんなに上手くいかないので。仏壇屋さんに就職したりして。で、後にタイミングが来て、轆轤(ろくろ)で食べて行こうと思った。でも。漆だけでは食べて行けない。石川の山中で修行していたのだけど、そこを出ると、仕事がないのね。問屋さんの知り合いや、親方の紹介で仕事をしていたのだけど、リーマンショックでパタリと仕事が来なくなった。その流れで、クラフトフェアに出るように」


ワークショップの反省点や改善点があれば?


「準備不足と宣伝不足です。もっとしやすい作業工程、材料の見せ方、道具もこの道具で良かったのか?など」


ふたば工房さんのワークショップは、『足踏みロクロを使った、木でリングをつくる』というものだ。



足踏み轆轤に荒く模られたリングをはめ、轆轤を左足でひたすら足踏みしながら、そのリングをバイトで削る。後にヤスリをかけ、ガラス塗料を塗って出来上がり。全行程は、10分から15分。


僕もやらせて頂いたが、足踏み轆轤のコツ、足踏みの強弱とリズムをつかむのに少し時間が掛かった。(これは僕が不器用だから)でも轆轤を回しながら、バイトでリングを削っていくその作業は、やはり初体験ということもあり楽しかった。そんなに難しい作業ではないのも良かったのかもしれない。ひたすら足踏みし、削り、その成形に集中出来る。


最後にふたば工房さんは、つくることを仕事にすることの大変さについて語ってくれた。


「5分止まっていると死んでしまう。ここはナウシカの腐海なんです(アニメ映画「風の谷のナウシカ」の舞台・腐海は、汚染された大気により、マスクをつけないと5分もせずに肺がやられ死に至る)動き続けなければいけない。でも、同時に、その次に出来ることは、待つこと。ひたすら仕事が来るのをつくりながら待つんです」


その言葉を聞いたとき、僕は砂漠を想った。

以前雑誌である歌手がこんなことを言っていたのを思い出す。


「砂漠に旅するのは、待つことが出来るからだ」と。


作り手は心の中に、広く渇いた砂漠を持つ。その熱や、大気の変化、孤独に耐えてこその継続なのだろうと、そんなことをふたば工房さんの言葉から考えさせられた。

さて僕は、砂漠で何を待っているのだろう?



次にお話しを伺ったのは、主に、花(植物)を模ったアクセサリーを展開するchiiiiiiicoさん夫妻だ。



雑司ヶ谷には出ているようですが、今回ARTS&CRAFT静岡に出ようと思ったきっかけは?


千賀子さん(以下・千)「主催されてる名倉さんと話しをして、彼が想いの強い方なんで、このイベントに出した。彼の企画「jewelry & chocolate」にも出させて頂いて、静岡の雰囲気も見れたので、素敵やろうなぁーって」


出展してみてどうですか?


「楽しいですね。気持ちいいですもんね、場所が。人も穏やかだし」


雑司ヶ谷との違いは?


「人がゆっくり観てくれるかな。空間も広いので歩くスピードもゆっくり。雑司ヶ谷はキュッとしているので、人に当たったり、見辛かったりするので、こっちは贅沢やなと思います」


靖之さん(以下・靖)「行き交う人の多さに刺激を受ける。みんな素直なのか、作品に対してポジティブなコメントをすぐに出してくれるから嬉しいです」


chiiiiiiicoさんは、ホームページのデザイン、ネットショップなど、つくることの周りにあるものも充実していますし、手創り市などの野外クラフトフェアに出なくても充分売れるであろうと想像しているのですが、なぜ手創り市に出られるのですか?


千・「単純にいうと好きやから(笑)」


おお!


千・「詳しく話すと長いんですけど」


大丈夫です。語ってください。


千・「私はもともと家電メーカーで、プロダクトデザインをしていたんです。が、買い手とダイレクトにつながってない、その人が使ってるところが見えない。会議で上司などを相手にプレゼンしていて、何のために、誰のためにつくってるんだろう?って。それで辞めて、シフトして、こういう会場に出る様になって。買い手が見えて、その人のリアクションが見れて、話せて、手渡し出来て、簡単にいうとやりがいですよね。なので、実際デザインしながら、そういう人たちの顔を思い浮かべることが出来るってことは幸せなことだと思っているので、それが好きにつながっている感じですかね」


それがつくることの中心?


「今だったら、その人、一人のためにつくれるので。今もオーダーなど受けて、その人のことだけ考えてっていう。すごい贅沢ですけど(笑)時間を掛けてつくれる。数はこなせないんですけど、充実感・満足感は得られるので」


使うことの人を考えながらつくると言っていましたが、具体的にどういうことを想像されますか?


千・「単純に言ったら…くさいんですけど…」


この時点で千賀子さんは一人爆笑し始め、


「笑顔です!(笑)」


と言い切る。


いいですね〜!


千・「やっぱり作品を見て貰った時に、かわいいとか、素敵って言って貰った時の笑顔を思い浮かべて、鏡であてて貰った時の、明るくなった顔とか(笑)そういうのを思い浮かべると、大変な作業でも頑張れるかな」


ありがとうございます。では最後に、ARTS&CRAFT静岡に改善して貰いたい点などあれば?


靖・「朝の搬入時に思ったんですけど、道路標識みたいにわかりやすい誘導の矢印が欲しいかなと。例えば言葉で「鳥居の方」って言われてもわらかない。確かに看板には書いてあったんですけど、鳥居はこっちっていうわかりやすい矢印か、グラフィックが欲しいですね」


受け手が見えること、直接の対話、その間で交換し合えるお金には変換できないもの。


心の交換、お客さんの笑顔、作家さんのストーリー。それら精神的な情報は思い出・記憶とともに物に沁みいる。その作品を日常で使うことによって、意識的にも無意識的にも、生活は新しい色を帯びるはず。それが人を生活から豊かにする。その豊かさが人を変えていくという想いが、作家さんや主催者、スタッフやお客さんの中に確実にある気がする。



次にお話しを伺ったのは、プラ板や紙を彩り、アクセサリーや雑貨などをつくる作家、

marumi03さんだ。



ARTS&CRAFT静岡は初めてですね。応募を決めたきっかけは?


「友達の作家さんに勧められて、ですね」


ARTS&CRAFT静岡に実際出てみての感想などあれば。


「年齢層が幅広いこともとても面白かったです。小さいお子さんから、お年の召された方まで……。年齢は色々だけれど、marumi03の作品を見て、年齢は関係なく、女の子として、無意識に女の子の心になって心ときめかせて、見てくれているのがとても嬉しかったです。私自身は女の子らしいわけではないけど、女として生まれた心の琴線に触れるような、考える暇もなく心がときめくようなものをこれからもつくっていきたいと思いました。持っているだけで、心のお守りになるような」


僕は女の子じゃないけど、すごい速さでときめきました(笑)そんなお客さんたちとの対話で気に掛けていることなどあれば。


「とにかく楽しんで貰いたいですね」


ありがとうございます。marumi03さんの作品には本や詩などもありますが。


「むしろブローチがあと。これらブローチには全部言葉がついてるんです。ホントは言葉を通じて「概念」を売りたい。でも言葉だけだと……。それをブローチなどの形にしたらお客さんは使いやすいし、伝わりやすいかなと思って、物にした感じです」


この作品(ブローチ)は「ひがみ」をコンセプトにつくられていますね?「ひがみ」というネガティブな感情を作品を通じてポジティブに肯定してますね。


「自分のひがみがすごいんです(笑)でも、美しいものは認めたい、と思い」


ARTS&CRAFT静岡に出てみて、何か気になった点、改善点などあれば?


「荷物を持って来るのが大変なので、机などの貸し出しがあれば……」


つくることの動機と喜びはどこにありますか?


「遡ったらこの世に産まれたことです!小さな頃から絵も描くし、物をつくるし、つくることが当たり前で来てるので、自分がやらないといけないというか」


やらないといけないと思うのは何故なんでしょうね?使命感ですか?


「使命感です。何故なんでしょうね。小さい頃からそれは感じています」


使命感のままに創作をつづけるmarumi03さん。


話は飛ぶが、多くの人が考え、また人に尋ねられる問いだけど、僕も、生きることの意味を何度か聞かれたことがある。

僕は、ざっくりいうと「生きること。それは『影響』」だと思っている。

人が、いのちが生きる限り、ものが、何かがそこに存在する限り、そこには必ず外界への影響が生まれる。関係が生まれる。多かれ少なかれ。そういった関係性でつながっているのがこの世界ならば、自分がいかに生きるかを考えられずにはいられないのではないか?



次にお話しを伺ったのは、ご婦人方二組に、二歳のお子さん一人、というお客さんだ。


ARTS&CRAFT静岡を知ったきっかけを教えてください。


「たまたまここを通りかかったんです。会社がすぐそこで。看板が出てたので昼休みに来ました。土日出勤なのでラッキーでしたね」


ARTS&CRAFT静岡の感想を。


「全国から色々な作家さんが来てくれるところがいいです。自分では行けないですからね」


何か改善して欲しい点などあれば?


「食べた物のゴミをどこに捨てていいかわからない。お店に返していいのなら、それをわかりやすく告知する何かが欲しい。渡していいのかな?いけないのかな?と迷ってしまう。『終わったら持って来てくださいね』と一言、お店の人に言って欲しい」


ありがとうございました。


上記のゴミの意見は、以前もお客さんから挙がっていたはず。スタッフさん、わかりやすい告知の仕方を、よろしくお願いします。そしてフードブースの作家さん、ご協力をお願いします。



場所は変わって、正面鳥居。ハルコヤの正面壁面では、清水さんが引き続きライブペインティングを行っている。そして清水さんの足元には、小さな男の子がぴったりと張り付き、清水さんと何か絵について話しているようだった。しばらくそれを眺めていたが、男の子は一向に絵の前、清水さんの隣にいて、一緒に絵を描いているかのよう。微笑ましい景色だ。


次にお話しを伺ったのは、東京から来てくださったという三人(男性2名・女性1名)の若いお客さんだ。三人は、手創り市初入場。雑司ヶ谷にも足を運んだことはないという。


「俺の親父も出せるかな?と来る前は思ってました。親父はひょうたんを切り抜いて作品をつくってます。でもおっさんの趣味ってことがわかりました。出せそうにありません(笑)」


「良い作品が多く、ものづくりの気合というか、そういうものを感じました」


会場を歩いてみて、気付いた改善点があれば?


「お店の名前がわかり辛い。名前を知りたかったら、能動的にショップカードなどを取りに行かなくてはならないし。器のお店が多く、結構似ていたりもするので」


名前を憶えやすい、「何か」があれば、と。


「そうですね。パンフレットは無いのですか?」


ありませんね。


「会場図だけでも持ち歩ければと、思います」


「あと、食べ物のお店がもっとあってもいいかな? という、他のお客さんの声も聞きました」


「手創り市なんで、コスメとか、多ジャンルのものがあっていいのかなって。衣類系ももっとあっていい。もちろん、満足はしてるのですけど、もっと楽しめるかなって」


今回は清水さんの絵を観るために来たと言っていましたが。


「小屋の中、良かった。絵も、すごく大きく、色のバランスや構図も良かったので見応えがありました」


「小屋、いいですよね。作品もある程度セレクトさえれてると思うので、ここで「あ!」ってなったら境内のブースに行けるっていうのは、すごくいいなって」


作家さんとお客さんをつなぐ役割ですね。


「それが上手いな、と思いました」


ありがとうございました。



楽しい月夜の晩を一夜明け、開催二日目。(楽しい月夜の晩についてはまたの機会に)

曇りのち雨が心配されていたのもなんのその、今回も天気は晴れのち曇りで持越しました。


(つづく…)


うえおかゆうじ


*参考文献* 

NHK「NHKテレビテキスト 100分de名著 フロム 愛するということ・鈴木晶」


*一部写真提供*

A&C静岡スタッフ 鈴木一生 ★☆★



ここから先は前編・第2部へ持ち越しです。

更新は明日、5月8日。

是非ともご覧下さい。



ARTS&CRAFT静岡手創り市




お休みをいただきます(5月2日〜5月6日)



怒濤の手創り市月間も終了し、ほっとひと息、事務局にて。

今年のGWは二日間を大阪・京都で過ごし、残りの二日間を静岡で…
そんな風に考えています。

そういえば、静岡にやってきた時には、スタッフ数名を連れてキャトルエピス富士店さんのショップ・イン・ショップのような形で営業している、「野菜食堂」さんにお邪魔しようと思っています。
オープン時にうつわのコーディネートでお手伝いをさせて頂きましたが、その後お邪魔出来ずにいましたので、念願かなっての来訪です。楽しみですよ。

皆さまも楽しいGWをお過ごしくださいね。

それではまた。


※5月2日より5月6日まで事務局はお休みをいただきます。
 メールの返信は5月7日以降となります。


※2014年秋季A&C静岡のお申し込みは7月1日よりスタート。
 開催日は10月11日12日となっております。






アキコヤでは一輪挿しを…


ハルコヤの総括を終えて、アキコヤは一輪挿しを企画の中心に据えることが決定。

私たちアキコヤ担当スタッフがつくる舞台には、見立ての要素もあるかもしれず…

通常、一輪挿しは花をいける為にあり、そこには水をさすという前提があったりしますが、
その範疇を超えたものを提案したいと思います。
極論、一枚も紙がそのまま一輪挿しになることもあり得る訳です。

アキコヤ担当スタッフと共に切磋琢磨し、企画を進めております。

そして、アキコヤでは公募を取り入れてゆくことも考えております。
詳細は後日発表となりますので、もうしばらくお待ち頂けたら。

アキコヤはハルコヤに負けないものをつくってゆこうと思います。
良き隣人であり、良きライバルである静岡スタッフ同士、
切磋琢磨してゆく環境を小屋企画を通して作り出してゆきたいと思います。

ご期待下さい。


*2014年秋季A&C静岡のお申し込みは7月1日よりスタート*
 開催日は10月11日12日となっております。









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